実際のオーダー例
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貴方のオーダーのヒントになさってください。
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9年ほど使ったゾウ革ジーヴズ財布
2025/08/27ゾウ革の経年変化をお見せします。
お調べしましたら、9年ほどになる
黒のゾウ革ジーヴズです。
お写真右は、その前にお作りした
定期入れの十年もの。
どちらもきれいで、
新品の革を知っていますと
同じ革に見えないほど変化しています。
下のお写真は定期入れの新品時。
上のお写真を使って行くと
下の変化、ツルツルな革が現れます。
気に入って大事にお使いですから
まだまだ10年は使えそうです。
ゾウ革の保ちの良さを
体現しています。
とにかく、見ていてとてもきれい。
「また手触りがいいんですよね…」
ご自分で育てた革は
なおさら愛おしく感じるでしょう。
ご愛用ありがとうございます。

お揃いのファスナー二つ折り財布 41204
2025/08/25
先日ご紹介したシステム手帳は、
このファスナー二つ折り財布とともに
ご注文いただきました。
システム手帳の革の取り都合が
恐ろしく難しかったものですから、
こちらのご希望内容に対しても
「とにかくシステム手帳の革を
取ってからのお返事になります。」
と、何とも心もとないお返事と
なってしまいました。
一見すると何の変哲もない、普通の
ファスナー財布に見えるでしょうが、
右側のカード入れには
かなりの枚数のカードが入ります。
中身からすると、お財布全体の厚みは
3センチ近くになります。
ですから
ファスナーの出来上がりの厚みも
ほぼ同じ寸法。
そんな厚いファスナー二つ折り財布を
見たことがありますか?
こちらによく書くことですが、
市販品にないお品には、
必ず理由があります。
作れないという不可能の場合もあれば
材料を揃えられないこともあったり、
難しいから生産ラインに載らない、
などなど、とにかくいろいろです。
じつはこのご依頼には、
サイズの縛りがありました。
市販品のように、中身に対して
大きく作っていいのでしたら
まったく話題にもしませんが、
できるかできないかわからない
微妙にギリギリなサイズを
ご希望いただいたのです。
ですから
ご相談時にざっくりとサイズを捉えて
ギリギリだけど
何とかできるでしょ!という
プロのカンを元にお受けし、
無理やり
平仄を合わせていった感じで
お作りしています。
予定通りさまざまなトライアルをし、
やっと可能にした技能オーダー品です。
ご注文者には喜んでいただき、
革も無駄なく使って
残りが出ましたから、それを使って
さらなるご注文をいただきました。
ありがとうございます。
今度の小物も大変なんですが、
頑張ります!

藍染めクロコダイルのきわどい裁断 手帳カバーの製作
2025/08/24
先日ご紹介しました
藍染めクロコダイルは、
デリケートなサイズ問題を乗り越えて
やっと型紙ができましたから、
裁断しました。
その裁断後の姿が珍しいため
ここでご紹介します。
裁断前の革は下のお写真どおりで、
今回の革は中くらいのサイズ。
斑柄がこれ以上ないくらい整っていて
キズひとつありませんから、
見惚れてしまいます。
この革を気に入ってくださった
クライアントからいただいたオーダーは
手帳カバー。
前回お作りしたものと同じですが、
今回はペンをもっとカバーしたい、と
留めループの幅を広くすることに
なりました。
革をたくさん使うカバーですから、
果たしてこの革で
すべてのパーツを
取ることができるかどうかさえ
今回は大きな課題です。ですから
それに加えたループ幅のサイズ変えは
恐る恐るで、
少しずつ広くしてしていきました。
あまりにギリギリサイズのため、
胃が痛くなるようなご依頼です。
それが楽しいのですけど…
上のお写真は
パーツを切り出した後の革の様子です。
ほとんど余る部分がありません。
ここまで見事に丸っと革を使うことは
滅多にありませんから、
見事なものです。
こんなにギリギリの取り都合でも
斑柄の流れを尊重していますから、
出来上がった時に
違和感を感じることはないと思います。
また、本番パーツしか取れない大きさの
革であっても、
しっかり革の漉き具合は確認します。
どれくらい薄く漉くことができるかは、
製作にとって欠くことのできない
重要なポイントです。
取り都合といえば、以前ご紹介した
ゴールドのクロコダイル製品も
斑柄をどう取るかが肝でした。
いろいろある斑柄の取り方から、
1枚1枚の革の美しさをもっとも
引き立てる方法を見つけます。
美しく出来上がった製品は
誰もが違和感を感じることなく、
気持ちよく使うことができます。
この手帳カバーの出来上がりを
ご紹介できる日を楽しみに、
1人の技術者が製作に励んでいます。

3方ファスナーで180度開くシステム手帳 41204
2025/08/23
お持ち込みいただいた
ゴールドのクロコダイルを使って、
ファスナータイプのシステム手帳を
お作りしました。
ご希望いただいた手帳サイズが
大きく、3方ファスナーで閉じる
タイプだったため、
お預かりした革で、デザイン的に
うまく収めることができるかどうかが
最後まで問題だったオーダー品です。
用紙サイズ自体はバイブルですが、
そこに入れる大き目レフィルが
あるため、それをお預かりました。
今回こちらをお作りするに当たって
たくさんの問題がありましたが、
辛抱強くお待ちいただいて
ありがとうございました。
リングに用紙を挟むシステム手帳は
リング径が厚ければ厚いほど、
全体サイズは大きくなります。
ですがそれを
なるべく小さくしてさしあげたいので
こういった場合、レフィルを
お預かりすることにしています。
システム手帳のサイズが
より大きくなる必然として、
もうひとつ条件があります。
それは、3方をぐるりファスナーで
閉じる手帳で、全開できること。
今回は
その条件の両方に当たりますから、
用紙の大きさと比べますと
かなり大きめに感じることでしょう。
でも、当店でお作りするオーダー品に
無駄な大きさのものはありません。
必然的に導き出された大きさの中で
もっとも小さくなるよう、
すべて計算しています。
当初のご相談内容でしたら、
もっと小さいサイズで
済みそうでしたから、表面の革を
継ぐ必要はありませんでした。
しかし最終的なご希望が決まりますと
継ぐのは間違いないけれど、
果たしてこの革の横幅で
きれいな斑柄の取り方ができるかが
微妙になってきました。
この方からは、2枚の革を
お持ち込みいただきましたが、
できれば表面のメイン部分は
1枚の革から取る方が
きれいな仕上がりになるからです。
ご相談時に革の取り都合について
はっきりお返事ができなかったのは
これが初めてかもしれません。
あまりに微妙な問題でしたから、
「とにかく型紙をきちんと作って
お返事します。」としか言えず、
結果としては、
ギリギリでしたが、理想どおりに
お取りすることができました。
市販の量産品のクロコダイル製品は
斑柄の取り方がさまざまですから、
小物になればなるほど
いろいろな柄方向の製品になります。
多くの製品を
安価に提供しようと思ったら
それは当然の努力です。
でも量産品のように
クロコダイルであることが第一なら
1枚の革の
どこをどう取っても構いませんが、
当店のご依頼者の方々に
宝石のようなクロコダイル革の
一番の美しさを感じていただくには、
やはりこれが王道と思います。
ネットで調べれば
たくさんの製品が見られますから、
当店小物と他製品の斑柄を
比べて見るのもおもしろいでしょう。
当店クロコダイル小物の
典型的な斑柄の製品は、こちらです。
お店にご相談でおいでになって
たまたまご覧になる方は、
「宝石のようですね!」と
同じ言葉をお出しになります。
お写真にはその実際が出せていなくて
申し訳ありませんが、
ぜひ一度店頭でご覧ください。

製作中のオールコードバンのトートバッグ
2025/08/21
当店の長いオーダー歴史の中で
今回初めていただいたご注文品を
ご紹介します。
と言ってもまだ製作中。でも
同じ光景をもう一度見る機会は来る?
という稀有な光景なので、
みなさまにもお見せしたいです。
素材は今回、オールコードバン。
底面から本体、持ち手まですべて
コードバンでお作りします。
ひとつのトートバッグのために
10枚以上のコードバンを
一挙に購入するわけですが、
いつもの革販売の人は
小物を量産すると思ったらしく、
「いくつお作りになるんですか?」
と訊いてきました、珍しいことです。
デザイナーの答えを聞いてその人は
「今までにそんな注文の話、
聞いたことありませんね。
これでバッグひとつですか…」
と心底驚いていました。
*キズを避けたパーツの取り方
どんな革にもキズがありますから、
このように大量に必要とする場合、
必ず型紙を持って
まず革を見に行きます。
今回ラッキーだったのは、
革やさんが発注ミスをして
いつもの倍の量の革があったこと。
ご依頼いただいたトートバッグは
大きさもありますから
たくさんの枚数が必要ですし、
きれいな革でお作りしたいですから
できれば多くの革の中から選びたい、
と思って出かけました。
だから、選び放題!
なんと嬉しいことでしょう。
よくここに書くことですが、
コードバンなどエキゾチックレザーは
一期一会。
とくに今回のように
大量の革を必要とする時に、
量が足りなくて
お待ちいただくことも出てきます。
また、革のお色は
ロットによって変わりますから、
その明度によっては
今回のはちょっと…となることが
ないとは言えません。
ですから、お見積もりにOK頂いたら
デザイナーは、
ざっくりとした型紙を持って
すぐに出かけます。
「ざっくりとした型紙」
というのは、本番用の型紙でなく
これだけの面積の革パーツが
どれだけいるかを示す型紙です。
この時には全体像が出ていますから、
ダミーバッグを作って
技術者とデザイナーが慎重に
ラインを確かめつつ、
一つひとつのパーツにしていきます。
ここまでの作業を最短で行えるのが
店舗に併設したアトリエの強みです。
そして、複数の技術者がいることで
はじめて成立する手順です。
またアトリエが銀座に在りますと、
どの仕入れ先までも30分以内に
着くことができる地の利もあります。
だからこそ、珍しい革も
機会を逃さず
お入れすることができます。
ご希望は、どんな内容でも
まずお話しください。
技術と地の利を存分に生かして、
それぞれのご希望に
お応えしたいと思います。