実際のオーダー例
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クロコダイルのポロサス、喉部分の斑柄のキーケース 407
2024/08/29「今回の注文品を作ると
ポロサスのこの部分が余るようですが、
小さいキーケースは作れませんか?」
とクライアント。
注目してくださったのは、喉部分の革。
いつももったいないな、と思っている
まさにその場所のひとつなので、
このオーダー品に直結しました。
ありがたいことです。
*左側が喉の上の方。
接ぎ剥ぎのない自然のパーツはやはり美しい。
キーケースといっても
キー1本とエアタグを入れる予定なので、
なるべく小さくしてパッと持ち歩きたい
というご希望です。
エアタグがカバー付きのため
簡単なようでいて発想が必要なご依頼ですが、
「じつは私、
こういうキーケースを持っていまして」
と見せてくださった製品がありましたから、
今回はその一部の仕様を取り入れ、
まったく別ものに仕上げました。
*中身の厚みに合わせた広めのファスナー幅。
最小サイズにするための工夫が随所にあります。
右は実際に中身を入れた時の幅。ぴったりです。
また大きさだけでなく、
カバー付きのエアタグが
少し厚みのあるキーと重なりますから、
ふたつをそのまま重ねて入れるのでは
けっこうな厚みあるケースに
なってしまいます。
ですから、小さいとは言っても
ふたつの重なりが少しずれて収まるような
大きさにしています。
*実際に中身を入れたところ。
ドンピシャのサイズ感に歓声が上がりました。
出来上がったキーケースには
最終形として
ふたつの選択肢がありましたし、
絶妙な大きさの製作品であることや
ご注文者の大きさ感覚も問題にするお品では、
ダミー製品が大活躍します。
ご依頼者にはダミーを扱っていただき
最終形を決めることにしましたから、
いつもは
ご相談→出来上がり時、の2回来店ですが、
今回はそれに、ダミーを使用する来店
をプラスしていただきました。
おかげさまで、サイズはドンピシャ!
これ以上のフィット感で
このオーダー品を作れる人は、
どこにもいないでしょう。
お受け取り時、クライアントから
「これほどぴったりのサイズで
仕上がるとは、思っていませんでした。
最高の出来上がりですね!」
と言っていただきました。
*製品になるとこのように見えます
という柄の見え方を何種かお見せして、
全体のパーツ取りをご指定いただきます。
上のお写真は革の喉部分です。
基本的なお話をしますと、
ポロサスやナイルの革の場合
お腹を中心にして脇腹までがヨコ、
顎裏からしっぽまでがタテ、という1枚です。
お写真の上の部分が喉ですから、
下の方へ行きますとしっぽの裏側になり、
竹斑(四角い斑柄)斑柄に柄が変わります。
本体と竹斑の間にはおしりの穴があり、
そこまでが本体というイメージです。
少しリアルすぎる説明でしたでしょうか?
今回のように全部を使っていただけますと
革も本望です。
すばらしいご注文をありがとうございました。
クロコダイルはとても長保ちします。
ずっと重宝していただけることを
心より願っております。

クロコダイル、ポロサスの3点セット。ファスナー長財布
2024/08/27このポロサスは
ご依頼から半年ほどお探しした革です。
日本に入って来る輸入クロコダイルの中で
ポロサスの割合は、1割強くらい。
もともとの入荷数も少ないですが、
世界の革製品業界にはヒエラルキーがあって
高額な支払いをできるブランドが
まず最初に最上の革を持っていきます。
そして次なるブランド…となりますから、
革製品の製作が少ない日本では
「パーフェクト」な革は
ほとんど見つけられません。
何をして「パーフェクト」というか?
当店では、それは斑柄が水平にまっすぐで、
島(途中で水平を乱す斑柄の流れのことで、
これはデザイナーが勝手に使っている言葉)
のないタイプ、と解釈しています。
この解釈は各クライアントと接して
聞き取りをした結果の「パーフェクト」ですから
顧客目線での理解です。
でもそういう意味でお探ししますと、
どこの扱い店でもバッサリと
「あ、そういう革は日本に入ってきません。」
との返事が返ってきます。
リアルな生き物の革にもかかわらず
工業製品のような斑柄を求めるのですから、
それは当然、稀有です。
その旨は 最初に
クライアントにもお知らせしましたが、
その中でなんとか良いものを、
というご依頼をいただきました。
デザイナーは
ご依頼者のほんとうのご希望を
理解しているだけに、う~ん、と
うなりながらお探ししていました。
革問屋さんはそれぞれ独立して
自分なりの方法で仕事をしていますが、
横の繋がりのある所とない所とがあります。
どこが単独で
またどこがどこと繋がっているのか、
それこそが秘密なので、いつ、
どこにどんな革が転がり込んでいくかは
まさに縁しだいというところです。
信頼のおける革やさん複数にお声掛けして
候補が出るごと見に行っていたデザイナーが、
「今まで見た中でこれは一番!
これ以上はないと思います。」
という革があったため、
クライアントにはお写真でお見せしました。
なぜなら、クロコダイルの革は
お借りすることができないからです。
ところが、これは
デザイナーも気になっていたのですが、
革がやや大きく、今回のお品では
パーツの端に向かって斑柄が小さくならない
大きさだったため、
その旨もご説明したところ、
残念ですが今回は流しましょう…となり、
とても惜しい革でしたが
入荷しませんでした。
たまたまその時、デザイナーは
「あ、まだあそこがあった!」という
一軒を思い出し、出かけて行きました。
すると「先の革と違って島もないし、
水平さでは劣るけども、それ以外は完璧だわ。
このサイズなら長財布の斑柄もOKだし。」
という革と巡り会えて
今回のオーダー品となりました。
当店ではクロコダイル製品の内側には
当店オリジナルの表用ヌメ革を使います。
それは
クロコダイルには存在感がありますから、
ファスナーを開いた時
内側の牛革も存在感のある革でないと、
あら!?と違和感を感じてしまうからです。
中も外も同じバランスの製品であることは、
大事なポイントです。
というわけで、
クライアントからは喜んでいただきました。
店頭で、ご自分の目の前に掲げて
「ほんとにきれいです!」と
こちらまで嬉しくなってくる表情で
オーダー品を何度もご覧くださいました。
このたびはありがとうございました。

アップルグリーンの太幅ベルト 406N
2024/08/25ベルト好きなクライアントから
今回ご依頼を受けたのは、
一筆書きのような1枚革のベルトです。
この方からご希望いただくような
太幅のベルトは、
使用サイズの変更幅が大きいと、
何をもって最長、最短サイズとするか
また、フィット感はどこを基準とするか
という問題が多々起きますから、
今回もご注文者が良いと思ったベルト見本を
お持ちいただきました。
今回はオリジナル品からの
サイズ変更はありませんでしたが、
もちろんそこから
サイズ変更いただくことも可能です。
見本のベルトは
1枚革でサッと作られたように見えますが、
そこは綿密に計画された量産製品ですから、
手間暇と材料費がかからないような工夫が
あちこちで見られます。
たくさん作るからこそ、の製法です。
そういう製品をトレースする時、
当店では一本作るだけですから
最初から最後まで手作業となり、
場合によっては
対応不能な準備手順が出ることもあります。
それは「抜型」の存在。
たいてい抜型がなくても問題ないのですが、
今回は
ある部分に対して抜型を使うことで、
無理ない製作が可能になる作りでしたから、
そこを手作業で行うことは不可能でした。
それは、見本とまったく同じにする、
という意味でです。
そういうわけで、ひとつだけ、
小さな点を踏襲することが
できなかったのですが、
美意識の高いクライアントですから
その部分についてはご説明しました。
該当部分は、
気になる方と気にならない方とに分かれる
ほんとに些細な部分でしたが、
デザイナーはそれをお話ししないことは
許せなかったようです。
また、これは革の問題になりますが、
1枚革でお作りする場合
革の厚みが重要になってきます。
通常のベルトであれば
3~5ミリ厚の範疇でお作りしますが、
ファッションベルトの場合、
幅や、求めるしなやかさによって
それが変わってきます。
見本は1.6ミリという厚みでしたから
お選びいただいた革で
どう作るかが問題となりました。
表面加工は革によって違いますから、
同じ厚みで作っても厚く感じる場合もあれば
薄くてもしっかり感じる場合があります。
「こんな簡単なベルトでも?」
という声が聞こえてきそうですが、
作る人たちが作る立場から、
使う人が何を良いと思っているかを
正確に表現しようと思いますと、
このような
詳細な製品分析が必要になります。
このベルトは
締めますと上のお写真のようになります。
幅の広い部分と狭い部分のコントラストが
おしゃれなベルトです。
「出来上がってみると
色がさらにはっきりして、良かったわ。
いろいろ使えそうで楽しみ!」
このたびもありがとうございました。

定番を元にした上品キュートなショルダーバッグ 40608
2024/08/23当店での定番品オーダーについては、
多少のデザイン変更を
リクエストいただくことも可能です。
ご紹介するのはそんなアプローチ。
元になったデザインは
昔はもっと四角い形で
かっちりと作っていましたが、
その元型のラインを少し丸くして
厚みを付けるだけで、
以前の定番(ソニアという名前でした)とは
全く違うイメージになりました。
デザインおそるべし、です。
*A4を1/3に折ったサイズが入る大きさ。
マチの厚みがたっぷりありますから、
収納力もあります。
「私はオーソドキシーさんの
このラインが大好きです。ですから
フタをこの形にしていただいて、
そこにアクセントを入れてもらえませんか。」
今回
このようなリクエストをいただきました。
当店にはデザイナーがいますから、
そういうご希望も現実となります。
その場でイメージを描いて
方向性を確認してから、製作に入ります。
*本体から少し出るタッセルの長さは
持った時のバランスがきれいです。
今回お付けした飾りはタッセルです。
ちょっと珍しい付け方にしたのは、
なんと普通のタッセルの付け方では
きれいな付け方ができなかったので、
工夫した跡。
でもイメージ通りもハマりましたから、
苦闘の後には見えないと思います。
私たちは
一点一点のオリジナリティに対して、
厳しい目で、完成品として
納得いくまで追求していきます。
*後ろ面にはスマホが入れられるポケット。
このバッグの名前は
「ザ・ショルダーバッグ #1」
ですが、この形はバッグとして
ど定番だという認識が当店にはあります。
そういった認識のあるバッグには
アイテム名をそのまま付けています。
*ショルダーベルトは柔らかく、
無段階調節ができ、ベルトの余りが出ません。
最近当店でお出ししている
定番のショルダーバッグでは、
斜め掛けするものに関しては
ショルダーベルトの素材を「ルバル」に
変更しています。
ヌメとルバルは
当店オリジナルの牛革ですが、
同じ革の作り方から派生した
テクスチャーの違う牛革ですから、
本体がヌメで
ショルダーストラップがルバルでも、
きれいに質感が合います。
デザイン的にとても重要なことです。
また両者は
同じ色展開していますから、
それも違和感を感じない理由です。
*たっぷりした収納力があります。
ショルダーベルトをルバルに変えると、
いったい何が良いのでしょう?
まず、最初から柔らかい素材ルバルだと、
初めて肩に掛けた時から
心地よいフィット感を感じていただけます。
そしてこの革であれば、
革の端を出さない作りをしているので、
デリケートなニットの着用時も
擦れを気にせずお持ちいただけます。
*文庫本や二つ折り財布をはじめとして、
小さめのものならたくさん入るバッグです。
ショルダーベルトをこの革にすることで
もっとも良いことは、
「ショルダーベルトの余り」が出ないこと。
斜め掛けする場合と片方肩掛けの
両方をしたい場合、
ショルダーベルトの長さには
かなりの差が出ます。
通常のバックル式のベルトであれば
無理な調節レンジですが、
この方式なら無段階調節ができます。
毎回このブログでお見せしているのは
出来立てのオーダー品で、
記録として残すためのお写真なので、
タッセルの動きを出して
撮ることはできませんが、
お持ちいただく時には、ここに
躍動感が出ます。
ご注文者に使っていただくことで、
生きたバッグになります。
このクエストをくださったのは、
長いお付き合いのクライアント。
「年代が変わってきましたら、
持ち物が変わってきました。
デザイナーが言ってらしたように、
普段持ちのバッグが変わる時に
なったと感じます。」
ふと気づくと、
こちらのクライアントに
最初にお目にかかったのは
クライアントが20代前半の時でした。
かれこれ20年近くになります。
当店製品のたくさんの
ご愛用をありがとうございます。
このたびのリクエストから
またひとつの、
新しいデザインが生まれました。
この共同作業に、感謝感謝です。

仕事で使うトランシーバーケース 407
2024/08/21トランシーバーケースのご注文品です。
全部で8個お作りしました。
屋外で使う、というお話で
防水を、とご依頼いただきましたが、
前回、防水、撥水のお話をしたとおり
こちらの8点は超撥水革でお作りしています。
イタリアのタンナーで作られたこの革は
画期的な革でしたが、
製作方法がかなり限られているのが
難点です。
でもそれだけに、革の上から
何時間も水をじゃあじゃあ掛けても
びくともしません。
まさに、このオーダー品のための革、
と言えましょう。
さてこのお品、何が大変だったかと言って、
トランシーバーの形に凸凹がありますから、
そのまま作ったのでは
フィット感がまるで出ないことです。
そんなわけで
このフィット感を出す作業は
絶妙な手作業となり、
8個同じように作ることが
かなり大変でした。
ケースへ本機を入れる時、
私たちがいつもやるように
高級車のドアの開け閉めの感覚を持たせるため、
ここまでやるか、というほど
細かいケアを施したケースとなりました。
もちろん、高級車のドアのような
出し入れ感になっています。
仕事での使い方は、各自
ケースをベルトに通して使う
ということなので、装着しますと
上のお写真のようになります。
ドットボタンでしっかり装着できますが、
ベルトへの取り外しは
立っていながらでも可能です。
また、本機上部にはつまみがたくさんあるので、
本機とフタとの間に隙間ができてしまうことから
パッと取り出せるような
折りたたみできる耳を付けて、
なるべく水が入らないようにしています。
「なるべく本機を覆って欲しい」という
ご希望をいただいたのですが、
アンテナがあるため、
一辺はどうしても覆うことができません。
この点をご依頼者にご説明しましたら、
「できる限りで」と言ってくださったので
形として成立しました。
アンテナ側のマチも
できる限り水が入らないように、
フタに沿わせた形のマチにしています。
これ以上のことはもうできない、
というところまで現実にしました。
ご依頼者からのご感想をご紹介します。
「いつもながら痒いところに手が届く
すばらしいものでした。見事です。
次はまた私の財布をお願い致します。」
このたびもありがとうございました。