実際のオーダー例
40年3,000件を超えるオーダー実績
貴方のオーダーのヒントになさってください。
カテゴリー

アップルグリーンの太幅ベルト 406N
2024/08/25ベルト好きなクライアントから
今回ご依頼を受けたのは、
一筆書きのような1枚革のベルトです。
この方からご希望いただくような
太幅のベルトは、
使用サイズの変更幅が大きいと、
何をもって最長、最短サイズとするか
また、フィット感はどこを基準とするか
という問題が多々起きますから、
今回もご注文者が良いと思ったベルト見本を
お持ちいただきました。
今回はオリジナル品からの
サイズ変更はありませんでしたが、
もちろんそこから
サイズ変更いただくことも可能です。
見本のベルトは
1枚革でサッと作られたように見えますが、
そこは綿密に計画された量産製品ですから、
手間暇と材料費がかからないような工夫が
あちこちで見られます。
たくさん作るからこそ、の製法です。
そういう製品をトレースする時、
当店では一本作るだけですから
最初から最後まで手作業となり、
場合によっては
対応不能な準備手順が出ることもあります。
それは「抜型」の存在。
たいてい抜型がなくても問題ないのですが、
今回は
ある部分に対して抜型を使うことで、
無理ない製作が可能になる作りでしたから、
そこを手作業で行うことは不可能でした。
それは、見本とまったく同じにする、
という意味でです。
そういうわけで、ひとつだけ、
小さな点を踏襲することが
できなかったのですが、
美意識の高いクライアントですから
その部分についてはご説明しました。
該当部分は、
気になる方と気にならない方とに分かれる
ほんとに些細な部分でしたが、
デザイナーはそれをお話ししないことは
許せなかったようです。
また、これは革の問題になりますが、
1枚革でお作りする場合
革の厚みが重要になってきます。
通常のベルトであれば
3~5ミリ厚の範疇でお作りしますが、
ファッションベルトの場合、
幅や、求めるしなやかさによって
それが変わってきます。
見本は1.6ミリという厚みでしたから
お選びいただいた革で
どう作るかが問題となりました。
表面加工は革によって違いますから、
同じ厚みで作っても厚く感じる場合もあれば
薄くてもしっかり感じる場合があります。
「こんな簡単なベルトでも?」
という声が聞こえてきそうですが、
作る人たちが作る立場から、
使う人が何を良いと思っているかを
正確に表現しようと思いますと、
このような
詳細な製品分析が必要になります。
このベルトは
締めますと上のお写真のようになります。
幅の広い部分と狭い部分のコントラストが
おしゃれなベルトです。
「出来上がってみると
色がさらにはっきりして、良かったわ。
いろいろ使えそうで楽しみ!」
このたびもありがとうございました。

定番を元にした上品キュートなショルダーバッグ 40608
2024/08/23当店での定番品オーダーについては、
多少のデザイン変更を
リクエストいただくことも可能です。
ご紹介するのはそんなアプローチ。
元になったデザインは
昔はもっと四角い形で
かっちりと作っていましたが、
その元型のラインを少し丸くして
厚みを付けるだけで、
以前の定番(ソニアという名前でした)とは
全く違うイメージになりました。
デザインおそるべし、です。
*A4を1/3に折ったサイズが入る大きさ。
マチの厚みがたっぷりありますから、
収納力もあります。
「私はオーソドキシーさんの
このラインが大好きです。ですから
フタをこの形にしていただいて、
そこにアクセントを入れてもらえませんか。」
今回
このようなリクエストをいただきました。
当店にはデザイナーがいますから、
そういうご希望も現実となります。
その場でイメージを描いて
方向性を確認してから、製作に入ります。
*本体から少し出るタッセルの長さは
持った時のバランスがきれいです。
今回お付けした飾りはタッセルです。
ちょっと珍しい付け方にしたのは、
なんと普通のタッセルの付け方では
きれいな付け方ができなかったので、
工夫した跡。
でもイメージ通りもハマりましたから、
苦闘の後には見えないと思います。
私たちは
一点一点のオリジナリティに対して、
厳しい目で、完成品として
納得いくまで追求していきます。
*後ろ面にはスマホが入れられるポケット。
このバッグの名前は
「ザ・ショルダーバッグ #1」
ですが、この形はバッグとして
ど定番だという認識が当店にはあります。
そういった認識のあるバッグには
アイテム名をそのまま付けています。
*ショルダーベルトは柔らかく、
無段階調節ができ、ベルトの余りが出ません。
最近当店でお出ししている
定番のショルダーバッグでは、
斜め掛けするものに関しては
ショルダーベルトの素材を「ルバル」に
変更しています。
ヌメとルバルは
当店オリジナルの牛革ですが、
同じ革の作り方から派生した
テクスチャーの違う牛革ですから、
本体がヌメで
ショルダーストラップがルバルでも、
きれいに質感が合います。
デザイン的にとても重要なことです。
また両者は
同じ色展開していますから、
それも違和感を感じない理由です。
*たっぷりした収納力があります。
ショルダーベルトをルバルに変えると、
いったい何が良いのでしょう?
まず、最初から柔らかい素材ルバルだと、
初めて肩に掛けた時から
心地よいフィット感を感じていただけます。
そしてこの革であれば、
革の端を出さない作りをしているので、
デリケートなニットの着用時も
擦れを気にせずお持ちいただけます。
*文庫本や二つ折り財布をはじめとして、
小さめのものならたくさん入るバッグです。
ショルダーベルトをこの革にすることで
もっとも良いことは、
「ショルダーベルトの余り」が出ないこと。
斜め掛けする場合と片方肩掛けの
両方をしたい場合、
ショルダーベルトの長さには
かなりの差が出ます。
通常のバックル式のベルトであれば
無理な調節レンジですが、
この方式なら無段階調節ができます。
毎回このブログでお見せしているのは
出来立てのオーダー品で、
記録として残すためのお写真なので、
タッセルの動きを出して
撮ることはできませんが、
お持ちいただく時には、ここに
躍動感が出ます。
ご注文者に使っていただくことで、
生きたバッグになります。
このクエストをくださったのは、
長いお付き合いのクライアント。
「年代が変わってきましたら、
持ち物が変わってきました。
デザイナーが言ってらしたように、
普段持ちのバッグが変わる時に
なったと感じます。」
ふと気づくと、
こちらのクライアントに
最初にお目にかかったのは
クライアントが20代前半の時でした。
かれこれ20年近くになります。
当店製品のたくさんの
ご愛用をありがとうございます。
このたびのリクエストから
またひとつの、
新しいデザインが生まれました。
この共同作業に、感謝感謝です。

仕事で使うトランシーバーケース 407
2024/08/21トランシーバーケースのご注文品です。
全部で8個お作りしました。
屋外で使う、というお話で
防水を、とご依頼いただきましたが、
前回、防水、撥水のお話をしたとおり
こちらの8点は超撥水革でお作りしています。
イタリアのタンナーで作られたこの革は
画期的な革でしたが、
製作方法がかなり限られているのが
難点です。
でもそれだけに、革の上から
何時間も水をじゃあじゃあ掛けても
びくともしません。
まさに、このオーダー品のための革、
と言えましょう。
さてこのお品、何が大変だったかと言って、
トランシーバーの形に凸凹がありますから、
そのまま作ったのでは
フィット感がまるで出ないことです。
そんなわけで
このフィット感を出す作業は
絶妙な手作業となり、
8個同じように作ることが
かなり大変でした。
ケースへ本機を入れる時、
私たちがいつもやるように
高級車のドアの開け閉めの感覚を持たせるため、
ここまでやるか、というほど
細かいケアを施したケースとなりました。
もちろん、高級車のドアのような
出し入れ感になっています。
仕事での使い方は、各自
ケースをベルトに通して使う
ということなので、装着しますと
上のお写真のようになります。
ドットボタンでしっかり装着できますが、
ベルトへの取り外しは
立っていながらでも可能です。
また、本機上部にはつまみがたくさんあるので、
本機とフタとの間に隙間ができてしまうことから
パッと取り出せるような
折りたたみできる耳を付けて、
なるべく水が入らないようにしています。
「なるべく本機を覆って欲しい」という
ご希望をいただいたのですが、
アンテナがあるため、
一辺はどうしても覆うことができません。
この点をご依頼者にご説明しましたら、
「できる限りで」と言ってくださったので
形として成立しました。
アンテナ側のマチも
できる限り水が入らないように、
フタに沿わせた形のマチにしています。
これ以上のことはもうできない、
というところまで現実にしました。
ご依頼者からのご感想をご紹介します。
「いつもながら痒いところに手が届く
すばらしいものでした。見事です。
次はまた私の財布をお願い致します。」
このたびもありがとうございました。

お詫び:24日(土)は14時以降のご相談はお受けできません。
2024/08/20
お揃いのiPhone用スマホケースと革の防水、撥水について 407N
2024/08/19遠方の方からのご依頼品です。
お仕事で使うiphoneケースですが、
同じ機種を違う人がお使いになるため、
色違いでお作りしました。
以前お作りしたご注文品を
とても気に入ってくださっての
新たなご依頼です、ありがとうございます。
レッドはたまたま在庫している
イタリア製の超撥水牛革でお作りしました。
この革は、革の上から
6時間水を流し続けるテストにも
合格しています。
ブルーは違うタイプの革ですが、
表面加工をしっかりした革なので
多少の雨でしたら
ぱっと払っていただけば
シミにならない素材です。
ということで、今回は革の防水について
お書きしようと思います。
たまにあるご依頼内容に
「防水革をお願いします。」がありますが、
基本的に、革には
アウトドア製品のような防水素材は
ありません。
簡単に言えば言葉の問題なのですが、
防水という言葉は、外部から
水が滲みこむことを防ぐという意味ですから、
製品をじゃぼんと水の中に落とし込んでも
水が入らないことを意味しています。
仮にもしそういう性質があったとしても、
縫って仕上げる革製品には
針目がありますから、
そこから水が入ってしまいます。
ですから、防水革というのは
ある意味ナンセンスです。
しかし、少し乱暴な言い方をしますと、
雨ジミが出来ないくらいの耐水革、なら
たくさんあります。
もちろんその耐性には強弱がありますが…
もっとも単純な説明を試みますと、
強弱は別として
その革が耐水かどうか、という判断は、
ヌメか、その他の革か、という
区分けによって、下すこともできます。
ヌメ=すっぴんのお肌
その他の革=化粧のお肌
のようにお考えいただきますと、
なぜヌメはナチュラルなお色系しかなく、
その他の革には
それ以外のきれいなお色が出せるのか、
ということをお考えいただけば
分かりやすいと思います。
すっぴんのお肌に水が付くと、
ヌメは水が滲み込む状態の革ですから
染料がヨレてそのままシミになりますが、
化粧したお肌に水が付くということは、
化粧自体に水が付く、ことになります。
化粧は肌にとってのコーティングなので、
まずはそのコーティングが劣化することに
なります。
そしてそのコーティングの強さが、
革の堅牢さに繋がっていきます。
色落ちや色抜けがなく、ある程度
表面の擦れに対しての強度があれば
きれいで長保ちするわけです。
ヌメとヌメ以外の革には
このような大きな違いがあります。