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海外からの来客:日本の革製品の良いところ

海外からの来客:日本の革製品の良いところ

2024/07/06

現在カナダにお住いの

中国人クライアントがご来店なさいました。

この方は日本だけでなく

イギリスやドイツにそれぞれ

3~4年ほどお住まいの経験もあるため、

ヨーロッパやニューヨークの

革製品や文房具について、

かなりの知識を持ってらっしゃいました。

 

前回ご紹介した方ですが、

ご来店でのピックアップ時のお話が

とてもおもしろかったので

ご紹介しようと思います。

 

「私は文房具が好きで、

ヨーロッパやニューヨークなどでも

たくさん見てきましたが、

日本の文房具の進化はすばらしいです。

 

イタリア製品は少し前まで

かなり良かったのですが、

そこから先が発展していかないので

今は日本製品の方が

ずっと良くなったと思います。

 

A5サイズは日本だけの展開ですが、

このサイズはとても良いですよ。

メモを取るにはA4では大きすぎます。

こういうジョッターがあれば、ぱっと書けて、

鞄にも簡単に仕舞えます。

使っていると、

A5は一番いいサイズだと思いますが、

日本だけのサイズなんですね…」

 

「革製品についても同じように、

ヨーロッパ製品や

ニューヨークで販売されている製品を

使いましたが、やはり日本の製品が一番。

 

それは、ヨーロッパの製品は

細かいところに目が行き届いていなくて、

さて使うとなると、

使いにくいものがほとんどです。

 

財布の大きさが大きすぎたり、

鞄の中にポケットがなかったり、と

使うことを重要視していない製品が

とても多いと思います。

 

日本製だと、

これこれこういうために使う、

こういう時に使う、といったような

使う目的やシーンがまず想定されていて、

それに合わせて作られていますから、

大きさも良いですし、使いやすさも

自分に合うものが見つけられます。

 

おまけに、安い!

このような製品が

こんな価格で買えるなんて…

 

探しても見つけられなければ

カスタマイズできるお店がありますから、

日本の革製品の提供はすごいです。」

 

前にお書きしたように、

当店のオーダーメイドは

ガラパゴス的に進化してきました。

 

以前デザイナーがここにお書きしたことと

同じことを、この方は指摘されました。

でもまさか、海外の方に

それを説明していただける機会が訪れるとは

思っていませんでしたから、

今回のクライアントのご来店は

とても興味深いものとなりました。

 

デザイナーが言っていることを

実地で体験して、

裏付けをくださったようなものです。

 

革製品のオーダーメイドも、

ヨーロッパでのオーダーと

日本でのオーダーでは、

特殊なものを除いて、目的が違います。

 

私どものお店はまさに日本的で、

どんな時にどう使うか?をテーマに

みなさまのご希望にお応えしています。

でも、どんなアイテムであっても

持っている人の格を上げるものを、

と考えてお作りします。

 

革はそれぞれのお好みに合わせて

ずっと使いたいと思っていただけるものを

ご提供しています。

 

海外に、今回のクライアントのような方は

どれくらいいらっしゃるでしょう?

とても不思議な体験でした。

 

 

海外の方からのご注文、高品質のA5ジョッター 40524

海外の方からのご注文、高品質のA5ジョッター 40524

2024/07/04

海外の方とメールでやり取りしますと、

翻訳機の機能向上に驚くことがあります。

丁寧な日本語でお尋ねされると

こちらもそのようなモードになりますが、

そのような日本語を

どのように翻訳するのか…は不思議です。

 

ご紹介するのは、

「高品質のA5サイズのジョッター」。

定番でお出ししているのは、

「リーズナブル素材のA5ジョッター」

裏面を裏地専用の革にしています。

 

定番はあくまでも表面だけを使う前提で

お出ししています。

 

 

 

 

 

 

ウェブショップには、

このリーズナブル版のほか

「高品質A4ジョッター」というのも

載せておりますから、

 

このご注文者からはまず、

ご質問をいただきました。

「どこが違うのですか?

A5サイズでも高品質のものは出来ますか?」

 

このふたつの違いは、

高品質の方は、裏面にも

表用の革を使っていることにあります。

 

そうすることで、面をひっくり返せば

裏面であっても

すばらしい書き味を堪能することができます。

デザイナーが店頭で使っているのが

これで、クライアントの方々には

よく書き味をお褒めいただきます。

そしてすでに、

使い始めてから30年ほど経ちます。

 

 

 

 

 

 

昔は裏面もあまねく表革でしたが、

素材のご用意が難しくなったことで

ある時、

リーズナブル版をお出しすることにしました。

 

何度かこの欄でお書きしていますが、

私どもの定番は

長いものは30年以上ずっとお出ししております。

 

その定番は、変わらないように見えて、

細かいところでどんどん改変を入れています。

 

ご注文者のみなさまがお教えくださる

「その後」によって

わかることがたくさんありますから、

こうした方がいい、と思ったことは

細かく仕様や製作方法に反映させます。

 

 

 

 

 

 

改変前のジョッターは

10年くらい使いますと、

ものによっては反ってしまうことがあります。

どれが反るかは、はっきり言えません。

革は生ものなので

仕方ないと言えば仕方ないのですが、

 

今回は芯材を変え、革が破れたり

ダメにならない限りは使えるよう、

大きな改変をしていますから、

個体差は関係なくなります。

 

お手間はずっとかかる様になりましたが、

20年以上快適に使える前提であれば

それだけの価値があります。

 

 

 

 

 

 

身の回り品には気持ち良く、

長く使える良質な製品を持ちたい、

と思います。

多くは要りませんし、

何が必要か、しっかりと問うたうえでの

買い物をすることが

もっともSDGsの考えに則っています。

 

自分にとってほんとに必要なものは何か?

そして、いま自分が買おうとしているものは

それに値するか?

その製品のお値段は製品と見合っているか?

そんな買い物の基本を、もう一度

ふり返ることも必要と思います。

 

 

定番ハーフムーン二つ折財布 40508

定番ハーフムーン二つ折財布 40508

2024/07/02

この優しい形のお財布は

30年ほど定番でお作りしている

「ハーフムーン」

丸い形が手に馴染みやすく、

未だにご注文を頂戴します。

 

 

 

 

 

 

このたびいただいたご注文のお色は、

ワインカラーの型押し。

ご注文、ありがとうございます!

このお色は

栃木レザー㈱の新しい担当者が決まってから

さらに美しいお色を出してもらっています。

 

元来の指定色は深めのワインカラーで、

当時は(20年ほど前までは)意図せず、

カルティエ製品のお色のようだ、

と言われるお色でした。

 

そのようにシックで上品なお色でしたが、

少しずつ革の作り方が変わって行ったことで

同じ色出しが難しくなってきました。

 

それが現在は

以前デザイナーが指定した

昔のお色、シックで上品なワインカラーに

戻すことができています。

もちろん経年変化も

その本来の姿をみせてくれます。

 

 

 

 

 

 

このハーフムーン財布は

愛らしい形をしているにもかかわらず、

製作の仕方はかなりハードで、

きっちりと詰めていきませんと

美しく仕上げることができません。

 

「ジーヴズも難しいですけど、

このお財布の製作難易度の高さは

また別の意味で格別です。」とは

一技術者の証言。

 

 

 

 

 

 

何がそんなにテクニカルかと言いますと、

革を薄くする(漉き)時

ほとんどの場合、

ひとつのパーツの一部分対しては

一貫した漉き方をするのですが、

 

この財布は

その一部分の中で漉き方を変える

変わり漉きの方法を採っています。

ですから、

上手な人でないと失敗してしまいます。

 

初めてこの財布を作る技術者は

「こんな漉き方をするんですね!」

と、驚きの言葉を発します。

そしてしばらく練習してから

本番に入るくらい。

 

 

 

 

 

 

熟練した技術者でないとできない製品が、

当店にはたくさんあります。

 

熟練と言っても、

長い時間やってきたというだけでは

当店の技術者は務まりません。

 

難易度の低い製品を

いくらたくさん作ったとしても、

それはそれで別世界だからです。

 

以前、25年の製作経歴の持ち主に

スタッフとして入ってもらって

半月ほど経った時

「ここの製作方法に慣れるには

もっとずっと時間がかかります。」

と言われたくらいです。

 

 

 

 

 

 

こんな小さな製品ひとつとっても

たくさんの技術の集まりです。

 

このように、当店が技術を駆使するのは

みなさまのご要望を満たして、

美しく使いやすいものを作るためです。

 

その技術の粋を

みなさまからご注文いただく

たったひとつの製品に注ぎ込んでいる、

と知っていただければ嬉しいです。

 

 

海外で活躍するエレガントなブリーフケース 40401

海外で活躍するエレガントなブリーフケース 40401

2024/06/29

久しぶりにお作りしたブリーフケースは、

外縫いできっちり仕上げた

エレガントなメンズバッグです。

 

現在使っている

内縫いで柔らかなバッグを通じて

聞き取りを行い、

どんなバッグをお望みかを引き出して

具現化したものです。

 

 

 

 

 

 

クライアントは

アメリカと日本で働いていらっしゃる方で、

おいでになった時の服装は

カジュアルでしたが、

かなりピシッとした服装で

お仕事をしている方のご様子です。

 

 

 

 

 

 

お選びになった革はハイブランドの革で、

絶妙なお色の「トルティエール」。

これなら柔らかいイメージを演出できますが、

お仕事上それが必要かどうかは

お尋ねしていません。

 

なぜなら

これまでお持ちのバッグのお色が好き

ということでお見せしたところ、

ばっちりとハマったお色でしたから

すんなりと決まりました。

 

 

 

 

 

 

かっちり仕上げた鞄ですが、

じつはこの鞄、

要所要所が少し柔らかく

ゆとりができるようお作りしています。

 

このような工夫が

お写真で判らないのは残念ですが、

そのようにお作りしたことには

理由があります。

 

このタイプの外縫いのバッグは

面が堅いため、ポケット自体が

外側に出っ張ることはできませんから、

もし外ポケットに入れたいものが

厚みのあるものであれば、

入れることができなくなってしまいます。

それを避けるための工夫でした。

 

よく知られている例を挙げますと、

ダレスバッグの外ポケットです。

硬い面をしたダレスバッグに

平らな面の外ポケットがあっても、

よほど薄い紙くらいしか入れることができません。

 

 

 

 

 

 

この鞄の正面には大きい外ポケットが付き、

上のお写真の裏面のこのベルトは、

キャリーバッグの持ち手を挟むための

ベルトです。

 

かっちりしたデザインのバッグですから、

それに似合うエレガントな仕様にしました。

このベルトは伸び縮みして、

不要な時には折り畳むことができます。

 

 

 

 

 

 

本体のファスナーはダブルの引手で、

広く広がるようにしています。

 

バッグを開いて見えるのは、

ダークブラウンの裏地のお色。

ところどころに表の革を使って

中もエレガントに見えるよう仕上げました。

 

 

 

 

 

 

お忙しい中を縫って

取りに来てくださいましたが、

ひと目見て「ああ、いいですね、

それにとても軽い。

大事に使わせていただきます。」

とご感想をくださいました。

 

「今日はこんな格好だから似合いませんが、

ちゃんとジャケットを着た時にはいいですね。」

 

 

 

 

 

 

キャリーバッグにこの鞄を載せて、

颯爽とNYを歩くこの方のお姿が

目に浮かびます。

 

多くの日本人が

海外で活躍していらっしゃることに

店頭で接するたび、

どうぞ頑張ってください、と思います。

 

このたびはありがとうございました。

ますますのご活躍をお祈り申し上げます。

 

 

赤いオーストリッチの個性的なサコッシュ 40320 

赤いオーストリッチの個性的なサコッシュ 40320 

2024/06/27

 

「ずっと前に購入したバッグですが、

箱に入れっぱなしになっていて…

何かしら?と

箱から出して使ってみたら

とても使いやすくて…でも変な柄なので

革でこの形があると良いな。」

 

この方のクローゼットには

ご家族も驚くくらい

たくさんのバッグがあるそうですが、

すぐに使い出すものは少ないそうで

「こんなことばっかりあるの…」

などとおっしゃいます。

 

 

 

 

 

 

「大丈夫ですよ。」とお受けして

いざ作り始めてみましたら、

「この作り方は何?

バッグ製作のセオリーにない作り方。」

というびっくりする製作方法で、

それを看破するまでに

ちょっとお時間がかかりました。

 

同じに作る必要はないですよ、

と言われていましたが、

 

一般的な作り方と比べますと、

内側がずっときれいな収まりなので、

見た目に美しく、優れている、

と思う作りでした。

 

 

 

 

 

 

そこでそれを踏襲したのですが、

市販のバッグの中には

バッグ専門の作り手でない人が

考案したり作ったりしたバッグがあって、

興味深い作り方をした製品が

しばしば見受けられます。

 

バッグを専門に作っている人ですと、

まずこうした作り方にはしません。

 

このような製法を見ると

無駄なことをしているな、と

感じる時もありますが、

その無駄部分がないと

できない形だったりすることもあります。

 

今回のバッグは、どうやら

洋服を作る人が考えたと推測されます。

 

 

 

 

 

 

紆余曲折しながら

出来上がったバッグは、

個性的で可愛さもあります。

ご注文者にぴったりの個性。

 

「あら、こんな感じになったのね、

カワイイですね。

このオーストリッチの色が良いわ。」

ありがとうございます。

どんどん使っていただけると嬉しいです。

 

 

 

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