実際のオーダー例
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貴方のオーダーのヒントになさってください。
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10年ほど前にお作りした長財布の2代目 31117
2024/01/20当店をリピートくださる方の中には
10年20年経っておいでくださる方も
少なくありません。
本日ご紹介するのは
10年ほど前にお作りした風水財布。
オレンジ色でお札が100枚入ります。
当時と同じ仕様でお作りしていますが、
このお色は定番にはありません。
たまたま、品質が良く
この長財布に向くイタリア革があったので
今回はそちらでお作りしています。
前回は
栃木レザーに作っていただいた
当店オリジナルの革タイプでしたが、
その回ですべて使い切ってしまいました。
また今回使ったイタリア革は、
コロナ以来廃版になってしまって
これが最後の一枚でしたから、
ラッキーなご注文でした。
このように10年ご愛用いただきましたら、
ご使用者にとっては身体の一部となって
目をつむっていても扱えることでしょう。
それにしても
前回の革を気に入っていただき、
形を気に入っていただき、
こうして10年後にまたご注文いただけるのは
ありがたいことです。
またおいでくださって嬉しいです。
また
今回の革も気に入ってくださったので
安心しました。
話を革の話にいたします。
市販で販売されている革製品は
一期一期計画生産されるため、
革素材もそれをめがけて量産されます。
その量は計画生産に見合う量のみで
その一期ですべて消費されます
(ここでいう消費は、製造のこと)。
ですからどんな量産品も、
売り出されたその時期だけの製品。
その事実を別の言葉に変えますと、
「限定製品」「限定販売」となります。
ブランドなどもよくこの言葉を使いますが、
どのようなお品であっても
ある程度の数、市場に出せる製品は
「量産品」で「限定品」です。
そんなわけですから、
みなさまの求める製品や革に出会ったら、
それは貴重な一期一会だということを
思い浮かべながら、接してみてください。
また私どもの製品は、
量産ではありませんから、
さらに一期一会の度合いが高くなります。
ある時は製作可能でも、
ある時には材料がなくて製作できない、
ということもあります。
今回もご注文ありがとうございました。
これからの新しいお財布の期間も、
ご注文者を取り囲む環境が
良好であることをお祈り申し上げます。

ご自分でデザインなさったスマホケース 31004
2024/01/19「仕事柄スマホを持ち歩くのですが、
ケースに入れて腰から下げ、
動き回っても落ちないように
しっかりホールドしたいです。」
きちんとしたスケッチ画をお見せくださり、
ご相談くださったクライアント。
要所要所にデザインがなされ、
お好みがはっきりと出ています。
スマホがぴったり入るサイズなので、
実際お作りする時に
使いにくくなってしまう部分は、
ご相談しつつ変更して決めたのが
このスマホケースです。
デザイン性のあるお品なので
なるべくご希望内容に沿えるよう、
金具の色もお探しして進めた案件です。
そのおかげあってか、
出来上がり時に喜んでいただけました。
サイズもほぼ合い、安心しましたが、
少しだけ脚へ付けるベルトの長さは
短くする方が良さそうです。
こちらは、どこを短くすると
見た目よく、使いやすく直せるかを検討し
後日お渡しすることにしました。
ほんの少しのことで
デザインは崩れてしまったり
効果が出なかったりしますので、
出来上がり後の変更には慎重になります。
ただ、使えればいい、
サイズが合えばいい、
というわけではありません。
実際に中身を入れて
腰から下げていただいたところは、
上のお写真のようになります。
「これなら、スマホも
前ポケットに入れた小物も
パッと取り出せますね、大丈夫。」
では次に、太ももにもホールド紐を
付けていただき、
長さを確認しました。
当初お考えだったより、
もっと短くても良さそうなので、
先にお書きした変更をすることに…
遠方の方でしたから
お直ししてお送りしましたので、
うまくお使いくださっていると思います。
なるほど腰から下げ、
さらに膝上でホールドすれば
固定は安定してきます。
下のお写真が、
腰から下げる下げ紐の作り方です。
漫画の主人公がやっていそうな下げ方です。
実際に下げてみますと、
実利に適っていることにも驚きます。
外側のマチ部分に付けたリングに
キーをつけるかもしれない、
ということでしたが、
このお品のデザインにマッチしていますから
どちらでも問題なし、です。
多少いろいろなサイズが変わっても
問題なく装着できるタイプなので、
きっと長くお使いいただけると思います。
こういうデザインは
私どもではまず考えないので、
とても楽しい仕事でした。
ご希望いただいた金具の色が
なかなかなく、
変則的な金具になりましたが、
うまく調和は取れたと思います。
お持ちいただいたデザインを
現実的に
うまくまとめられて良かったです。
お使いいただいて何か起きましたら、
いつでもご相談ください。
この度はありがとうございました。

アトラクティブなエキゾチックレザーもあります。
2024/01/18ダークネイビーのゾウ革の評判が
とても良いので、お知らせです。
こんな革も入手できる時があります。
いつもあるわけではありません。
ご興味ある方いらっしゃいましたら、
お知らせください。
クロコダイルは、高品質の「ヒマラヤ」。
ヒマラヤと呼ばれるタイプの革が
たくさん出回っている中、
忠実な製法で作り上げた貴重な一枚です。
くっきりと出た斑柄と
色の濃淡の迫力が、段違いの革です。
クロコダイルの下に敷いているのは
深紅のゾウ革。
こんな色のゾウ革は滅多にありません。
印象的な自分だけのバッグが欲しい方には
うってつけのお色と思います。
エキゾチックレザーには
思いもかけぬお色もありますから、
この色は?ということがありましたら
ご相談ください。

小さいのにたくさん入るショルダーバッグ 30908
2024/01/16使っていって「これがいい」
と思える感触のバッグに巡り合えた方は
幸運と思います。
その幸運な方の中にも、
ご愛用のバッグをお持ちになって
「いいんだけども、もっと大きくしたい」
「もう少し内ポケットを変えたい」
というご希望をおっしゃる方は
少なくありません。
また、長くお使いになって
「同じものがどこにもないんです」
という方もいらっしゃいます。
今回のクライアントも同様で、
オーダーでは大きくしたい、という
ご希望を頂戴しました。
私どもがお作りするオーダー品は
一点一点製作方法が違いますが、
その中には、簡単に看破できるものと
そうでないものとがあります。
また、元になるバッグは単純な作りなのに、
ご要望が入ることで、根本的に
製作方法を変える必要が出てくるものも
あります。
これがじつは厄介です。
製作方法を変えますと、
場合によっては
外からの見え方が変わることもあります。
方法を変えても、同じように見えるよう、
うまく処理できるものもありますが、
そういうタイプは少ないかもしれません。
これは、バッグや鞄の製作方法は、
最終目的の形に向かって逆引きし、
出だしから出来上がりまでの
製法を定めていくのだということが、
よくわかる事例と思います。
そういう場合問題になるのが、
どこまで形を見ている人なのか、
その元になったバッグで
気に入っているのはどこか?
ということで、答えによって
ひとり一人に対する対応が変わってきます。
今回はご要望に合わせた部分で
そこまでの変更が必要かどうか、
見極める実験をしています。
その結果、力技は使いますが、
同じく見えるようお作りできることが
わかりました。
実際に、見本バッグに持ち運ぶものを
お入れになっているところを拝見して
お薦めしたサイズにしたのですが、
このバッグは、小さく見えて
なんとたくさん入ることでしょう!
上から2枚目のお写真では、
クライアントが入れていらっしゃるものと
同じものを入れて、容量を撮ってみました。
当店の製品の容量も多いですが、
これは驚くべき容量です。
ふたつのファスナーのうちの
ひとつの部屋には、厚みをつけて
収納を増やしていますから、
今まではぴっちぴちで
入らないものもありましたが、
今度はきちんとすべての物が収まります。
すべての形が整ってきれいにできますと、
製作者はそこで、やっと安心できます。
ほとんどないことですが、
最後に「あたたた~!」ということも
ないとは言い切れませんから、
確認の必要なことに対しては
考えられるだけ考え、検証を重ねていきます。
クライアントからは
「少し大きくして使いやすくなりました。
毎日持ち歩いて撫でていますから
ピカピカになるのは時間の問題だろうと
思われます。」とご連絡いただきました。
当店の革は、使えば使うほど
かっこよく育ってくれます。
でもそれには手でなでていただくことが
大きな役割を果たします。
苦労してお作りしただけに
このようなご連絡を頂戴できるのは、
まことにありがたいことです。
ありがとうございました。
また、このような難易度の高いものを
気持ちよくお作りできる機会を
いただけたことにも、感謝申し上げます。

オートクチュールとフルオーダーメイドについて
2024/01/14オーソドキシー のホームページでは、
かつて自分たちの仕事を
「オートクチュール」と呼んでいました。
オートクチュールとは
「高級御仕立服」のことで、
通常は洋服に対して使われる言葉です。
サイズを細かく調整することで
着る人を
もっとも美しく見せるラインを出し、
同時に
着心地の良いフィット感を持たせ、
着ていく場に適した
最高の見栄えを提供するものですが、
当店は、自分たちの仕事に
敢えてその言葉を使っていました。
残念ながら
「オートクチュール」という言葉が
一般的でなかった日本社会では、
それが何を意味するのかわからない人が多く
なかなか根付かなかったなったため、
3年前に作り直した新しいホームページでは
「フルオーダーメイド」という
最近市民権を得てきたと思われる言葉を
使うようにしました。
厳密に言えば、
もともとオートクチュールというのは
服飾業界の言葉でもありますし。
*映画「ディオールと私」より
オートクチュールコレクションの1シーン。
さて、それではなぜ私たちは
最初に「オートクチュール」という言葉を
選んだのでしょう?
それを分かりやすくご説明するにあたって
最適な映画があることを
デザイナーはたまたま思い出しました。
この映画を絶好のサンプルとして
当店の仕事をより深くご理解いただき、
ハイブランドの常連顧客の中でも
ごく一部の人にしか味わえない贅沢を、
みなさまも当店で経験していらっしゃることを
知っていただき、この奥深さを
愉しんでいただけると嬉しいと思います。
*2015年公開「ディオールと私」
映画パンフレットより
その映画とは「ディオールと私」です。
2015年公開(2014年製作)の映画で、
自身のブランドを持つラフ・シモンズが
ディオールのオートクチュールデザイナーを
していた時のドキュメンタリーで、
おもにアトリエを取材しています。
年間を通して
顧客に高級服をお仕立てしている
アトリエがもっとも忙しくなる時期は、
年二回のコレクションショー開催前です。
アトリエには
勤続30年、40年のベテランを含め
優れた技能を持つお針子がたくさんいて、
ラフの求めるイメージを的確に理解し、
求められたドレスのラインに
最適な方法は何だろうかと考えつつ、
コレクション製品を作り上げて行きます。
もちろん始める時には
どんなコンセプトの服にするかなどは
何も決まってなくて、真っ白な状態です。
*技術者一人ひとりが、自分の担当する
ドレスや分野に取り組んでいます。
こちらも映画のワンカットからの写真。
ラフ自身が何もないところから始めて、
ディオールというブランドにおいて
何をどのように表現するかを決めていき、
さらに自分が求めるイメージをまとめ、
納得できるデザイン服に仕上げていくのですが、
ショー開催までのすべての作業には
わずか二カ月しか時間がありません。
怖ろしい緊張感です。
映画の最後の方で涙するラフの姿が
目に焼き付いて離れません。
時に、最初に出来上がった試作を切ったり
色を塗ったりすることもあり、
紆余曲折を経て
最終形を追求していくのですが、
それはそれは厳しい美の追求です。
ショーの始まるギリギリまで
お針子たちは必死に製作を続け、
この映画のショーの前夜など
「もっとこのドレスには刺繍が欲しい」と
十人ほどのお針子が一晩中かかって
全員で刺繍をしていました。
もちろんすべてが細かい手作業です。
*デザイナーがイメージを説明する方法は
人によって様々。あいまいなイメージの言葉
からでもお針子たちは表現内容を捉えます。
新しく作るドレスのイメージや出したい
ドレスラインを理解し合いうことが、
完璧な製品を作る基礎となります。
映画「ディオールと私」より。
最終の詰めに入るまでに出来たものに対して、
今見えいるラインがそれでよいかどうか
矯めつ眇めつ確認し、
少しでも違うと思えば、何度もやり直します。
いまはアトリエの中での出来事だけを
列記していますが、
そこに布という素材を作る人たちが関わり
(この布選び、布製作は圧巻でした)、
布に刺繍する素材はもちろんのこと、
映画には出てきませんでしたが、
実際に着用して必要な場に出るためには、
芯材や裏地のことなどにも
特別な内容が関わってくることでしょう。
それこそ秘密の技術なのでしょうが…
*最初の打ち合わせはもっとも大切です。
完璧な製作にはたくさんの人が関わります。
映画「ディオールと私」より。
この映画を公開当時観たデザイナーは、
「うちとそっくりな厳しい作業やってる」
と思ったそうですが、それを使って
みなさまに当店のアトリエで起きていることを
お教えするのにちょうどいい、とまでは
思い浮かばなかったとのこと。
それをたまたまアマプラで再度観て、
「うちって、これとそっくりなことやってる」
とやはり思ったそうで、
当店顧客のみなさまには、
オーソドキシー で
こういうことをやっているんだ、と
知っていただければおもしろいのでは?
とこの映画をお薦めしようと思ったそうです。
フルオーダーメイドって何?と訊かれたら
それは和製英語ですし、
内容もあいまいですが、
オートクチュールとは、
デザイナーがデザインした
ブランド独自の世界観を持った洋服を、
顧客に合うようにサイズを厳しく合わせ、
時には少しの変更も加えつつ
一人ひとりの顧客にお作りすること、です。
当店が通常行っている一連の製作作業は、
まさにこれ!
しかもそれは
特別なコレクションショーのために、ではなく
一人ひとりの顧客に合わせて、
一点一点のオーダー品に対して行っています。
リクエスト内容に沿ってデザインしながら
実在の、使える製品に作り上げています。
なるほど!それで、「オートクチュール」と
呼びたかったんですね。
さらに当店デザイナーは言います。
「ぜひこの映画をご覧ください。
どこにも存在しないモノを
ゼロから産み出すには、
大きな意味でのファッションの
哲学的な考えの基礎はもちろん、
デザイン上の方向性の決定も必要です。
それがそのブランドの背骨となり、
共通して感じ取れる
ブランド独自の「ライン」を作ります。
私は、当店製品のデザイン意匠は、
持つ人の個性を生かしながら
その人のうつくしさや品格が見えて欲しい、
と思っています。
そして、製品の全体像を見ていただく時
これはおもしろい、と
愉しんでいただけるものにしたいです。
また、当店製品を使うことで、
その人の身体が楽になって
仕様や使い勝手に満足いただけることは
つねに心がけています。」