実際のオーダー例
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貴方のオーダーのヒントになさってください。
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軽くお作りするのに苦労したバンブーハンドルのバッグ 30502
2023/10/02「このバッグが
今までで一番使いやすいのですが、
合皮製なのでところどころ
表面が擦れてきてしまって…
A4がちゃんと入るように
大きくしてもらって
なるべく軽くしたいのと、
ステキな鞄にして欲しいです。」
というご依頼をいただきました。
たまたまバンブーハンドルの
在庫を持っていましたから、
材料としての不備はありません。
しかも昔の素材なので
とても良い品質のハンドルです。
しかし、しかしです!
A4が入るサイズで、見本より大きくし、
これほどたくさんの仕切りの鞄を、
どこまで軽くできるでしょう?
今日もチャレンジングなご注文です。
3枚目のお写真をご覧ください。
このバッグの内側には、
表から見えない部分が
一か所としてありません。
見本は合皮なので、
それぞれのパーツの表も裏も
すべて同じ合皮で作られていますが、
それは一番合理的な作り方だからです。
でも、同じように革で作るとしたら、
いったいどれだけの量の革が要るでしょう。
そしてそのように作ったら
見た目は最高にステキですが、
いったい重さはどうなるでしょう?
数々の山積する問題を横目に見ながら、
さまざまなトライアルをし、
製作方針を立てていきます。
このバッグのように
製作方針を立てるまでに
ここまで時間のかかるオーダー品は、
滅多にありません。
軽く作り過ぎれば保ちは悪くなりますし、
しばらくの間
手を動かしながら途方に暮れている
製作責任者の姿を見ておりますと、
この仕事はたとえ何十年続けたとしても
解きにくい難題ばかりの仕事だと、
あらためて理解します。
部分試作をたくさん行ってたどり着いたのは、
表も裏も同じ革で仕上げる方法でした。
結果から言いますと、見本鞄より
一回り(横幅で+3センチ)大きく作っても、
180gほど重くなっただけで
仕上げることができました。
オールハイブランドの革製です。
「うわあ、ステキです!
おまけに軽い!
(バランスが良い鞄は軽く感じます)
これができるまで
このブランドバッグを持っていたんですが、
ここで取り換えて、これで帰ります。
このブランドバッグしか
これだけ荷物が入るバッグが
なかったからですが、
これは鞄だけで重くて。
今回のオーダーバッグが
こんなに軽くできるなんて嬉しい。」
とすぐに中身を入れ替えてくださいました。
お作りした私どもにとって
何よりも嬉しい行動です。
お持ちのブランド鞄を
持たせていただきましたが、
その重さには驚きました。
当店製品では考えられない重さです。
きっと今頃
身体も楽ができるステキなバッグ生活を
お送りいただいていると思います。
ありがとうございました。

コンパクトさが定評ある定番小銭入れ 30710
2023/09/30若い女性からお電話をいただきました。
「先日友人が買い求めた小銭入れが
とても良さそうに見えたので、
私も欲しいと思います。」
お友達と当店においでくださり、
その時は見てるだけだったけれど、
友人が使っているのを見ていたら
良さそう!と思ってくださったとのこと。
「バッグが小さいので、
小さくても使いやすい小銭入れにしたくて。
これって、たくさん入りますよね。
シンプルなデザインだし、
この小さなバッグにちょうどいいです。」
驚くほど小さなバッグです。
店頭で見本をご覧いただき、
どれくらい中身が入るかをお見せすると、
黒でご注文くださいました。
この小銭入れは
当店開店以来の定番ですが、
定番から外すことは考えられません。
小銭入れとしては
小さいのにたくさん入りますし、
使い慣れてくると
しっかり形があるのに
やわやわと柔らかくなり、
手触りは驚くほど良くなります。
人によってはこの中に
鍵を入れる方もいらっしゃいます。
バッグやポケットに入れる時には
丸い形が
入れる時、手助けをしてくれます。
きっと今頃は
便利な毎日をお過ごしと思います。
この度はありがとうございました。

おしゃれで丈夫なベルトポケット(ベルトバッグ) 30408
2023/09/28
「これがまあまあ良いんですがね、
少し大き過ぎて、もうちょっと…
というところなんですよ。
ぴったりサイズで作って欲しいですが
出来ますか?」と
ベルトに通すバッグを
微妙なサイズでご依頼いただきました。
当店フルオーダーメイドでは、
このような「ぴったりサイズのバッグ」
というご注文を多くいただきます。
バッグだけでなく、
革製品のぴったりサイズは、
多くの方が、気持ちよく使える、と
思ってらっしゃることがわかります。
おしゃれな雰囲気のクライアントが
見本として見せてくれたのは、
以前関西でつくってもらったという
オーダー品です。
もうそこは止めてしまったので、
と当店を探してくださいました。
見本は、
当店では、この見本品を見なければ
このようには作らない、という
ワイルドタッチですが、
丈夫に作ろう、という意識が
はっきり見てとれる良い製品です。
おそらく依頼を基に、
どう作ろうか、と考え、
自分の好きなやり方で仕上げた
デザインアプローチと思います。
前の製作者の
製作方法と個性が表れているのは、
ウエストベルトに装着する
2本のベルト部分。
本体、ベルト部分、と別々に作って
それを合体させていますが、
そのおかげでかなり丈夫になっています。
「このデザインはお好きですか?
ベルトに着けやすかったですか?
ベルトから下がる距離は、
これでいいですか?」
などお尋ねしますと、
服装や雰囲気から読み取れるように、
かなり気に入っている模様ですし
ワイルドな方がお似合いになる方です。
そこで、同じデザインを踏襲しながら
少し洗練されたイメージにしました。
おもしろいことに、
製作物の出来上がりイメージは
製作する人の雰囲気に似ます。
革製品とひと口に言っても、
ワイルド、エレガント、コンサバ
さらには上品、カジュアル、など
さまざまなイメージの製品があります。
そしてそのイメージは、
製作する人が
どんな出で立ちをした人か、まで
推し量ることができます。
その中でワイルド系は
見分けやすいかもしれません。
とくにお会いしなくとも、
バイク系やインディアン系の
製品は、ひと味違います。
どれが良いか、という問題ではなく、
ご自分が好きで、持ちたいものは
どういう系統のものか、が
選別のポイントです。
私たちは、格高くお作りして、
カジュアルな服装でお持ちいただいても
ランクアップすることを目指しています。
どんな製品を見本にしても、
その製品の特徴を生かしながら、かつ
持つ方の年齢やイメージにふさわしく
ランクアップさせることも、
重要なことと思っています。
クライアントからは、
とても気に入っていただけました。
厚手の革でお作りしていますから、
長く使っていただけると思います。
この度はありがとうございました。

腕時計と一体型の時計ベルト 30804
2023/09/26こちらもパートナーの方への
プレゼント製品です。
数十年前のGICCIの腕時計ですが、
「もう時計ベルトが売られてないんです。」
時計を拝見しますと、
時計とベルトが一体型になっている
珍しいタイプ。
当店は何十年も前、
ミンクスさんという美容室に
シザースケースをお作りしていましたが、
その製品をご注文くださっていた方で、
ネットで探して「ここはまだやってるんだ」と
おいでくださったとのことです。
「今では、シザースケースを
定番で出しているところが
たくさんありますが、
当時はどこも作ってくれなかったですね。
新人のデビューには
必ずプレゼントしてました。」
懐かしいお話をしてくださいます。
「この時計はパートナーのものですが、
使えなくなってから
しばらくがっかりした顔をしているので
喜ばせてあげたい、と思います。」
新人さんへのプレゼントもですが、
こういうすばらしいお気持ちをお持ちです。
この時計ベルトの製作に関しては
「必ずできる、とは申しかねますので、
お預かりして、もしできたら、
ということでよろしいですか?」と
お話ししました。
ピタッとはまった一体型は
あまりに精密で特殊です。
このベルトを作ったメーカーならば
時計に合わせた抜き型や芯材を
最初にそろえていますから、
流れ作業で
簡単に作ることができるのですが
(もちろんひとつ目の型作りは大変です)、
当店が行う作業は
その最初のひとつ目の型作りにあたりますが、
ひとつ目にも関わらず、型見本ではなく、
製品として完成させる必要があります。
ひとつ目を元に用意した本番用の抜き型や
特別な形の芯材はありませんから、
細かい部分はすべて、
通常の道具を使った手作業となります。
通常の道具だけを使って
特別な製品を作る時は、
まず製作の方向性を決めるために
細部までリアルに考えなくてはなりませんし、
まずは道具を思ったように使える技術が
必要です。
こうした作業になりますと、技術者の中でも
できる人とできない人とに分かれます。
誰もができる作業ではありません。
どんな製品を依頼されても大丈夫、
となるまでに、
技術者たちには長い時間の研鑽を
余儀なくされます。
*革を時計をはめ込む厚みと
切り取り穴の形でいくつか試作し、
本番製作に入ります
当店の42年の歴史は、
そうした追及の長さと
正しい方向に研鑽してきた
技術習得の歴史でもあります。
久しぶりのご来店とご注文を
ありがとうございました。
この方のお人柄に触れ、
優しい気持ちを味わわせていただきました。
パートナーの方に喜んでいただけるよう
願っております。

当店オリジナル革の二つ折り財布:手触りの良さや使い勝手について
2023/09/24「これまでに
いろいろな革製品を使ってきましたが、
5年くらい前にここで作った
オーダー財布の革は、最高です!
この手触りと感触は
今までに味わったことがありません。」
とても嬉しいお言葉です。
*お調べしたところ
6年半近く使っていただいています
「オーダーで特別仕様にしてもらった
お財布が使いやすことはもちろんですが、
それ以上に
どこの革製品と比べても
こんなに気持ちの良い革はありません。
だからパートナーにも持ってほしいと思って。
プレゼントでお財布を作ってくれませんか?」
先日お寄りくださった若いお客様から
当店オリジナル革、ヌメのネイビーについて
こんなご感想を頂戴しました。
このように、当店オリジナルの
革素材についてご理解いただけるのは、
とてもありがたいことです。
*内側もツヤツヤ!
そもそもこの革は、
独自の品質ベースを最初に作るために、
10年ほどの年月、ずっと観察し、
栃木レザー㈱さんの
当時の担当者との研究から産まれた
特別レシピです。
他所の会社にこの革は出されていません。
もちろん今でも
その観察と研究は続いていますが、
今のそれは
当初の品質をなるべく護るためのものへと
変わっています。
*こっちの面はキズついていますが
かなり治っています
対環境の面から、どんどん変わっていく
原皮そのものや鞣し材料の変化、
入れる脂や染料の変化など、
つねに変転していく「生もの」の製造を
昔と同じような品質で作ることの方が、
今では、却って大変なことです。
ですからそのような努力をしているところは
まずありません。
私どもが小さなブランドで
革の使用量が少ないがために
製作可能になっていること
(超一級の原皮が必要なので)と、
栃木レザー㈱さんが
当店を誇りに思ってくださることとで、
続けていただいている特別な計らいです。
*まだまだお使いいただけます
時代の変遷に合わせて品質を変えていくことを
「進化」と呼ぶのかもしれませんが、
人間の五感にとって
それが良いかどうかはわからない、と
デザイナーは考えています。
触れることで気持ち良いと思う
手指の感覚、
鼻に入ったら、よい匂いなので
思わずクンクンして確かめる感覚、
エイジングして表面がつるつるになって
治った傷を見て、愛おしく感じる感覚、
新しい頃とは明らかに違う、使い込んだ時の
キュッキュッという音の感覚、など、
まさに五感をフルに使って
楽しんでいただけるのが、
当店のオリジナル革です。
ですから、このお客様のこのお言葉は
千の言葉に勝るもの。
*6年半ほど前の、作りたての時の同じ財布
以前から、
「寝る時にはこのバッグを触りながら寝ます」
「この革の手触りを知ったら
他の革製品を使う気がなくなりました」
「白くえぐれてしまった傷も、
手でなでていくと治っていくんですね」
などなど、
さまざまなご感想をいただいていますが、
ちょうど現在の革の製造について、
担当者がリタイアした状況になった頃から
変わり目に入り、
何年間も緊張状態が続いていたことが
ひと段落したところでした。
(それもあって、色揃えのこともあって、
4年ほど前から
ハイブランドの革なども扱っています)
*作りたての時の財布の内側
定番をいくつか組み合わせたもので、
小銭入れの向きが変わっています
このお客様の言葉をお聞きしたときは、
ちょうど栃木レザー㈱さんとの
「これから」のお話が済んだところで、
一段と響いたのです。
幸運なことに
品質を護ってくださる担当者と
巡り合うことができたので、
また当店のオリジナル革を
みなさまにお届けできることがわかり、
ホッとしたところでした。
*フランス革の色揃え(一部)
さてここからは
革の色と革質の違いについて、
と内容は少し変わります。
上のお写真の鮮やかな色の革は、
誰もが一目見て「きれい」と思えるでしょう。
しかし人によっては、その後指で触って、
「この革の手触りは硬いですね、
手になじまない。」とおっしゃいます。
そのように感じるのは、革に
きれいな色を出すための加工をすると
必ず硬い表面に仕上がるので、
当然の結果です。
この硬い表面は、ずっと変化しません。
傷が治ることもありませんし、
ツヤが出ることもありません。
しかし、変化しませんから、
ずっと最初のイメージのまま。
これが当店オリジナルとの一番の違いです。
きれいな色の革は、当店の革と対極の革です。
色がもっとも大事な要素である方には
このような革の中から色をお選びいただきます。
当店は、ご注文者にとっての「良い革」は
一人ひとり違う、と認識しています。
*当店オリジナル革の色揃え
しかし、
どうして当店のオリジナル革には
定番カラーしかないのか?
それは、人の五感を大事にしているからです。
でも、当店のワインカラーやネイビーは、
普通のヌメ革にはない色揃え。
自然な五感の感じ方で
気持ちよく使える当店オリジナル革は、
しばらくは健在です。
こちらのお客様からは
「ずっと長く続いて欲しいお店です」
とも言っていただきましたが
(ありがとうございます)、
諸事情でどこまで行けるかはわかりません。
良い品質の当店オリジナル革の製品を
欲しいと思ってくださる方は、
早めにお考えいただくことをお勧めします。
それにしても、こんなにも
当店の革を好きでいてくださったお客様には
感謝感謝です!
おかげさまで、いま一度
自分たちの基本を振り返ることができました。
革を作っていただいている栃木さんとも
新たな歴史を始めることができます。
今回はそれを思い起こさせていただき、
ありがたかったです。
パートナーの方へのプレゼント財布も、
全力でお作りします。