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ふたつ目のクロコダイルブリーフケースタイプのショルダーバッグ 302N

ふたつ目のクロコダイルブリーフケースタイプのショルダーバッグ 302N

2023/04/11

こちらのクライアントには

サイズ違いx同じ仕様のバッグを

いくつかお作りしております。

 

そのいくつかを長い間

使ってくださってのご感想は、

「やっぱりクロコダイルが好きだし、

サイズはA4が入る方がいいですね。

同じように作って欲しいんだけど、

革は何色があるかな?」

 

お作りしたバッグは

外から見るとシンプルなデザインですが、

たくさんの小物が

それぞれうまく収まるようにしているものです。

 

 

 

*A4サイズが入る本体+前ポケット

 

 

前にお作りしたクロコダイルは黒、

サイズはA4よりも少し小さいものでした。

今回はダークグリーンをお見せしたところ

気に入ってくださいました。

ツヤを抑えたシックなグリーンです。

 

何度かご来店いただきましたから、

この方のおしゃれの雰囲気を

きっちり理解してのお薦めです。

決して派手ではありませんが、

凝った印象を与えてくれるダークグリーンは

お召し物のカラーにもぴったりです。

 

 

 

*取り外しできるショルダー紐付き

 

 

 

このバッグの製作の複雑なところは

枚挙に暇がありません。

本体の形は

ファスナーがかなり下まで開くタイプで、

その内側にはストッパーがあります。

 

ファスナーは広く開くけれども

中のものが落ちることはありません。

 

その本体には

厚みのある前ポケットがついていて、

後ろ面にはファスナーポケットがあります。

 

 

 

*厚みのある前ポケット内側

 

 

また、この鞄の中に入れるお品物は

多くが小物で、品数も多いものですから、

目をつぶっていても

中身を取り出せるくらいに

それぞれの小物が収まっていることが

必要です。

 

それがすべてうまく働いてくれれば、

今回のバッグはまた

持ち主の身体の一部になることができます。

 

 

 

*本体、浅いフタ部分の内側

 

 

8~9年お使いいただきましたから、

生活も持ち物も、少し変わってきています。

 

前回の仕様から

それを反映させるマイナーチェンジを

ご要望いただきました。

 

今回見本としてお持ちくださった

(前回お作りした)黒のクロコダイルバッグは、

とてもきれいなツヤが出て

まだまだこれからも活躍できる状態です。

 

いくつかを使いまわしていただきますと、

こんなにきれいに鞄をお持ちいただけるのだと

あらためて認識しました。

 

 

 

*本体、深い側の内側

 

 

マイナーチェンジは本体内側にもあります。

深い側の内側に付いていた

ひとつの大きな仕切りは、今回

横幅が大きくなることで

2列に分けることになりました。

 

サイズが変わることで起こる

使い勝手の変化に

対応させようという目的です。

 

そして大きいサイズになった分、

時に500mlのペットボトルを

ホールドしたい、という話になりました。

それで、折り畳めるホルダーを

お付けしています。

 

 

 

*背面外ポケットの内側

 

 

背面の内ポケットには

厚みこそ取ってありませんが、

ぱっと取り出したい日常使いの小物が

すべて収まるようにしています。

 

バッグ本体の面を硬くしすぎなければ、

こういった使い方が可能です。

 

何年も経ってから

同じ仕様でお作りするのは

みなさまのご想像より難しいかもしれません。

 

製作方法はどんどん進化しているからです。

ところがこういったご注文をいただきますと、

見本のないまま模索しながら作るものは

すばらしい結果を産む、

ということに改めて気づきます。

 

そしてそれを踏襲することが

私たちの思った以上に大変であるのは、

一点一点その時のご注文者のお話に

良く耳を傾けているからだと

気づきました。

 

このたびのバッグも

ぜひ長くお使いください。

ありがとうございました。

 

 

ブルース・リーのベルト 30102

ブルース・リーのベルト 30102

2023/04/09

 

「このベルトを使いたいのですが、

スーツ用としては太すぎるので

スーツにできるような幅で

作り直してください。」

 

最初にこのベルトバックルを

拝見した時のデザイナーの顔は、

お見せしたかったくらいです。

 

「どうやって使うんですか?」

まるで知恵の輪です。

 

丸い輪っかとバーは

それぞれが単体です。

ループにしたベルト革の一部を

輪っかから出して、

そこにバーを挿して留める仕組み。

ご理解いただけるでしょうか?

とても変わったベルトです。

 

 

 

 

 

お話を伺いますと、これは

ブルース・リーのしていたベルトを

限定数で復刻させたものだそうです。

 

ここに上げることは出来ませんが、

彼がこのベルトを

細身のスーツに付けている写真も

拝見しました。

このタイプのベルトが

スーツ姿で似合うなんて、

やっぱりスーパースターです。

 

ご注文者が

使いたくなるお気持ちがわかります。

 

 

 

 

 

ちょうどこのご注文をいただいた頃、

デザイナーは

香港映画界のスタントマンたちを描いた

ドキュメンタリー映画

「カンフー スタントマン」

を観たばかりで、

食いつき良く話を聞いていました。

 

本作は

ブルース・リーの登場以前からの話で

サモハンキンポーも

香港映画界で製作者として

重要な役割を担っていました。

 

カンフーの型は、もともと

京劇の師匠が教えていたものだそうで

「見せるための戦いの型」であり

「実戦的」でありませんでした。

 

その頃の業界では

どんなに危険なスタントであっても

Noを言わないのが

スタントマンの矜持であり、

予算の少ないカンフー映画を

もっとも魅力的にするための

驚くほど危険なスタントでも、

みんなしてその依頼を受けていました。

 

今では、同じような意味で

身体を張ったスタントは

滅多にありませんが、70~80年代

ハリウッド映画と対抗するには

生身のスタントくらいしか

彼らにはありませんでした。

そんなわけで当時

世界に名だたるカンフー映画が

キラ星のごとく生まれたわけです。

 

 

 

*スーツ用に細めにしたベルト本体の形

 

 

そんな「見せる型」としての

カンフーアクションから

ほんとに打撃するようになって、

映画の中で

圧倒的に戦う時間が短縮されたのが

ブルース・リーの映画です。

それまでの映画中で戦い場面は、

20分くらいが主流だったようです。

 

彼はアメリカに家族で移住したので

アメリカで役者の道へ進んだのですが、

当時はひどい人種差別で、

アイデアは採用されても

彼自身の作品は作られない…

そんなジレンマから香港へ戻り、

後に香港映画界へ入ったそうです。

そんな経緯で生まれた主演第一作が

あの「ドラゴン危機一髪」。

 

ブルース・リーについて

初めて知ることばかりでしたが、

アメリカの大学で哲学を専攻し、

高校でも教えていたと知って

驚きました。

 

だから

香港民主化運動で合言葉となった

「Be Water」を始めとする

たくさんの深い言葉を

残せたのですね。

 

と…ずいぶん道を外れましたが、

このお店におりますと、

自分一人では

知る機会がなかったことに

遭遇する機会に恵まれます。

クライアントのみなさまに感謝!

 

とにかく、このご注文者が

スーツ姿で

このベルトをお付けになるお姿を

拝見できる機会を、

楽しみにしております。

このたびはありがとうございました。

 

 

200万円以上の札が楽に入る、スカイブルーの柔らかい長財布 303N

200万円以上の札が楽に入る、スカイブルーの柔らかい長財布 303N

2023/04/07

 

「いやあ、ほんと

作ってもらって良かったです。

すごく気に入ってます。」

言いながらお立ち寄りくださったクライアント。

お受け取り後

さっそく使ってくださっています。

ありがたいですし、嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

「柔らかくて気持ち良くて、

とても気に入りました。

思った以上の出来です。

これならたくさん入っていても

そういう風に見えないから

安心して出歩けます。」

 

 

 

 

 

 

たしかにお財布には二束以上入っていますが、

ペタンとしているので

大した量は入ってなさそうに見えます。

「競馬が好きですからね、

これを持って競馬に行けば

安心して歩けますよ。」

 

元々は陣内智則さんのYouTubeを見て、

「え、この財布に100万円入ってるの?」

と思ったことがきっかけだそうです。

 

 

 

 

 

 

「こんな財布、どこに売ってるの?」

探しながらそう思ったので、

何度もそのビデオを見ては

全体像をつかんで行ったそうです。

 

そうしたら「そうだ、オーダーしよう!」

というお気持ちになったとのこと。

よくぞ思いついてくださいました。

 

 

 

 

 

 

ご希望の革のお色が特殊だったので、

いろいろお探ししてから

再びご来店いただきました。

ビデオの実際のお財布のお色は

どちらかというと紺色に近かったそうですが、

 

「見本を見たら

これが良い、とピンときました。

青空というか、明るくて良い色です。」

と、少し明るめのこのお色に

心を動かされたご様子です。

 

 

 

 

 

 

 

この白いラインは、どうなっているのか

見えそうで見えないビデオを何度も見直し、

こんな感じ、というのを私どもの方で

再現しています。

 

それにしても

こんなに喜んでくださるなんて…

これほどの明るい瞳の表情にお会いしますと、

私どもにも

とてつもなく良いことが舞い込んでくる

気持ちになります。

良い気持ちが伝染するのは

まことに気持ち良いことです。

 

ありがとうございました。

お使いいただいて何かありましたら、

いつでもご相談くださいね。

 

 

最近の原皮はなぜ、キズが多く、厚みが薄くなってきたか?

最近の原皮はなぜ、キズが多く、厚みが薄くなってきたか?

2023/04/05

このコーナーでは何度か

「革を取り巻く状況」をお書きしました。

今日は

ここに至るまでの状況をお知らせします。

 

 

 

 

 

 

私どもの特製牛革、

ベア・スキン・レザーには

ヌメとルバルの2種類があります。

どちらも表面の肌を

コーティングしていない、水染色の革です。

 

ですから、元々の肌にキズがあると

隠しようがありません。

 

 

 

 

 

 

30年前、100歩譲って15年前まで

これは困った…というほどの表面キズは

まだ少なかったのですが、

最近では「この一枚の革から

バッグパーツをひとつ分取れるかしら?」

というほどキズが目立つようになってきました。

 

私どもと違って、量産している会社は

たくさん作ることが使命ですから、

必ず革の表面加工をしていまして、

ここ10年ほどで、

その技術はかなり進歩しました。

ですから

量産方向で製造を続けていくのであれば、

そこまでひどく歩留まりが悪い、

ということはないでしょう。

 

 

 

 

 

 

では、そこまで製造状況が変わるほど

なぜ革の状態が悪くなったか、

今日はその一部をご紹介します。

 

ことの発端は狂牛病です。

狂牛病が起きてから、牛のご飯は

最初はトウモロコシ等の穀物になり、

それでは牛の育ちが良くないため

さまざまな配合飼料が生まれました。

 

 

 

 

 

 

もっとも効率よく牛が大きくなる資料は

高価なものになりました。

そうなってきますと、狂牛病前は

4~5歳で肉になってもらっていた牛を

2年半~3年で肉にするようになりました。

長く育てれば、飼料代が高くつくからです。

 

 

 

 

 

 

おまけに、効率よく製品にするために、

15年ほど前まで行っていた

塩素水の沐浴もしなくなったそうです。

私たちがプールに入る前

塩素水層にドボンと入るように、

牛たちにも沐浴をさせていました。

 

牛には手がありませんから

虫刺されを掻くことができません。

それで塩素水層に入れることで、

虫よけをしていたのです。

 

ところがそのお水を飲むコたちが

たまにいるということで、

その習慣はなくなってしまいました。

 

 

 

 

 

 

それから

虫刺されに悩まされる牛たちは、

地面をゴロゴロして

虫やかゆみと戦うようになりました。

 

そのゴロゴロした時の傷が治らず、

今の原皮の状態に至っているそうです。

 

 

 

 

 

 

㈱栃木レザーでは

長い間カナダの革を使ってきました。

そうした原皮の状態を心配した彼らは、

しばらくの間

北アメリカやオーストラリアの牧場を

探したそうですが、

やはり当初からお付き合いのある

カナダの原皮が良いとわかったそうです。

元木に勝る末木無し、ですね。

 

生ものでない工業製品であれば

いつでも同じものを作れますが、

原料の皮はまさに生ものです。

 

 

 

 

 

 

当たり前のように存在している革も、

たくさんの人のさまざまな努力によって

奇跡のように存在しています。

 

その中で作っていただいている

オーソドキシー独自の革は、

もっとも貴重な作り方を

してもらっています。

いつまで作ることができるかわかりませんが、

なるべく長く作っていただきたい、と

担当者の方と相談を続けています。

 

 

30年ほど前のダブルファスナーポーチ、ショルダーバッグ版 30109

30年ほど前のダブルファスナーポーチ、ショルダーバッグ版 30109

2023/04/02

「御社の製品は

ほんとに長保ちします!

これももう、30年以上使ってますよ。

使いながらびっくりしてます。

 

ただ、そろそろ色が剥げてきて

みすぼらしい感じになってきたので、

お手入れお願いします。」

 

 

 

 

 

 

30年以上経った製品でも

使い込んだ感じがなかなか良いのですが、

人によっては

色擦れはちょっと…と思われる方は、

メンテナンスに出していただくことを

お薦めします。

 

 

 

 

 

1~4枚目のお写真がメンテナンス前です。

色擦れするのはやはり、バッグの角と

ショルダー紐や飾りベルトの端、

細かい部分の端、です。

 

 

 

 

 

 

当店の製品仕上げは「みがき仕上げ」。

革の端を数種類のサンドペーパーでみがき、

染料を掛け、ふのりをつけてみがきます。

 

その工程を何度かした後

最後に蝋で固めるのですが、

使っていって擦れてきますと

だんだんと色も薄れていきます。

 

 

 

 

 

 

そんな時にはメンテナンス。

5~8枚目のお写真に写った

ベルトの端、引手の端、など端々をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

こうしたメンテナンスの時は

オイルメンテナンスも併せて行っています。

少し時間を置いては

少しずつオイルを入れていきます。

 

通常の製品もそうですが、

時間が経った製品に関しても、

いきなりたくさんのオイルを

入れることはしません。

 

 

 

 

 

 

丁寧に、少しずつ入れていきますから、

メンテナンス時のお時間は

できるのであれば、ひと月くらいいただきます。

 

 

 

 

 

 

ツヤツヤとして

端々にしっかり色がついて

みがき直した製品は、

まるで宝石のようです。

 

 

 

 

 

この天然の輝きは、

使った人にだけ見せてくれる輝きです。

可愛がってあげればあげるほど

輝きは増していきます。

 

現在の社会情勢では、こうした品質の革を

作りにくい状況になっています。

気になる方は

この革がこの品質で作られなくなる前に、

一度使ってみてください。

次回は、どうしてこの革が

だんだんと作りにくくなっていくのかを

お書きしたいと思います。

 

 

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