革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

Order example

2017.11.8

文庫本カバー、革を選定したオーダー品

文庫本カバーは、

当店が始まった当初から

定番にしているお品のひとつです。

 

37年前の当店のお品は、

どれも裏地なしで作られていました。

ですから当然、文庫本カバーも一枚革。

 

ではなぜ、現在の当店製品には

ほとんどすべて、

裏地が付いているのでしょう?

基本的な疑問のようですが、

以下のその答えは、

みなさまにおもしろく

思っていただけるかもしれません。

 

見た目

 

裏地付きなのには、いくつか目的があります。

・薄くして、製品重量を軽くする

・且つ、保ちを良くする

・革の裏の繊維がくっつかないようにする

 

以上の3点は

使用する上での大きな改良点ですが、

その他にもうひとつ大きな目的、

使う人にとっての感覚、ということへの

アプローチがあります。

 

それは

「使っているときの気持ち」です。

若いうちは裏地なしでも構いませんが、

ある程度の年齢になって来ますと、

裏地がないことで、いささか

寂しい気分になってしまいます。

 

全面

 

またその革製品が

人前で取り出すアイテムであれば

なおのこと、

年齢に見合った格も必要です。

 

ステキなお洋服をお召しなのに

裏地の付いてないバッグをお持ち、とか

良い靴を履いてらっしゃるのに

財布に裏地が付いてない、というのは

ちょっと残念で、想像できませんね。

 

持ち物の格を合せる、ということは

社会生活を送る人間としても

大切な要素ではないでしょうか。

 

栞

 

そんなこんなで、当店では

徐々に、さまざまなお品に対して

裏地の素材や付け方を

決めていき、いまでは

裏地をお付けする製品を

定番としています。

 

当店の特製牛革は、もともと

多くの手縫い職人が使用する

ぶ厚い一枚革製品用の材料である

「ヌメ革」と同じ種類ですから、

本来、デリケートな細工は

しづらいはずなのです。

 

ですから、その困難さに対し、

これだけ膨大なアイテムを作る

当店の製作方法は、

かなりイレギュラーで複雑、

難しい要素をたくさん含んでいます。

 

そんな理由に加え

革はある意味「生もの」なので、

一枚一枚の仕上がり具合が違い、

ときに漉きの厚みもバラつきがある、

ということもあって、

当店と同じ製作方法を取っている

メーカーや職人がほとんど無い、

というのが現状です。

 

厚み

 

さて、解説はこれくらいにして、

本日の文庫本カバーをご紹介しましょう。

表の革も特別色ですし

裏地のお色もお選びいただきました。

ステキなご注文をありがとうございます。

 

こういう特別品は、

ご本人がお使いになる場合、

あるいはプレゼントになさる場合、と

年齢やそのお品の用途に合わせて

さまざまに変えられるのが

フルオーダーメイドの良いところ。

 

近年、

良質な牛革の入手も困難になってきて、

どうしてもお値段は上がりがちです。

 

そこで、フルオーダーメイドの前に

革製品の良さを知っていただきたく、

リーズナブルに

当店の牛革をお試しいただける

裏地なしの製品も、この冬から、

品ぞろえに加えることにしました。

 

まずはお使いいただいて、

顔料ゼロの、本物の革の使い心地を

知っていただきたいと思います。

 

そうすれば、このお写真のカバーが

どれだけ良い品質なのかを、

お写真からでも

お分かり頂けることになるでしょう。

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