2020.03.28

ファスナー財布のようなカード入れ 95

今日ご紹介するのは、

ファスナーでしっかり開け閉めする

コンパクトなカード入れ。

 

他のものは一切お入れにならない、

カードだけを入れるタイプです。

(入れようと思えば

本体部分に小銭や小物を

入れることができますが…

 

なかなか美しい仕上がりになったと思います。

きれいなお色の組み合わせでの

ご注文を、ありがとうございました。

 

 

このご注文には関係ありませんが、

今日は小物の製作についてお話ししましょう。

驚きの事実かもしれません。

昔から読んでくださっている方には、

わかりやすくなった、と

言っていただけるかも…

 

さて、まず最初に

小物のお見積もりをお出しすると、

びっくりなさる方は少なくありません、

ということを申し上げます。

 

そういう方々がおっしゃるのは、まず

「小さな小物だから

もう少しお安いと思ってました。」

 

また他の方々には

「オーダーなのに

思ったよりお安いんですね。」

 

このふたつの意見に別れるでしょうか。

 

 

みなさまには

お調べいただくと良いかと思いますが、

鞄やバッグをオーダーで作る人はいますが、

革で小物を何でもお作りします、

というオーダーメイドはほとんどありません。

 

それは、ひと口に「小物」と言っても

かなりアイテム数が多いからです。

 

まずひとつ、みなさまに

確かにしていただきたいことは、

「革製品」や「小物」というのは

「アイテム名ではない」ということ。

 

このふたつ(革製品や小物)は、

複数の(かなりたくさんの)アイテムを

ひっくるめてまとめた

「ジャンル名」です。

 

ジャンル名が同じであっても、

製作方法は

アイテムによってそれぞれ違います。

 

他のオーダーメイド品について考えてみましょう。

 

通常オーダーメイドされているものだと、

「靴」「スーツ」「シャツ」というように

アイテム名が冠されています。

 

それだのに、革を使った製品だけが

「革製品」とひとくくりに

ジャンル名で表現されているのです。

 

そこが、「革製品のオーダーメイド」の場合の

大きな落とし穴。

普通は、すべてを網羅して製作できるお店は

まずない、と言ってよいでしょう。

 

 

ジャンル名は、

アイテム名でもなければ、

ましてや製作方法を表すものでもありません。

 

アイテムごとに違う製作方法のものが

入り混じっているから、

この表現では、じつにややこしい話になります。

 

鞄ひとつとっても

レディスとメンズの製作方法は違いますし、

そのそれぞれの中にも

何種類かの違う製作方法があります。

 

おまけに、たとえ

「財布」というひとつのアイテム名であっても、

三方ファスナーの財布と折り財布とでは

やはり製作方法が違っていますから、

同じ技術者が作れるわけではありません。

 

ですから

新しいお品をきちんと作れるとなると、

「一人の技術者がワンアイテム」

になることが多いと思います。

 

 

昔の「職人」はというと、

ワンアイテムの製品を

一人で、最初から最後まで製作できる人を

指していました。

 

ところが、大量生産が始まった頃から、

そういうトータル技術を持つ人の多くは

必要なくなり、

流れ作業をこなせる人を

職人と呼ぶようになっています。

 

また、簡単な製作技術に限っていくことで、

アイテム数を増やす人もあります。

 

でもそれでは、複雑な工程を要求される、

当店でお受けしているような

革製品のオーダーメイドを実現することは

かなり難しい、

ということになります。

 

 

鞄よりもアイテム数の多い小物を

フルオーダーメイドで

作る人がほとんどいないのは、

そういった理由です。

 

そして、小さいのに高価になってしまうのは、

鞄以上に研究が必要で、

製作に時間がかかるからです。

お安いと思われる方には、

技術力が高くなると

製作にかかる時間が短くて済む、ということを

知っていただけると嬉しいです。

 

私どもがみなさまにご提供しているのは、

「革」という具体的なものと言うより、

「技術全般」です。

 

そこには、品質の良い革を提供し続ける技術、

というのも含まれています。

 

目の前に、当たり前に存在している、と

みなさまが思っていらっしゃるものはすべて、

「当店の目指す品質を提供する」技術から

産まれていて、

 

それがいつまで続けられるかはわからない

(革を取り巻く環境や

人をめぐる環境などによって、という意味です)

貴重なものです。

 

その貴重なものをすべて、

当店では、ひとりひとりのクライアントに

捧げています。