2020.06.16

25年以上前の定番財布のオイル入れ 95

遥か昔、おそらく

25年ほど前ですが、

オーダーでお作りした定番二つ折り財布の

メンテナンスをしました。

 

最初の4枚がメンテナンス前、

後の3枚がメンテナンス後です。

 

ここまで長くお持ちいただくと

持ち主もデザイナーも

何年経ったかわからなくなっているのに、

 

どうして「おそらく」と付いても、

25年ほど前という想像がつくかが

おもしろいところです。

 

じつは、そういう想像の背後には

当店のモノづくりの歴史があります。

 

 

40年前、下北沢でお店を出発させた時は

製作者が男性ばかりで

みな すごく若かったですから、

今でも趨勢である革の製作方法、

ごく普通の革の使い方をしていました。

 

厚手の革を

少し太めの糸で縫って仕立てる。

 

裏地はもちろんナシ!

 

この二つ折り札入れの小銭入れには

裏地をお付けしていませんから、

これは25年ほど前の作り方なのです。

 

今はほとんどすべてのパーツに

革の裏地をお付けしています。

ある程度年齢が行くと、

裏地のないお品は

持つ気がしなくなるからです。

 

しかし30年ほど前は、

もっと厚手で、もっと武骨な感じでしたから、

それから派生した25年ほど前の作り、

ということになります。

 

 

これが若い人にとって、

またその時代としては

自然な革製品の在り方で、

作り方も簡単なものですから、

そういう作り方をしていました。

 

今でもそういう作り方をしている人が

たくさんいますから、

「基本の作り方」と言えるでしょう。

 

それが

女性デザイナーが製作に加わることで、

デザインも製作方法も

どんどん変わっていきました。

 

当時デザイナーは

ジーンズを一本も持ってなくて、

バブル期の服装とはちょっと違う

イタリアの服を着ていました。

 

お店を始めた頃のバブル期のものとは

違ったファッションでしたから、

「こんなものを持ちたい」という希望も

変わっていて、

それに従ってデザインをしていました。

 

 

現在ウェブショップで

お出ししているデザインは、

そのデザイナーがずっとご提案しています。

 

品揃えの中には、

お店の開店以来ずっと

作り続けているものもあれば、

30年前のものもあり、

25年、20年のものもありますし、

つい半年前のものもあります。

 

どれでも持っていると、

褒められることが多いと思います。

 

 

デザイナーは25年ほど前から、

「身体が楽をできるよう、軽い革製品を」

というスローガンの下に

新しい製作方法も模索してきました。

 

そして、品よく個性的で、

年を経ても古びないデザインを

目指してきました。

 

現在ウェブショップにあるものは、

そうしたものの集大成です。

身体は楽に、

気持ちはアップするよう!

 

 

ひとりひとりのクライアントに対しては

(残念ながら人手不足のため)、

普通の物品販売店がするような

手厚い顧客管理はできませんが、

 

その時その時のリクエストには

確実に、最高と思える内容をご提案し、

最高のお品をご提供しています。

 

これを聞くと

大げさと感じる方もお出でかもしれませんが、

一点一点、命を懸けて作っています。

 

 

もう10年ほど前から

新しい製法は確立していますが、

確立しているようでいて、

製作するものがひとつひとつ

目的も形もご希望もまったく違うので、

 

結局は毎回毎回

製作セオリーのないものを

苦心しながらお作りしています。

 

それができるのは、

「何を目的とするか?」

これをクライアントから伺って

抽象的なものから具体的な形へと

向かわせる作業があるからです。

 

このご相談は

かなり知的な二者の合同作業です。

 

 

何かをお作りした後、

再度お目にかかるのは20年後

という方も少なくありません。

 

今回の25年以上経った革製品は、

メンテナンスしたことで

また生き返りました。

 

これから何年お使いいただくでしょう?

次にこのお財布にお目にかかる時には

お店のメンバーが

変わっているかもしれません。

 

個人技術の集まりである当店は、

一瞬一瞬を誠実に生きています。

 

みなさまが手にするお品には、

私どもの最高の技術が使われています。