2014.08.05

二段式ペンケースのフルオーダーメイド

本日ご紹介するのは

一見するとポーチに見えるかと思いますが、

ペンケースです。

たまたま入荷出来たネイビーのルバル(柔らかい革)で

お作りした、二段式。

 

「現在使っている布のペンケースを

革で作っていただきたいんです。

すごく使いやすくて、長く使ったんですが、

さすがにそろそろ新しくしないといけないみたい。

革製が欲しいと思いました。ネイビーが好きです。」

 

今回は、普段はご用意ないネイビーでお作りできたので、

お客様には、とても喜んでいただきました。

 

オーダーメイドの化粧ポーチ

 

本体もポケットも、マチ(厚み)が薄いこともあり、

「内縫い」(ウラの状態で縫ってから、ひっくり返す)

という方法で仕立てることになりましたが、

これは、柔らかい革でなくては作ることが出来ません。

 

当店ルバルは、柔らかくて軽い素材なので

こうした作り方にはぴったりです。

ルバルは、使って行くと自然に油分が出てきて、

エイジングしていく革なので、作れる色が限られています。

 

当店ルバルの定番カラーラインナップは

キャメル、ダークブラウン、ブラック、ワインの4色。

それ以外の色で染色することが可能かどうかは、

いくつかの条件をクリアしていることが必要になります。

 

今回、たまたまこのネイビーとグレーを作る条件が揃い、

エイジングするタイプの革で、

2色を作ることができました。

 

2段ファスナーのポーチ

 

染色の方法によって

革には、定着しづらいお色があります。

ブルー系・レッド系は特に色が飛びやすく、

時間が経つと、どうしても色が抜けがちになります。

これは、革の特色を生かした染色方法ですと、

どうしても避けられないこと。

 

しかし、このネイビーは、使っているうちにエイジングしていきます

(ツヤが出て、色が深くなり、柔らかくなる、ということです)。

 

今回、同じタイプのグレーも、ご用意出来ました。

グレーがお好きな方は、ぜひご覧になってくださいね。

このグレーは、色の定着の悪い見本のような革なのですが、

今回の革は、美しく染まりました。

めったいないチャンスです。

 

さて、話を戻しましょう。

革の鞣し方については、今までメディア等で

随分と取り上げられることが多かったので、

タンニン鞣しについての知識は行き渡ってきたように感じます。

 

しかし、じつは革質を決める一番決定的な条件、

染色については、ほとんど語られてきませんでした。

 

2ファスナーポーチ

 

革の染料は、自然由来のものもあれば、

人工的なものもありますし、それらの混合もあります。

大まかに言うと、それらは、

水で溶かすもの、油で溶かすもの、の2種類に分かれます。

 

水溶性の染料で染めたものを、「水染め」

脂溶性の染料で色づけたものを「顔料染め」と言います。

 

女性のファンデーションを例にして考えていただくと、

ふたつの違いがはっきりとわかります。

 

水染めは、お肌が呼吸できる状態に保ってくれる染め方で、

カバー力はないですが、革が呼吸できるので、

革自身が持っている油分が出て、ツヤが良くなります。

ついたキズも治っていきます。

いわゆる、革の性質を生かした革の作り方といえますが、

すっぴんのお肌がきれいでないと、

きれいに染まりません。

だから、きれいに地肌を整えた質の良い革を必要とします。

このように、 染色の前の段階から大変な方法なので、

今では、これを作っているところは、ほとんどありません。

当店の革は、おおむねこのタイプです。

 

顔料染めは、元の素材に

しわやシミがあろうとも、ほぼ隠せるカバー力の強い染め方。

どんな革を使っても、

カラフルな色目を、ある程度自由に、きれいに出せるのが魅力です。

そのかわり、呼吸しない(できない)革なので、

いわゆる「革らしい」エイジングをしない、変わらない革で、

キズになると、下地の白い色が出ます。

市販品のほとんどの革は、この作り方。

 

この知識は、どちらの革が良い、ということではなく、

TPOや目的にあった革製品をお考えいただく時、

みなさまが求めていらっしゃる理想のお品との出会いに

きっとお役に立つことと思います。