2015.04.25
バッグでも財布でも、フルオーダーすることとは
本日のご来店は、iPhone6 plusのケースをご希望の方。
いろいろなお店をネットで調べて、
他所のお店にもお出かけになった後で
当店にたどり付きました。
お話を伺って、お見積もりをしましたら
「ちょっと考えさせてください。」
とお帰りになりました。
お話していますと、そのお客様が
どこまで本気でそれを欲しいと思っているかが
よくわかります。
ご来店するほとんどすべての方が
・どこをどんなに探しても見つからない。
・市販品で似たものがあるけれど、
どうしても譲れない使い勝手の悪さがある。
・他に作れるお店がない。
という条件下でご相談くださるのですが、
ふだんお洋服や飲食代に
たくさんのお金を掛けていらっしゃっても
お断りになる方もいらっしゃいます。
今現在すでに存在している製品は
たいていが量産品で
色違いなどでも、同じものはたくさんあります。
ほとんどの場合、お断りになる方は
そういう量産品と、見積りのお値段とを比べて
高いとお考えになるようです。
私どものやっている仕事は、
現実的に使える「もの」が出来上がってくるため
量産品と比べる方がとても多いことに気づきます。
しかし私どもでお作りするお品は、
世界中どこへ行っても
当店以外でお作りすることはできません。
*こうした中身のダミーも、頻繁に作ります。
もともとオートクチュールとはそうした世界なはず。
お客様が細かいわがままを言えば言うほど
(もちろん、どんどんおっしゃってください)
製作は複雑になり、困難になり、結果として
職人を長時間キープしていただくことになります。
このようにオートクチュールの世界では
何人ものプロの たくさんの時間を
ご注文者ひとりだけのために使います。
市販品とお値段を比べるのでしたら、それは
オートクチュールを必要としない方でしょう。
誤解や行き違いが生まれる前に、
オートクチュールとはそのようなものだ
とお受け取りいただければ幸いです。