2015.03.31
紳士用クラッチバッグのフルオーダー
「身の回り品をどうやって持ち運ぶか
いろいろと試してきましたが、
やっと中身も使い方もはっきりして
これかな、というのに決まってきました。」
幾つものクラッチバッグとパーツをご注文くださった
お客様は、いよいよ
最終稿をお決めになったご様子です。
「いままでいくつも作って試して
それぞれいいアプローチになっていたと思います。
持ち運ぶものは
どうしても多少変わってくるのですが、
どうやらそろそろ決まってきました。」
表向きは何の変哲もないクラッチバッグですが、
じつはこれ自体が
クラッチバッグの中身として機能します。
つまり、
裏面にお付けしたマジックテープで
さらに外回りのクラッチバッグにセットできる、
という仕掛け。
最初から
かなりはっきりとした使い方でしたので
これまでにマイナーチェンジを何回かしたのですが、
ひとつのパーツバッグに
どれだけの荷物を入れるか、というのが
課題であったご様子。
「今回は、やはりもうぴったりです。
中身を入れても余分なスペースがないので
とても気持ちが良い出来ですね。」
そういえば 毎回
オーダー例を拝見していますが、
この間の記事には、あれ?というのが
ありましたね。」
「たしか
『ブランド品と同じ値段じゃないですか』
とお客さんが言ったという、あの話です。
ブランド品の中に
今回頼んだようなバッグが存在するんなら、
こんな楽なことはありませんよ。
自分で考えて考えて、
試行錯誤する必要ありませんから。
自分の思い通りに作ってくれるんだから、
ブランド品と値段を比較するなんて
まったくナンセンスな話ですね。」
ありがとうございます。面と向かって
そう言っていただけることが殆どないので
とても嬉しいお言葉です。
このお客様とお話を続けていましたら、
おもしろいお話を伺いました。
「めいめいの人が持っているバッグを背景に
研究を進めている精神科医がいる、
という話を聞きました。
それでおもしろいのは
男性は、女性よりも余分のスペースを嫌う
らしいんですね。
ぴったりサイズが好き、ということですが。」
現場にいるデザイナーにとっては
とても合点の行く話だったようで、
「確かに男性のお客様からのご要望では
そういうご希望は群を抜いて高いですね。」
何が一番気になるポイントなのか、
気持よく使うためのコツは何なのかは、
ひとりひとりが まったく違う内容です。
それを反映させるためのフルオーダー。
量産のブランド品とは、
まったく存在の意味が違います。
各々の快適のために存在するフルオーダーは、
誰にでもできるわけではない
難しいジャンルの仕事です。