革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

Order example

2019.03.20

三つ折り財布 811

本日ご紹介するお財布も、

かなり変わったタイプ。

三つ折り財布に

コの字ファスナーの小銭入れが

付いています。

 

こんなに長く

オーダーメイドの仕事をしていても、

このタイプは初めてお作りしました。

 

今日は、なぜフルオーダーメイドを

受けてくれるお店が少ないのか、を

お書きしようと思います。

 

 

オーダーメイドで検索していただくと

おそらく3万件以上の店や人が

挙がることと思います。

 

「いっぱい出てきても、

結局 フルオーダーメイドをやってる所は

ぜんぜんないんですよね。」

とは、お客様からよく聞くご感想です。

 

 

財布を例に取ってお話ししますと、

財布の場合、

お札の入れ方ひとつ取っても

たくさんの選択肢がありますし、

それは小銭入れの形にしても同様です。

 

さらにお札入れ内部にカード入れを付けたり、

中を二か所に分けたりする方もお出でなので、

そういった中身の仕様に関わる内容にも

またまた数多の選択肢が出てきます。

 

それをさらに、一人一人の

ご希望通りの合わせ技にするとなると

ありとあらゆる組み合わせがあって、

無限とも呼べる

バリエーションが出てきます。

 

つまりこの

フルオーダーメイドの世界では、

毎回毎回

初めて作るものを作っているのです。

 

そしてその多くは、

「どこにも存在しないもの」。

 

 

「どこにも存在しないもの」には

いろいろな理由があって、

平たい革から立体にするにあたって

不可能なもの、ということもあります。

 

また、今回の

コの字ファスナーの小銭入れなどのように、

 

財布のどの部分に付けたいのかによって

小銭入れ自体の付け方も変わり、

製作方法も変わってしまうものが

ほとんどです。

 

このルールを身に着けるには、

とにかく

恐ろしいほどの点数を

製作することしか、方法はありません。

 

その証拠に

普通に考えて作るのでは無理でも、

中には、一生懸命

ある程度 無理やりやればできる、という

信じられないこともあるのです。

 

 

「すべての製作に対応できる」

と申し上げられるようになるには、

 

製作に入る前段階、相談の段階で、

それぞれの構造と特徴を熟知した人が

(もちろん経験もかなり必要です)、

まず頭の中で

製作シュミレーションを正しく行って

「できる」という

確信を持たなくてはなりません。

 

まずここまでが、

クライアントとのやり取りの中で

クリアにしなくてはならないこと。

 

 

次に製作ですが、

まず革についてお考えいただくと

良いかもしれません。

 

革という素材は、

針穴をあけてしまったら

元に戻すことはできません。

 

きわどく難しい縫い場所も

曲がることなく、きれいな縫い目で

縫わなくてはなりません。

 

市販品のように単純で簡単なものなら

目をつぶっていても縫えますが、

ここまでアクロバチックなお品では、

終始息をつめて

慎重に行います。

 

たまに「こんなのは、

~~すれば簡単なんじゃないですか?」

とおっしゃる方もお出でですが、

見た目に簡単そうに作っている、

ということこそ

プロの証です。

 

見た目にすんなりとして

苦労の跡をみじんも感じさせないもの、

それでいて

使いやすい工夫が

随所に施されているものが、

最高の出来栄えのお品です。

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