革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2021.07.19

おそろしく軽い、口金ボストンバッグ 103

革でお作りする口金カバンとしては

とても変わった作りの、

おそろしく軽いバッグをご紹介します。

 

このご注文をいただいて

初めて知った作り方が、これです。

 

当店では革製品しか製作しませんから、

革に向いた製作方法のお品物を

お作りすることが多いですが、

 

 

この口金ボストンバッグのように

クライアントがお持ちくださった

見本を元にして

製作することもありますから、

 

ひっきょう、

まず革で製作することを考えない

製作方法のお品物を作ることも

ままあります。

 

それだからこそ、技術はどんどん

進歩していきますし、

新しい技術に対する理解も早いです。

 

 

布製と革製の一番の違いは、

素材の厚みとしなやかさです。

布は薄く、ぺなぺなで、

革は厚く、しっかりとしています。

 

どちらの素材を使ったとしても、

素材を生かす製作方法になるのは

当然のことですが、

オーダーメイドをしておりますと

時にそのタブーを犯す必要が出てきます。

 

 

布製→革製にトランスレーションする場合、

まずは素材なりの作り方ができる方法を

最初に考えます。

 

もちろんクライアントのご意向を優先し、

なおかつナチュラルに作れる方法を

模索しますから、

これでもか!というくらい

幾通りもシミュレーションします。

 

 

ところがその中に、

見本と同じ作り方をしないことには

ご希望がかなえられない、

とはっと気づくことがあります。

 

そんな時には、

革をどう加工して、どこを変えることで

ほぼ同じことが可能になるか、

を追求していきます。

 

この追求は

最初は店頭で、みなさまから

ご相談を承っている時になされますが、

多くは、「できそう」という直感から

製作方針を決め、

詳細は製作に入ってから

チームで綿密な打ち合わせをします。

 

 

このバッグの作り方はまさにそれで、

後からお調べしてみますと

合皮の量産品に多い製作方法ですから、

本来革に向いた作り方ではないと

わかりました。

 

そのため、予定よりお時間のかかる

超大作となりました。

 

今回の件では、まこと

布と革の違いを思い知ることが出来ました。

それでもきっちりできましたので、

万歳です。

 

 

ところで今回は、

なぜこの製作方法を

踏襲しなくてはならなかったか?

 

それはズバリ「軽さ」のためです。

この口金ボストンバッグは、たった851g。

大きさは、35x25x10センチです。

 

しかも、

柔らかい作りをしましたから

かなりの荷物量が入ります。

 

しっかりした口金金具が入っていて、

口の留め金具も少々重いものですから、

この軽さは

ちょっと信じられないくらい。

 

でもこのために、

いろいろな作り方がある中で

この製作方法を選びましたから、

きれいな形にできて良かったです。

 

 

この、製作者ならではの大きな葛藤は、

店頭でみなさまが知ることは

決してないでしょう。

 

すんなりと出来上がった製品の裏には、

どの製品にも

数々の葛藤があります。

 

心込めて、

命かけて、

みなさまのご希望に沿えるよう

お作りしたいと思います。

このたびは、ありがとうございました。

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