革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

Order example

2021.12.29

これ以上ないくらい薄い、総革の長財布 11107

 

毎年末に

新しい黄色のお財布を作ってくださる

クライアントがいらっしゃいます。

 

「なるべく薄く作ってください。

お札が入るだけでいいんです。」

と、長財布に

同色のカード入れを入れ込んでお使いです。

 

 

 

 

とにかく黄色オンリーでお作りするため、

毎回悩むのが、裏地です。

 

裏地として使える黄色の革は

ほとんどないので、

毎回何とか表用の革をやりくりして

薄く、軽く、を目指していますが…

 

 

 

 

最初から裏地用に作られている革と、

表用の革を裏地に転用することとでは

まったく意味が違います。

 

革の製作方法は、

製作するアイテムによっても違いますし、

同じ鞄を作るとしても、

表用か裏用かがある革は、

用途以外に使うことに

いろいろな不都合があります。

 

表用の革は

皮膚下の部分も一緒に使うことが

前提となっているから、

薄く漉きすぎると

保ちが悪くなってしまいます。

 

 

 

 

 

裏地用は、

表面は傷が目立たないようになっていて

薄くても丈夫なように作られています。

 

その違いを考えながら、

長年のカンを頼りに

手で触ってどこまでなら薄くできるのかを

試していきます。

 

こんな作業をするため、

選別には、より時間がかかってしまいます。

 

 

 

 

今回は、通常ならあり得ない革質を

裏地に使いました。

ところが驚くことに、

この裏地を選定したおかげで

今までの中で一番薄く作ることができました。

 

作り手は、素材に対しては

ある程度常識的に考えますが、

これはそれが覆された例です。

 

興味深いご注文を、ありがとうございました。

新年が良い年となるよう、

お祈り申し上げます。

 

関連記事

  • 大判デスクマットと製作場面

    大判デスクマットと製作場面

  • 2代目のA5ノーカバー 20614

  • 華やかなリザードバッグ・イン・バッグ 66

同様のアイテムを見る: