2022.08.25
雨対策を施したトートバッグ 20705
以前エルムの変形を
お持ちくださったクライアント。
久しぶりにご来店くださって、
「もう少し気楽に持てる
トートバッグが欲しくなりました。
現場に出かけることが多くなったので、
ラフな感じにしたいと思います。」
なるほどエルムはビジネス然としていますから、
用途を考えますと、当然のご希望です。
とは言っても、
いろいろな素材やバッグが溢れる中で
当店のオーダーメイドをご指名いただけるのは
たいへん嬉しいことです、ありがとうございます。
ご来店当日お持ちくださった見本バッグは
柔らかいナイロン製。
どんなふうにも形が自由になる素材ですから
容量の測り方が難しい案件です。
革製品はすべて
当店のオーダー品で揃えてくださっている
クライアントですから、
中に入れるものも全てお持ちくださいました。
ありがたいことです。
「オーダー例に載っている
このバッグが好きなイメージなので、
この感じで作っていただきたいと思います。」
ご希望もはっきりしてらっしゃいます。
さてここまで決まっていらっしゃいますと、
問題は先にも挙げた容量です。
今回ご希望いただいた形状ですと、
容量以上に入れることは可能ですが
形がきれいに出なくなってしまいます。
そこで、中身がきちっと入っても
なるべくコンパクトにするための
大きさダミーを作ります。
そこからは、ある意味感覚の出番で、
ご注文者に最良サイズを
ご報告しながら大きさを決めて行きます。
今回は、現場で使うために頂いたリクエスト内容、
多少の雨にぬれても革への影響が少ないよう
「ワックス掛け」をします。
このワックスはプロ仕様の特別製。
服につかない程度に
何度もブラッシングしてから
ご注文者にお渡しします。
1回ではナチュラルな状態で落とせないので
ブラッシングは何度かに分けて
全体的に少しずつ行っていきます。
丁寧にブラッシングして
ナチュラルに入れていったワックス効果は高く、
雨に対しての耐性が発揮できるだけでなく
当分の間、お手入れの必要もなくなります。
ワックスが完全に革の表面から消えると
きれいな光沢の出た革が現れますから、
そこからは手でなでてください。
当店の革は、そこからまた育っていきます。
今回、肩から肩紐がズレないよう
ストラップの裏面に起毛革をおつけしました。
起毛革の色が革と同色でなく、白っぽいのは、
雨の中お持ちになっても服に色移りがないよう、
という配慮です。
また、2本の肩紐を留め置くループも
おつけすることにしました。
こちらはご相談無しでおつけしましたので、
お店からのプレゼント。ですから尚さら
うまく作動してくれると良いですが…
「持つ機会も増えているので
楽しく感じています。」というご連絡をいただき、
ああ良かった、と安心しております。
この度もありがとうございました。