2023.02.18
持ち込みコードバンのシステム手帳 21011
フルオーダーメイドでは
ご自分のこだわりの革を持ち込む方も
いらっしゃいます。
「気に入ったコードバンを入手したのですが
それで仕立てていただけませんか?」
当店では当店特製牛革の2種だけでなく、
ハイブランドのきれいな色の表面加工革や
クロコダイル、オーストリッチに代表される
エキゾチックレザーを始め、
コードバンや馬革などを使った製作も可能です。
普通は私どもの方で
ご希望いただいた種類の革を探してきますが、
マニアックなクライアントになりますと、
ご自分でお好きな革を入手して
お持ち込みになります。
そういう革は
製品製作しない人がお入れになりますから、
購入に至るポイントが興味深かったりします。
今回はナチュラルカラーのコードバンで、
「おもしろい景色」の革の部分を使いたい、
というご依頼。
B級の革をお安く入手できたとのことですが、
「おもしろい景色」を気に入られたご様子です。
それぞれのお写真にある
革のナチュラルな「柄」をよくご覧ください。
一般ではなかなか見ることができません。
そういったご依頼ですから、
だいたいの大きさのワクをご用意して、
どの場所でどのパーツを取るかまで
きっちりご指定いただきました。
2枚目のお写真などは普通
みなさまにはお見せしないのですが、
そういう経緯から、掲載することにしました。
表紙の方に
革の柄があることにご注目ください。
本体裏地以外はすべてコードバンです。
このオーダーのように
内側までコードバンを使うことは珍しいですが、
1枚の革をなるべく使いたいというご希望から
このような仕様になりました。
コードバンの革で、製品を
すんなりときれいにお作りするには、
それぞれのパーツを
置く場所に合わせて
何段階かに漉く必要があります。
この「漉き」が
コードバンの加工で一番難しい作業です。
もし漉きに失敗したら
パーツを取り直さなくてはいけませんから、
胃の痛くなるような作業で、
作業前に「よしっ」と言うくらい
気合を入れます。
出来上がりの景色を見ていただきましたら、
とても喜んでくださいました。
ありがとうございます。
ホッとひと安心です。
こちらのクライアントとは
製造各社のコードバンについて、
扱いやお手入れについてなども含めて
いろいろなお話をしましたが、
このコードバンを作っている会社について
(あまり売られていないものなので)
ご教示いただき、また知識が増えました。
ありがとうございました。