革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2023.08.8

目のご不自由な方からのご注文②長財布 2306N

先日ご紹介しました

結婚指輪の代わりのプレゼント財布の

もう一点です。

大切な節目にお選びいただき

ありがとうございます。

 

こちらの長財布は

ほぼほぼ見本と同じで、

カード入れを増やしました。

 

 

 

 

 

 

このタイプの市販品には、

厚み分を適正に取っていないことが

ほとんどです。

 

売り場できれいに見えますが、

いざ中身を入れてみると

厚み分が不足しているものが多いため、

 

見本としてお持ちいただく

どなたの長財布を見ても、たいてい

留め具はギリギリで

なんとか止まっている状態です。

底側の厚みについては、

完全に不足寸法で設定されていることが、

普通の製品の作り方のようです。

 

そんなわけで、みなさま口々に

「厚みが足りないんですよね。」と

おっしゃいます。

 

 

 

 

 

 

このような部分に対しても

カスタマイズすることで、

使いながらイライラを感じることは

かなり少なくなります。

また、ご自分の入れたい量を

すんなりと

入れることができるようになります。

 

当店では、どのような場合でも

きちんと中身が入るよう、

厚み分も充分に足りるよう、

適正なサイズでお作りします。

一人ひとりの持ち物によって変わりますが。

 

 

 

 

 

 

最近ご依頼の多いお財布に、

今回ご注文いただいたタイプのような

L字ファスナーの小銭入れ付き、

があります。

 

どちらさまもオーダーでは

ファスナーの中はふたつに仕切って

小銭の種類を分けたり、

人によってはお守りを入れたり、と、

がばと開くことが重要なご様子。

 

このタイプは、お財布として

テクニカルに難しい種類に入りますから、

最近の量産ものでは

ほとんど見なくなりました。

 

 

 

 

 

 

量産品においては

製造工程を分解し、

 

ひとりの担当者に

あるひとつの作業だけをしてもらうのですが、

それに合わせて用意したパーツを使って

ひとつづつの工程を進めていく人たちを

順番に配備して

早く、たくさん作るわけです。

それが工場のライン生産。

 

そういう中では、

ひとりの技術者が、ひとつの製品を

一貫して作れるようにはなりません。

 

ハイブランドの製品などは、

分解してみますと

どれだけ製造に携わる人の技術に

頼らないところまで分解できるか、

という点において

驚くほど進んでいる、と感じます。

 

どの製品も、工程上、材料自体から

あるべき状態にしておけば、

作る人たちに技術はいらない、

というところまで分解しています。

最初の材料を揃えるところから、

技術がいらないようにしています。

 

その合理的な考えには驚かされますが、

旧来の私どもの仕事の中で

もっとも重要なことは

一人ひとりの技術習得なので、

それをせずに

たくさんの製品を作れるようにする、

ということはすごい発想の転換です。

 

自社で工場を持つハイブランドは

技術が高いことを売りにしていますが、

その技術は、

製作者一人ひとりの技術ではなく、

その発想の転換からくる

誰でも製造に携われる技術に他なりません。

 

 

 

 

 

 

さて、本題に戻りましょう。

ヨコからのお写真は厚く見えると思いますが、

使っていくうちにもっとずっと

薄く、小さくなっていきます。

 

そういうと驚かれる方が多いですが、

使っていくほど

当店の革製品は小さくなります。

中身は、出来上がり時よりも

たくさん入るようになるんですが…

 

それは

材料として革しか使ってないからです。

革は使い方に合わせて

伸びたり縮んだりしてくれます。

それが魅力の素材。

 

きっとこのお財布が

どんどん使い慣れていくように、

お二人も年を追うごとに、ますます

ステキなカップルとなることでしょう。

お二人のお幸せをお祈り申し上げます。

 

 

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