革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2023.12.18

恒例の黄色い長財布とハイブランドの革について 311N

黄色いお財布を

毎年末に作ってくださるクライアントが

いらっしゃいます。

 

「毎年お財布を変えるっていうのも

もったいないかな、って

思うこともありますが、

今年も無事に一年が過ぎてくれます。

お守りのようなものでしょうか。」

ありがとうございます。

毎年命かけて、心込めてお作りします。

 

この方とお目にかかりますと、

年末を感じ、新年を意識します。

 

 

 

 

 

 

黄色の革、というと

ハイブランドで使っている革が

一番きれいで、一番しっかりしています。

 

デザイナーは言います。

「ハイブランドの革だから

選んだんじゃなくて、

これなら大丈夫、って入れたら

ハイブランドの革だったのよ。」

 

思えば

こちらのクライアントからのご要望で

黄色い革を半年以上お探ししたことが

この革を知るきっかけでした。

 

当時より1~2年前から

ハイブランドの革は

日本に入ってきていたようですが、

それを扱っているのは

私どもの知らない革やさんでした。

 

 

 

 

 

 

私どもはその頃、

カラフルなお色への対応を

あまりせずにいたため

(きれいな色は時間が経つと、

色が抜けてしまうことが多かったため)、

お探しする機会も

ことさらには作っていませんでした。

 

また、日本製の革の色には、

ご要望いただくクリアな色がないことも

お受けできない一因でした。

 

 

 

 

 

 

そこで、それまでのルートの革やさんでは

きれいな革の色はこれ以上ないですから、

他の革やさんへ出かけてみよう!と

当時増えていた様子であった、新しい

革の問屋さんへ足を運び始めました。

 

そこで、まさにこれこれ!という

黄色の革に巡り合ったのです。

意気揚々と買おう!としたところ、

お値段が随分お高いので、

デザイナーは確認したそうです。

「確かに良い革ですが、どうして

ここまでお高いんですか?

どこのどういう革ですか?

カーフ(仔牛の革)であることはわかります。」

 

その答えが、これは

ハイブランドで実際に使っている革で

フランスで作られた革です、

この黄色は定番ではない色です、

ということでした。

 

きれいな色、しっかりしたカーフ素材、

色の密着も良く、色飛びも縁遠い感じです。

 

今ではこの黄色は定番で入ってきます。

3色の黄色の中でもとくにお勧めです。

 

 

 

 

 

 

しかし、もう一枚必要な

裏地としての黄色は

相変わらず入手できませんから、

毎回変わります。

 

今回は1.6ミリの表として使う革を

0.5ミリ弱まで薄く漉いて使っています。

表の件の革も0.7 ミリに薄く漉いて

「なるべく薄く作ってください」

というご要望にお応えしています。

*どこまで薄くしても大丈夫か、

は革によってまったく違いますから、

素材と厚みは、究極的に難しいお題です。

 

毎年ご注文いただいても、

毎回毎回ここまで薄く漉くのは

ひやひやします。

裏地の素材も毎年変わりますし…

ですから、革が

喰われる(刃に巻き込まれて削げてしまう)

こともあります。

でもこうしたことで、すべての害悪は

製作段階でストップです、

お守りですから!

 

毎年ありがとうございます。

おかげさまで鍛えられ、

私どもの技術が衰えることは

ないと思います。

来年一年も無事お過ごしになれますよう!

 

 

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