革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2024.01.24

ハーフムーン二つ折り財布 31219  

こちらも久々にお作りした定番

「ハーフムーン」二つ折り財布

 

これは35年ほど前、

定番として販売し始めたころは

1枚革で作っていた製品です。

 

裏地がないと、しばらく使っていくと

革の裏がぽろぽろと剥がれてくるため、

やはり裏地をつけよう!と

その後改変して、今に至っています。

 

 

 

 

 

 

この財布は磨き仕上げですから、

革の端は

カットしてから磨く方式です。

 

それを可能にするためには

裏地を革にする必要があります。

ですから当店が裏地に革を使うのは、

単なる高級品を作るための

方便ではありません。

 

磨き仕上げのもっとも良いところは、

端が破れにくく、丈夫なところ。

また裏地が革であれば、市販品のように

裏地の方だけが先に破れてしまうことも

避けられます。

 

 

 

 

 

 

そして

当店オリジナル牛革の製品であれば、

端の色が薄くなったり

ケバだってボサボサしてきても、

ヴァセリンをつけた布で擦っていただけば

きれいに整います。

これが当店オリジナル牛革の

すばらしい特長のひとつです。

 

たまに市販品でも

当店と似たタイプの仕上げを見ますが、

まったく同じ作業をしている製品は

見たことがありません。

 

 

 

 

 

 

前にも話題にしましたが、市販品は

流れ作業のラインに載せやすいように

作業設定をしていますから、

素材から製作方法、仕上げまで、

一本一本作る

私どもの製品とはまったく違います。

 

良いとか悪いとかではなく、

目的によって方法が変わるのは

当然のこと。

私どもが市販品と同じ材料を使って

同じように作ることはできますが、

とてつもない無駄が出てしまいます。

 

量産品は

材料をたくさん使うことで安くなりますし、

効率的な流れ作業にすることで、

早く、たくさん作れます。

安価に大量の製品を提供することが目的です。

ですからそのための製作方法を

真逆の考え方である1点もの製作で使うのは、

まったく無駄なことです。

 

 

 

 

 

 

さて話を戻して、今度は

製品の厚みへと話題を変えましょう。

 

上記の理由から、当店では

磨き仕上げの製品に革の裏地を

お付けするようになったわけですが、

すべてのパーツに裏地をつけると、

単純に革が重なる部分も厚みは2倍になり

もっともパーツがたくさん重なる場所は

とんでもない枚数(の厚み)になります。

 

これをどのように薄くして、

手に持ったとき

違和感のなさを感じていただくか、

実際に使うことを念頭に置きますと

大変な努力と技術が必要です。

 

30年近く前から

「軽くて気持ち良い製品を作りたい」と

努力し続けた結果として、

今の当店製品があります。

 

このハーフムーン財布もやはり

30年以上定番であり続けていますが、

見た目に同じに見えても

当初作られていた製品とは

まったく違います。

 

 

 

 

 

 

なぜ同じデザインで

ずっと作り続けるかと言いますと、

ファッション製品のデザインは

もうほとんど出きっているから、です。

どの業界も過去の製品から学んで

そのエッセンスを現代風に変えたり

デザイナーの個性を出していますが、

根本にあまり変わりはありません。

 

そんな中で

時代おくれ、と感じることのない

普遍的なデザインを

流行に関係なくお出ししていきたい、

と当店は考えています。

 

当店の製作品が

持つ人を引き立て、

その人の個性を形作るもののひとつとなり

持つ人と同化することができることを願って

私たちは日々、お作りしています。

 

新しいデザインの中で残したいものは

ごく少数です。

ですから生き残った定番は

時代を超越する製品、

と言えるのではないでしょうか。

 

それだけにとくに、

このたびの新しいクライアントからの

ご注文を、嬉しく思っています。

ありがとうございました。

 

 

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