革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2024.05.22

ゴールドブラウンのゾウ革、ビジネスバッグ 40315

見本バッグをお持ちくださった

クライアント。

「この大きさとこの作りが

とても使いやすかったのですが、

なぜかいまは、一回り大きいものしか

作らなくなってしまったようです…

大きい方も買ってみたのですが、

やはり大きすぎて不便です。」

 

 

 

 

 

 

どこも直す必要がないほど、

その見本バッグは

その方の入れるモノ、使うモノに対してぴったり、

ということですから、

ほぼ同じデザイン、同じ仕様で

お作りすることになりました。

とても変わった作りのバッグです。

 

今回のいちばんの問題は、

どんな革でそれを作るか、でした。

 

ゴージャスなファッションの

クライアントがお持ちになるには、

品格はもちろんですが、

お召しのお洋服と同じく、

良質な素材でありながら

軽やかに感じられるくらいの

さりげなさも欲しいところです。

 

 

 

 

 

 

ハイブランドの革では平凡に収まって

この方に負けてしまう感じでしたし、

当店のオリジナル革だと、この方には

カジュアルな雰囲気が強めに感じられます。

 

おとなしい感じではまったく物足りないですし、

お似合いになりそうなので

ミスマッチでワイルドに振ろうとしましたら、

あまりワイルドなタイプも

落ち着かない、とのことです。

 

 

 

 

 

 

男性のファッションで

こんなに楽しく考えさせていただくことは

なかなかありません。

 

デザイナーは

頭の中にある革をひととおり考えたうえで、

「ゾウ革はご覧になったことありますか?」

とお尋ねして、その時作りかけていた

ダークネイビーのバッグの途中をお見せしました。

 

 

 

 

 

 

すると「いいえ、初めて見ます。」

とおっしゃいましたが、その目は

吸い込まれるようにその鞄に注がれています。

「色がいいですし、

柄もすばらしいですね!

見たことない革です。」

 

やっぱりこれだわ!

存在感があって、

ここの色の出し方なら上品だし…

 

こちらのクライアントは、装い全体を

上品なコンサバスタイルにしていますが、

組み合わせや

アイテムのディテールのそこここに

それを少し壊す、遊びの感覚が入っています。

とてもイメージバランスの良い装いで、

この方の複雑な個性が出ています。

 

 

 

*鞄の中に入れる仕切りも作りました。

 

 

そういう意味で、上品さを保ちながらも

ワイルドさを少しプラスして差しあげたい

と思ったデザイナーは、

その場で他のゾウ革の色について

革屋さんにお尋ねすることにしました。

 

そうしたところ出会った革が、

今回お入れしたブラウンゴールドです。

 

革の色や雰囲気を写真で出そうとしたら

とても難しいので、

写真だけから判断するのは危ないのですが、

デザイナーは長年の感覚から

「この色ならこの方にぴったり。」と、

翌朝すぐに革屋さんへ出かけて行きました。

 

 

 

*お作りした仕切りを入れることで、
鞄の中がすっきりと納まります。

 

 

そうして革を見た途端に

「今回のクライアントが気に入らなくても、

ここまでステキな革なら入れましょう。」

と、その日にはもう

ゴールドブラウンがアトリエに置かれたくらい

すばらしいテクスチャーでした。

 

それをお見せしたところ

気に入ってくださったので、

こうして現実の鞄となりました。

 

端正でいて、ワイルドさもあり、という

複数のイメージ要素を持つ

すばらしいバッグです。

 

デザインのポイントとなる

持ち手の付け根のデザインは、

革の雰囲気に合わせて変えています。

 

 

 

 

 

 

底面に付ける底鋲の形や大きさなども、

当店ではそれぞれのデザインに合わせて

デザイナーがすべて変えています。

 

デザインの完成のためには

デティールの決定が必要不可欠で、

一つひとつを真剣に吟味しないと、

そのオーダー品の世界観が

小さな齟齬から崩れてしまいます。

 

デザイナーの厳しい要求に

技術者たちは時に辟易しますが、

ピックアップ時の

クライアントの様子を伝え聞くことで

その気持ちも吹っ飛んで行きます。

 

こちらのクライアントにも

喜んでいただけて良かったです。

「ゾウ革だと知らなくても、

良いものだとわかりますね。」

 

持つ方によって、バッグが

いろいろな雰囲気に見えることも

よくわかりました。

今回のバッグ製作は、

ファッション好きなデザイナーにとって

とても興味深かったようです。

ありがとうございました。

 

 

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