2024.12.26
新店舗の大きなコンセプトと内装素材のストーリー
今日は「㈱吉田多津雄建築計画事務所」の
吉田さんへのご相談から導き出された
新店舗の内装コンセプトを
お知らせしようと思います。
どんな風に注文内容を決めていくか
お書きすることで
これから家を作る人や店舗を作る人の
ご参考になれば幸いです。
またこの内容は、当店へ
革製品のご注文をくださる方にも
何かしら得るところがあると信じています。
*右の方が吉田さん、その隣が女性スタッフ陣。
タンニンの木、
数種類の床材を見せてくださっています。
初回はもちろん
現在の銀座店に出向いていただき、
新しい物件もご覧いただいたうえで
どのように新空間を使いたいか、
依頼者なりの説明をしました。
「革製品で慣れてるはずなのに、
店舗ってもっと広範囲のことなので
どこから説明すればいいか、難しい。」
ということでデザイナーはまず、
技術者たちと相談して決めた全体像の
レイアウトをお見せして、それが
どういうコンセプトなのかを説明しました。
*技術者たちが作ったきちんとした縮尺の
新店舗寸法。そこに中身をレイアウト。
「新店舗では”革をお見せする空間”を
作って、みなさまをご案内するつもりです。
まずご相談→革の選択
という感じで、場を移してご紹介したい。
話し合う空間→見る空間→作る空間
という風にして、みなさまに
移動する空間を愉しんでいただける
エンターテインメント空間にしたいのです。」
そして
レイアウトは今とあまり変わらないですが、
店舗としての世界観をガラッと変えたい、
と、リクエストをお出ししました。
でも机や扉などは
自分の好きなアンティークですから
持って行きたい、という要望も出して
「うちにいらっしゃるクライアントも
こんな気持ちなのね。」という感じです。
*次々と素材候補を見せてくださいます。
吉田さんの説明自体がとても興味深く、
高品質。お写真で手にしているのは
和紙に漆(タンニン繋がり)を塗った壁紙。
「革について調べたのですが、
革を鞣すのには”タンニン”を使うそうですね。
ここの革はそれがメインですから、
内装に使う素材のテーマを
”タンニン”にするのはどうでしょう?」
こんなアプローチに抗える人はいません。
「タンニンはおもに、
ミモザや栗、ケブラッチョという木から
抽出した樹液です。そんなんで
たまたまいろいろ探していたら、
アカシア(ミモザ)とチェスナット(栗)の
高品質の床材で、驚くほど安価に
出してもらえるものがあったので、
見本をお持ちしました。」
なんと素早い建築士です。ここまで一週間。
高名な建築士だということもあり、
少ない量であれば、高品質の素材を
安価に引っ張ることもできるようです!
*吉田事務所でお出迎えしてくれる
「どらえもん」。これが漫画に出てくる
どらえもんのリアルなサイズ!
”タンニンストーリー”のある内装なんて…
素材に精通していて、
自分がデザインするお店に
貪欲な興味を持ってくれなかったら
こんなコンセプトは出せないでしょう!
吉田さんは
どんなものでもとことん調べ、それを
あっという間にご自分のモノにしてしまう
スゴイ人です。
というわけで、
今度のお店の内装に使われる素材は
それぞれが
”タンニンストーリー”を持っています。
デザイナーが考えたのは
店の在り方としてのコンセプト。
それに建築士の視点と知識が加わって
内装そのものがストーリーを持つものへと
変化していきました。
次回は素材の見本をお見せします。
その小さな見本から
どうやってリアルに想像をして行くか…
さてさて、テーマはさらに大きくなります。
どうぞお楽しみに!