
2025.02.2
最年少クライアントの考えた斬新なアイデア、コンパクト長財布 41114
お約束時間にお待ちしていますと、
なんだかとても若いクライアントが
ご来店なさいました。
大学生くらい?と想像していたところ
ご相談後に伺ってみると
返ってきた答えは、「16歳です。」
当店顧客の最年少記録を塗り替えた
クライアントがご注文くださったのは、
ご自分で考えた長財布です。
お話を伺いますと
随所に斬新なアイデアがあり、
たしかに使い良さそうです。
よくこんな形に至ったものです。
ただし
「この小銭入れはちゃんと使えるかしら?
この内容でどれくらい全体を小さくできる?」
という、製作方からしますと
かなりあいまいな内容でしたから、
とりあえずダミー財布を作って
製作の可否を判断し、
お見せすることにしました。
*右は最初にお見せしたダミー財布
この長財布には、4枚のカード入れと
小銭入れが付いていますが、
なるべく薄くするために
小銭入れには留め金具を付けていません。
財布を開け閉めすること
=小銭入れの開け閉めもできる、
それでいて、小銭がこぼれない。
ここがなんとも合理的で新しい発想でした。
右のダミー財布と左の本編とで、
小銭入れの位置が
左右が入れ替わっているのは、
ダミーをお見せした際に
実際に扱ってもらったところ
使いにくさを感じた、ということで
その変更を反映させたからです。
当店でのご相談では、ここはどうなる?
ちゃんと使える?大きさに問題ある?
と判断の難しいご注文内容に関しては
このような対応をしています。
ご注文をお受けする、ということは
それがまず間違いなくうまくできる
ということですし、
世界のどこにもないものを作る
ということになるわけですから、
当初案に起きそうな失敗を
あるていど未然に防ぐこともできます。
*真横から見た厚み分と持った時の大きさ感
さて、本編オーダー品の見た目は、
シンプルにフタの被った長財布で、
薄そうに見えると思います。
実際薄いですし、タテヨコのサイズ感は
札を折らずに入れられるくらいの大きさで、
かなりタイトです。それでいながら
ストレスを感じずに使える大きさで…
↑これが重要です。
ここまでタイトにお作りするのは
とても難しく、
単に寸法を計算して貼って縫う、
という単純作業だけと思うかもしれませんが、
職人の「手加減」を使って、一生懸命
形にしなければならない部分があり、
これがいちばん厄介なところ。
開くと上のお写真のようになっていて、
この長財布なら
ジャケットのポケットにもスッと入って
お洋服のラインを崩しませんし、
小銭入れも付いていて
外観のシンプルな長財布としては
かなり薄く、革が馴染じむに連れて
気持ち良く使えると思います。
レイアウトが考え抜かれていますから、
必要なものはすべて持ち歩けて
コンパクトなのに、きちんとした印象で
苦も無く使える、というわけです。
そんな話をしていましたら、じつは
この青年(少年?)は、起業したい、
このお財布を引っ提げて
デビューしたい、と考えていました。
デザイナーはそのお話を聞いて
さまざまなアドバイスをしていましたが、
製作条件等のご相談に乗っていった結果、
「高価になってしまうけれども
当店製品で自分のアイデアを試してみたい」
というご意向を得ました。
完成品をお渡しして、後日
起ち上げたというご連絡を受けましたので、
応援がてら、ご覧ください。
なるほど、こういうことだったのですか。
どんどん挑戦して、
従来の枠をはみ出すような発想を
たくさん生み出してくださいね。
このたびはありがとうございました。