革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2025.05.6

ハイブランド革のブリーフケース、メンズラティーゴ 41115

長く定番になっている製品がありますと、

時代によってその需要の様相が変わる、

という変遷が見えてきます。

 

本日ご紹介するのは

定番「ラティーゴバッグ」です。

 

開店当初からレディスバッグとして

お作りしてきましたが、ここのところ

男性からのご注文をいただく機会が続き、

このような形のメンズへの転身というか、

昨今のファッションの流れを感じています。

 

実際、前回・今回とも

メンズバッグとしてかっちりと

お作りしまして、ご注文者はお二人とも、

きっちりと背広をお召しの方でした。

 

最初にご注文くださった方は、

ふたつ目の仕事用鞄として、

気分の変わる製品を

お求めだったのだと思いますが、

 

 

 

 

 

 

今回の方は、ひとつ目の鞄として

ご注文くださいました。

 

お色は、グラファイト。

濃いめのグレーで外連味のある、まさに

おしゃれに慣れた大人の方用の鞄です。

 

 

 

 

 

 

クライアントは

ブラックとグラファイトとでお迷いでしたが、

圧倒的に

グラファイトがお似合いになる方でしたので、

第一希望としてこちらをお薦めしました。

 

第一希望を…というのは、

革の色はロットでブレるからです。

そのブレが、もし明るい方に出ていたら

黒にしましょう、と

デザイナーはご提案をさしあげました。

 

 

 

 

 

 

革の色は、見本チップで見る革の色よりも

1枚革の大きな面積で見る色の方が、

人の目には明るく感じられがちだから、

ということもあります。

 

それで、どちらに転んだ色かを確認しましょう、

というご提案でした。

ブレが大きな色の革の場合、

確認してから入手するようにしています。

グラファイトは初めていただくご注文で、

そこが明確ではありませんでしたから。

 

ブレの大きな色ですと、人によっては、

ここら辺までの色ブレならオッケーです、

と具体的におっしゃる方もおいでなので、

一人ひとりのご希望にお応えして

革を入れています。

 

 

 

 

 

 

さて、この鞄は何が大変だったと言って、

真ん中に仕切りを付けたことです。

ラティーゴデザインは大きさ違いで

これまでたくさんお作りしてきましたが、

45年間で初めて、仕切りを付けました。

 

当店の製作技術は日々向上しているので、

頭ではこうすれば可能にできる、

とわかりましたが、実際に製作してみると、

正直、これほど大変なこととは

想像できていませんでした。

 

難しい形を、泣きながら作った

昔を思い出します。

 

最終的にきれいに仕上がって、

苦労の後はみじんも見えないことに

製作者もデザイナーもホッとしました。

 

ピックアップ時に

とても喜んでいただけたのが

印象に残っています。

ありがとうございました!

 

 

 

  

 

 

 

このように大変な作り方の場合

ブサイクになるかならないか、が

大きな課題です。

 

うつくしく仕上げる… でもそれは、

よく言われる喩えですが、

白鳥がすいすいと進む水面下で

一生懸命足を動かしているのと同じく、

見えないところで、

目的に向かって

正しい方向で努力できるどうか、

が勝負です。

 

こんなことを書くのは

ちょっとルール違反だな、と思いつつも、

うつくしく仕上げる、という

当たり前を当たり前にするには

どれだけの覚悟が必要かを

知っていただきたいと思いました。

 

毎回毎回、製作物の種類にかかわらず、

当たり前のことを当たり前に

表現できることが、その道のプロです。

毎日の真剣勝負に耐えられなくなった時が、

リタイアする潮時となる仕事かもしれません。

 

 

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