革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

Order example

2014.01.11

オーダーメイドで製作依頼する時、知っておきたいこと

 

ある日、女性のお客様からメールをいただきました。

 

「以前からずっと欲しいと思っているバッグがあります。

今までにそれを、二度フルオーダーメイドで作ってもらったのですが、

どちらも、まったく思うようにできませんでした。

 

はっきり言って フルオーダーメイドに不信感はあるのですが、

バッグだけはこだわりがあるので、

やはり 自分にとって使い勝手のいいものが欲しいんです。

 

・・・・・(何回かのメールのやりとりの後)

一度ご相談に伺ってもよろしいですか?」

 

最近、フルオーダーメイドを唱う職人も増えてきたようで、

こうしたお話も、以前に比べてたくさん伺うようになりました。

 

ご来店時、お客様は、最初に

以前のオーダー時に使ったスケッチ画をお見せくださったのですが、

それは、お望みの形がよくわかる、いいスケッチ画でした。

 

(欲しいものがはっきりしてますから、ご相談はあっという間でしょう・・・

でも、最初に送ってもらった

以前 注文したというお品の写真とは ぜんぜん違うようだけど?)

 

あら?ということで、私の勘違いかとも思い、

「お送りいただいたオーダー品のお写真とは まったく違いますね!

お写真を確認させてください。」と

あらためてPCで確認しようと席を立ちましたら、

 

「このスケッチ画を見せたら、

あの写真のようになってしまったんです、

言ったとおりにはできてますが、イメージがぜんぜん違うんです。

だから、失敗してしまったんです。」

なるほど。

 

外縫いと内縫いのバッグ

 

 

お写真を確認しますと、お客様が感じたように

イメージは まったく違います。私にも、

そのスケッチ画から作ったデザインのバッグには、とても見えませんでした。

それで、最初に

失敗というファイル名でお写真をいただいていたにもかかわらず、

そのオーダーの元になったスケッチ画を拝見して、

(それにしても、違い過ぎるんじゃない?)という疑問が出たのです。

 

そして、イメージがぜんぜん違うのに、

スケッチ画と同じ仕様で出来上がっていることを確認して、

なるほどな、とその意味を理解しました。

スケッチ画と同じ配置のデザインなので、必要条件は満たしています。

 

でもこれはもう、お互いが持っている 感覚の違い、

という言葉でしか表現することのできない「違い」です。

 

私「でも、このスケッチ画から作ったものだとしたら、

これは違いますね。」

お客様「それをわかってくださいますか!」

 

ではどうしてそんなことが起こりうるのか?

それは、バッグの場合「構造と作りがデザインを決める」からです。

 

 

US2

 

 

同じ配置デザインであっても、作り方や構造を変えることで、

まったく違うイメージのお品を作ることが可能なのです。

 

ですから、作る前に

どの作り方が、そのお客様のイメージしたデザインに当たるのか、

構造を熟知しているプロがいて、それを判断しなくてはなりません。

 

それには、依頼者のイメージを引き出して聞き取る力と、

それを正確に読み取る力が必要です。

そして、複合構造を使う方が適している、と判断した時に、

そういう複雑なものを

完璧に作ることの出来る技術を、持っていなくてはなりません。

 

そのふたつを持ち合わせて 初めて、

お客様のイメージを正確に、具体的な形として表現出来るのです。

 

 

外縫いと内縫いの腕時計ケース

 

 

ただただ 職人として、自分の好きなものを作ることや、

自分が作ることのできるものだけを作るのとは、ワケが違います。

 

複雑な手順を踏んでお作りする 当店のフルオーダーメイド品は、

世界中に一点だけの、あなただけの 毎日の伴走者。

 

この方は、前述のように今までに2回、

同じスケッチ画を持ち込んで どちらも失敗なさったことから

(ひとつは捨てて、ひとつは1回も使ってないとのこと・・・)

今回、新たなイメージのデザインを持ち込むことにした、と

聞き取りを通じて お話しくださいました。

 

お話の結果、ほんとうは

新しい形ではご満足いただけないこともわかりましたし、

それをご理解いただくことも出来ました。

ですから、

もう一度あらためて出直していただくことになりました。

そのために宿題もお出ししましたから、

お客様も納得の、暫定的な結論です。

 

 

外縫いと内縫いのボトルケース

 

 

今回のコンサルティングでは、

欲しいという気持ちと、

今まで何回か失敗したという気持ちが重なっていますから、

あわてて 中途半端なものに決めて また失敗・・・

という結果にならないよう、細心の注意を払って聞き取りをし、

 

なぜ、以前の2回のフルオーダーが

失敗になってしまったのかを、ていねいに解き明かしました。

 

それは、もちろんこのお客様のせいではありません。

では、製作者のせいかと言ったら、それも言い過ぎです。

 

それほど、フルオーダーとは難しい仕事なのです。

だからこそ、ワールドブランドでは、いまでは

昔からよく知っている、最高のお客様にしか提供しないのです。

 

当店は、

時には、こうしてレクチャーだけをすることもありますが、

そうしたお客様は、必ず 再訪問してくださいます。

 

フルオーダーメイドのかなめは、コンサルティング。

少なくとも、その点を覚えておくだけでも、

腕のいいオーダー店の見極めに通じていただけることと思います。

 

当店は、世界でも珍しい

コンサルタント+フルレンジ技術の職人を持つ

フルオーダーメイドの専門店です。

 

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