2016.10.22
ショルダーバッグのフルオーダーメイド品
ご相談をお受けする時、
デザイナーは
いくつかの方法を持って、臨みます。
今日ご紹介するのは「完全イタコ式」。
それ何?という声が
聞こえてきそうですが、
ご相談で大切なのは
クライアントのお気持ちを
100%に近いところまで理解すること。
そしてお好きなファッション感覚や
イメージを捉えて、
それを反映させたデザインに仕上げること。
ぱっと見てわからない部分は
言葉を使って、ポイントを押さえます。
男性のファッションは
あまりバリエーションがありませんから
それほどタイプはありませんが、
女性の場合、さまざまなタイプがあります。
正直それをすべて把握するのは
かなり難しいことですから、
革製品のコンサルティングには、
ファッションに興味のある女性の方が
オールマイティにお応えすることが
できるかもしれません。
しかしそれでも
すべてをカバーできるわけではありません。
なかなかイメージしづらい
クライアントもいらっしゃいます。
今回のバッグは難しいお題で、
お持ちいただいた、クライアントの
現在最も出番の多いバッグと
欲しいと思っていらっしゃるバッグが
構造的にかなり違う形でした。
そして、お好みの革のイメージと
その形に向いた革が違っていたことから
どのような全体像にするか、
とても考えてご提案いたしました。
最も出番の多いバッグを元にして
考えるにしても、
いろいろな意味で、かなり
テクニカルな案件になりました。
そんな時役に立つ方法が、「完全イタコ式」。
いったん構造の知識を忘れて、
まずはクライアントのおっしゃる通りに
自動書記していきます。
それから理で考えていくと
何が問題になり、
どこをどうすると良くなるかが
あぶりだされて行きます。
理屈通りにお進めするのと違って
もっとも難しいご相談の受け方ですが、
今回もうまく運んだようです。
お受け取りにご来店くださったクライアントは
「ああ、この感じです。
それで、使っていくと
この辺りが柔らかくなってくるんですね?」
「そうです、
それには普段お使いの時に
どんどん手で撫でてくださいね。」
当店の特別牛革は、まさに
魔法の素材です。
使っていけば柔らかく手になじみますが
型崩れはしません。
良い素材を使うということは
こうした難しい案件に対して
最高のご提案ができるということです。
ありがとうございました。