革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2018.03.4

二つ折り財布のオーダーメイド品 70209

「うわ~、たくさん入ってますね。」

と思わず言ってしまったほど

たくさんのカードが入ったお財布を

お持ちくださったクライアント。

 

適量以上に中身の入っているお財布を

お持ちの方はたくさんいらっしゃいます。

しかし、それにしても

このお財布にこれだけ入るとは…

 

新旧のお財布

 

以前もお書きしましたが、

革製品の場合、新品のお品に

長年使い慣れた財布と同じだけ

中身を全部入れようと思ったら、

それは絶対に無理!です。

 

革は一朝一夕では変形しません。

もちろんみなさまのカードも、

いきなり増えるわけではなく(笑)

少しずつ入れていった結果が、これ。

 

これだけ入れられるようになるには、

当然、ある程度お時間がかかります。

 

上部から見たお財布

 

また、ほとんどの人が

ご自分が使っているお財布の

最初の状態を覚えていません。

まあ、日々変形していくのですから、

それも当然でしょう。

 

それでもオーダー時に

「今の量が全部入る財布が欲しいです、

でも、大きくしたくはないんです。」

と希望するクライアントも多く、

「どうやったら大きさを変えないで

これだけ入れられるっていうの?」

とツッコミを入れたくなることも

正直、しばしばあります。

 

カード入れ部分1

 

そんなわけですから、それらを

最初から全部入れるためには

かなりの努力を要します。

 

たくさん入る、

しかも現在の大きさを維持する…

出来上がったものこそ

美しく、すっきりと

何の苦労の跡もなく見えますが、

その製作時には、

それこそ胃の痛くなるような

細心で緻密な作業をしています。

 

カード入れ部分2

 

全体の大きさはもちろん

カード入れの位置、カードの枚数、

さまざまな要素を勘案・熟考します。

 

最初からたくさん入れる方法も

たくさんあるにはありますが、

しかし、

ベストの答えはひとつ。

 

毎回毎回デザイナーは、

あっという間に、簡単に

答えをお出ししていると

思われていますが、

頭の中では大型電算機が

ものすごいエネルギーを使って

ブンブン唸っています(古い!)

 

お財布の厚み

 

 

まあともかく、

「たくさん入れたいお財布」の逸話は

ものすごくたくさんあります…

 

いま振り返ると、

多くのクライアントがお持込になる

驚くようなものに多数遭遇し、

そのご要望にお応えしたい、

何とか作らなくてはならない、

その連続が

当店の技術を

ここまで高めてきたのだと

感じます。

 

まさに

オートクチュール店を育てるのは

そのお店のクライアント、

ということでしょうね。

ありがとうございます。

 

新しいお財布

 

ところで当店は、店舗の場所を

下北沢→代官山→銀座、と

移転してきたわけですが、

それぞれの土地には

やはりそれぞれの特徴があって、

希望されるお品の製作精度も、

面白いことに、全く違うのです。

 

「土地柄」と言われるものが

確かに存在することを

身を以て知ることが出来ました。

 

このような興味深い経験も、

オートクチュールのお店の

独特の仕事ならでは、ですね。

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