革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2021.02.22

メンズグルーミングポーチ 2009

きれいな黄色で、

グルーミングポーチをお作りしました。

 

「このサイズが使いやすくて…」

というご依頼で、

見本をお預かりして

同じサイズでお作りしたものです。

 

 

 

この時はお色がポイントで、

選んでいただいた黄色は

その時唯一入手可能だった、硬い革でした。

 

普通の作り手でしたら、

このような硬い革でこうした形を作ることは

まずありません。

端的に作りにくいからです。

 

革の場合、

それぞれの革質に向いた作り方があります。

しかし、色を基準にお選びいただく時には、

それではカバーしきれないことがあります。

今回まさにそれでしたが、

とてもきれいに仕上がりました。

 

 

 

作りにくい理由は、このポーチが

「内縫い」製法でできているからです。

 

市販品に多い内縫い製法は

製作の中にファジイな部分が少なく、

流れ作業に乗せやすい

という特徴があります。

その分、きっちりしたセオリーがある、

ということ。

 

硬い革で作るということは

その一番の基本に反しています。

 

まあこれは作る側からの説明ですから

ここまでとして、

使い勝手の特長としては、

ふっくらと出来上がっていることで、

容量以上に入れても、形がきれいに

(元の形をうまくごまかせますから)

見えること、がすごく良いことです。

 

 

 

どうしてそのように見えるかというと、

この製法では

最初に内側を表に出して縫ってから

ひっくり返し、表面を出すことで

完成させるのですが、

その時、全体が内側から膨らむからです。

 

また作る側の話に戻りますが、

製作時にこの方法なら、

多少縫い目が整っていなくても

何とかカバーすることもできるという

利点もあります。

量産の流れ作業に採用されている意味は、

そういうところにもあるのかもしれません。

 

 

 

しかし上質な革のオーダー品の場合には、

カッティングからなるべく正確にして

とにかくブレの無いよう製作します。

 

それは、フルオーダーメイドの作り手は、

見る目の基準が

量産品のそれとはまったく違うからです。

 

でもそれは、じつは

まったくそういうことを知らない人が見ても、

ちょっとしたブレでも、

人間の目には違和感として映ります。

 

よくこちらに

「違和感のないことが

すばらしい出来だということです。」

とお書きしますが、それはそういう意味です。

今回のご注文もありがとうございました!

 

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