2023.02.24
閑話休題:ソックス、手編みと機械編みの違いとモノづくり
さて、機械編みの履き心地は
どうだったでしょう?
「当たり前だけど
量産品は価格がこなれてますね。
でも、気持良さを感じたい人には
向いてないかな。
誰もが手編みできるわけではないし、
誰もが高価な手編みの方を
履きたいわけでもないし、その人が
何を求めるか、っていうとこかしら。」
*左が1.5シーズン ヘビロテした手編み、
右が洗って一回の機械編み
「機械編みは、ひと目見た時から
『大きそうだなあ…』って思ったけれど、
とにかく試すんだ!と買いました。
やっぱり大きかった。
でもね、足の裏部分の長さは
手編みと同じ23センチなの。
どこが違うかというと、
写真を見てもらうとわかるとおり
つま先とかかとが緩いの。
それはもう最初に履いた時から。」
*新品の機械編み
「そして、どの気になる点も、
機械編みだから
という理由から来るんだけども、
靴下口がクルクルめくれてくるの。
手編みは、足裏自体の長さは同じでも、
つま先はフィットするし、
かかともうまく嵌るし、
口はちゃんとそのままだし、
気持ち良さがぜんぜん違います。
私は普段履きしたいから
こういうことを感じましたが、
機械編みは、家で履く専用にすれば
良いと思います。」
*1.5シーズン ヘビロテした手編み
「よくよく聞いてみると、
手編み達人は
かかとの編み方を変えていて、
つま先の目数の減らし方も変えていました。
さすが熟練者。
だからMサイズ(23センチ)でも
22.5~25.5くらいのサイズをカバーできます。
そのまま
いつもの靴を履いて出られるのは、
ずぼらな私には一番の感動です。
だって、家からちょっと出る時に
靴下も靴も履き替えなくていいんだもの。
機械編みの方は
靴は大きめのものでないと入らないし、
靴を脱ぐと靴下まで脱げちゃう。
かかと部分もつま先部分も
靴の中に残っちゃって…
やっぱり家の中で履くのが前提かな。」
*新品の機械編み
「量産品を作る時には
『中央値のサイズ』を決めます。
自分のサイズではなく、一般的なサイズ。
その数字にどれだけ自分があっているかで、
着た時、履いた時などの
心地よさに違いが出ます。
その他、量産品の作り方は、1日で
適度な品質のものを
たくさん作るための作り方で、
『どうやったら、もっと
気持ちよく履けるものになるか?』という、
効率ではなく、ベスト品に焦点を合わせる
熟練者独特の考えから来る作り方とは
まったく違います。
もちろんどんな量産品も
できる中でベストのモノづくりを
していらっしゃるのは確かですが。」
*1.5シーズン ヘビロテの手編み
達人の話しを聞きますと、
もっともっと良い物を、
美しいものを、と求めていることが
よくわかります。
ものを作る人というのはつねに
そういう精神を持って
材料に挑んでいます。
手編みソックスも
私どものオーダー品も、
使う相手がはっきりしてこその作り方。
何を求めているかで、
どれを選ぶかはまったく違ってきます。
買い物の時はいつでも、
それを考えていただくことで
楽しみを味わえますし、
無駄な買い物をしなくて済みます。
ご自分自身の要望を
はっきりさせたい時、
お店のプロに相談することも
楽しい解決の仕方です。