2024.04.6
どこにもない、理想の赤いショルダーバッグ 40102
個性的なおしゃれをなさる方が
おいでくださいました。
きれいなお色を使いこなすご様子など、
この方のファッション感覚は
海外でお仕事をしていそうな雰囲気です。
「必要なものをすべて入れられるバッグが
なかなか見つかりません。」
今回、こういうデザインが良いのですが…
というご要望はとくにお持ちではなく、
ここはデザイナーの大きな出番です。
具体的に入れたいもの、
どこに何を入れてどう使いたいかを
最初にお伺いしますと、
割と大振りなバッグになりそうな感じです。
そして次には
クライアントにとって使いやすく感じる形や
お好きなデザインについてもお尋ねします。
途中の細かいことはひとまず措いて
どんどん聞き取りを進めていきますと、
だいたいこんなデザインが良さそう、
という全体像が
デザイナーの頭の中で形作られて行きます。
聞き取りしながらお好みを探りつつ
ご提案していく、という流れですから、
その場でパッと描いたデザイン画の印象が
OKかイメージ違いか、は
一瞬でクライアントに判断されます。
とても珍しい形になりましたが、
デザイン画の段階で気に入っていただきました。
デザイナーもこんなバッグは見たことが無い、
という形です。
次に革の見本帳をお見せしましたら、
革とお色は
即時にお決めいただくことができました。
ご決断の早いクライアントです。
「この赤がとてもきれいですね。
私の好みの色です。」
今回のオーダー品の製作内容の中にも
今まで作ったことのない
新しい製作方法があります
(毎回なにがしかあります)。
ですから、お見積もりの前段階で
このバッグが製作可能かどうか、
デザイナーと製作責任者は入念に検討します。
この相談段階だけでも、
ご相談者は、熟練の二人の技術を
ふんだんに味わうことができます。
見た目には四角いシンプルな形に
見えると思いますが、
実際に製作するとなると
あそこもここもと問題は山積み。
その他にも内装にギミックがあります。
製作の可否を決定する
それぞれのオーダー品に必要な製作方法は、
当店の場合、デザイナーが
相談段階ですぐにあぶり出せるので、
それができるかできないか、あるいは
もっと良い方法があるかどうか、などは
製作責任者と額を集めて相談します。
これが、made in Ginza を行っている
本当の意味。
オーダー受注に必要なすべての工程を
まさにその場、「店頭」で
一貫して行うことができるからです。
それによって、相談内容に漏れがないうえ、
あらゆる角度からの精査ができます。
そして、その場に必要なのが、技術者。
実際に製作に携わる人が話しに加わると、
製作の可否はもちろんのこと、
時にはもっといいアイデアが出たりするなど
大きな化学変化を期待できます。
これがもっとも重要な
フルオーダーメイドのファクターです。
だからこその、made in Ginza.
デザイナーと技術者が揃って
ご注文者から
お話を伺うことのできる状況を作っています。
これがフルオーダーメイドです。
よく、「銀座で作るなんて贅沢ですね」とか
「銀座で作られたものなんて売ってませんよ」
などという側面ばかりが注目されますが、
それは方向性の違う見方です。
現在では、
ハイブランドのFENDIなども
アトリエに顧客をお呼びして、
顧客には製作者と話をしてもらいながら
オーダーメイドに応えています。
エルメスは最上階で
その時のお薦め革を見せながら、
ベテラン女性が聞き取りをして行きます。
その場でのデザイン提案はないそうですが。
いわゆるそのような環境で、
ハイブランドの最高顧客たちは
オーダーを発注しています。
さて
もうみなさまもお気づきのとおり、
当店で行っているのは、
ハイブランドのオーダー受注方法です。
真似したわけではありませんが、
理想的なオーダー方法を追求していったら
このような形になりました。
理想的な方法はこれだけ、とも言えましょう。
国内によくある一般的な、
職人がひとりで回しているお店は、
その職人のでき得る技術の中で
作りうる範囲の製品を作っています。
コンサルティング出来るデザイナーが
在席しているお店は、
ほとんどありません。
そこが、
ブランドオーダーと個人店オーダーとの
大きな違いです。
こちらのご注文者は
ご相談の課程から
たくさん愉しんでくださいました。
全体の大きさが
持ち物に適しているかどうか
私どもにもわからなかったため、
大きさダミーをお作りして
確認のために再来店をお願いしました。
出来上がりをご覧になって
とても喜んでくださいました。
真心のこもった
お褒めの言葉をたくさんくださったことが、
製作者をとても喜ばせてくれました。
このたびはありがとうございました。