革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

Order example

2024.09.28

修正したゴルフの距離計ケース 40418

当店では

すでにオーダーくださった方だけに、

特別なサービスとして

リフォームや異素材使いなどのご依頼を

お受けすることがあります。

今回は、お持ち込み製品の革を使いました。

 

ゴルフ好きのクライアントから

2点目の距離計ケースのご注文を

いただきました。

 

革が古いのは、この方が気に入って、

長らくお使いのポーチの革を

お持ち込みいただいたからです。

 

長くお使いになって

そろそろ寿命かと思われる製品ですが、

革だけでも

できる限り手元に置いておきたい、

というご希望です。

何かしら思いのあるポーチに違いありません。

 

 

 

 

 

 

かなり劣化した革ですから、

「あまり保たないかもしれませんが。」

とお断りしてから、製作に入りました。

 

フタに入った2本のステッチは

もともとのステッチをそのまま使っています。

 

じつはこのご依頼品は

後から修正したところがあります。

 

 

 

  

 

 

 

左上のお写真をご覧ください。

ご依頼内容がはっきりしていたため、

珍しいことに

距離計をすっぽり収めるようにしてしまい、

取り出しにくくなってしまいました。

 

これは距離計をお預かりしなかった

私どもが

見誤った判断をしてしまったのですが、

こういったお品はやはり

中身をお預かりすることが鉄則だと、

あらためて確認しました。

 

それで、この部分を浅くすることで

事なきを得ましたが、

今回のフタの留め方と

浅くする寸法とがバッティングして

思った以上に大変な修正でした。

 

 

 

  

 

 

 

もうひとつはベルトループの上下。

向かって左側のベルトの付け方は

クライアントからのご指定でしたので

それに従ったのですが、

 

実際にお使いになられましたら、

「中身を取り出す時に

ケースが持ち上がって取り出しにくい。

だからどの製品も

普通の付け方をしているのですね。」

という結果となり、

今度はベルトの上下を反対にする、

というリクエストをいただきました。

 

こういう修正はめったにありませんが、

ただ修正するだけでく

きれいにお直しすることが当店の技術です。

 

これで進めてください、という

クライアント主導のオーダーの場合、

よほどの不都合が生じる部分を

即座に予測できない限り、

あまり考えることはせず、

ご依頼内容どおりで仕事を進めます。

 

それは、最初から

「これでいきます」という

ご指定あるご依頼内容の場合はたいてい、

コンサルティングが入り込む余地が

ほとんどないからです。

ですからお題をブラッシュアップして

細かい修正をご提案し、

どうやってきれいに作るかを

考えるくらいになります。

 

なぜなら、フルオーダーにおいては

どちらが主でどちらが従か、という

暗黙の了解に従う部分もあるからです。

 

今回デザイナーは、

「クライアントにはよくお話しするんだけど、

世間一般にない細部って、

何らかの問題がある場合がほとんどです。

ベルトループの向きは

ご指定があったからそのまま作っちゃったけど

まさにそれでした…

気づかなかったですよ。

今まではほとんどありませんでしたが、

こういう場合もまだ出てくるかもしれません。

どこにもないものを作るってこういうことですね。

フグを

安全に食べられるようにするまでの話みたい。」

 

 

 

 

 

 

 

このケースはきれいにお直しできましたが、

みなさまに強く申し上げたいのは

 

「出来上がった革製品の修正は出来ない、

とお考えいただくと間違いない」

ということです。

 

ほどんどの場合、

完成品になってからでは

まったく手を入れられません。

 

私どもが

綿密なコンサルティングをするのは

それが理由です。

 

そして、

完成品の修理にお値段がかかってしまうのも

同じ理由からです。

 

ですから当店では、たいていの場合

みなさまと話し合いながら

最終形をあぶりだしていきます。

その結果、クライアントは時に

進路を変えることもありますし、

最終形すら

まったく違うタイプになることもあります。

 

私どもではそのために、

考えられる選択肢を

(それが良いものであれば)すべて提示し、

みなさまにはそれを、

より良い方向に進むよすがとして

受け取っていただいています。

 

そういう意味で

オーダーメイドは二人三脚の仕事と

思っていただくと、ありがたいです。

 

使い方やお好きなデザインをご希望いただくのは

みなさまの領域で、

設計や

より良いものへのご提案は私どもの領分。

そこから最終決定してくださるのは

みなさまです。

 

そのためには

十分なお時間をお取りいただき

お考えをすべてお話しいただきますよう、

お願いいたします。

 

 

 

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