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コーヒーブレイク4
2003/10/05「革製品というくくり」について
洋服や靴はそれぞれ全く違う区分けのものとして、
みなさんの間では認識のあることと思います。
では、革を使ったアイテムに関してはいかがでしょうか。
今回は、最も基本的な「革製品のアイテムの区分け」
についてご説明しようと思います。
よくお客さまからいただくご依頼として、
・靴を作ってください。
・手袋をオーダーしたいのですが・・・
・革のパンツをお願いします。
・イスの革を貼りかえてください。
というものがあります。
たとえば、布地の洋服を作る人に、布地のおサイフを作ってもらえますか、と問い合わせる方は、まずいらっしゃらないと思います。
ですから、わたくし達からしてみると上記は「?」なご依頼なので、なぜ そういったご要望が出るのかをお尋ねしてみました。
すると、「革製品だから同じところで作るのかと思って・・・」というお答え。
なるほど・・・と納得したのですが、じつはこのくくり方には、大きな誤解があります。
最初に挙げた洋服や靴、というのは、素材と関係ない「アイテム」としてのくくり方なのに、なぜか革製品に関しては、「素材」だけでくくられてしまうことが ほとんど。
ですから、まずはそのくくりが、そもそものナンセンスの始まりなのです。
では、みなさんご存じの革製品には、どんなものがあるでしょうか。
・洋服
・靴
・バッグ
・手袋
・帽子
・サイフ
・文房具
・家具
:
:
etc
ものすごくいろいろなアイテムがありますね。
これらのアイテムは、それぞれ制作のノウハウとテクニックがまったく違うので、まったく違う人達が作っています。驚きですね!
わかりやすい例をあげると、革のジャケットは「洋服を作る人で、かつ革 を扱える人」のジャンルになります。帽子、手袋もしかり。
というわけで、どの店で何をオーダーできるのか、という見極めをする方法は、そのお店がお客さまに見せている「アイテム」から想像する、ということになります。
そういったところで、
さて、次回は「革製品のアイテム分けと技術について」をご説明しましょう。
きっとみなさんが「どうして?」と思っている事へのお答えを
お出しできるのではないかと思います。

コーヒーブレイク3
2003/10/05「革の裏面」と「ウラ地」について
いつも何気なく見ている革製品。
当店の革製品のほとんどには、「革のウラ地」がついているのですが、
意外と、その事実をご存じない方がたくさんいらっしゃいます。
その理由は、「革の裏面」と「ウラ地」 を混同している方が多いということ。
今回は、その両者について、御説明しましょう。
みなさんは、革の裏面をご覧になったことがありますか?
何の加工も施されていない、革の裏面。
ここでお伺いしているのは、「ウラ地」のことではありません。
ですから、もちろん、一般の革製品の裏側についている布地のことではありませんし、当店製品の、つるつるとした、革の表面と同じ素材のことでもありません。
「革の裏面」と「ウラ地」、これはまったく違うものです。
でも、多くの人が、革の裏面は、布だと思ったり、革のオモテ面と同じも のだと思っています。それは、普段、わたくしたちが、革の裏面を目にすることがないからです。
それでは、ご説明に入りましょう。
1.革の裏面
端的に、革の裏面がどんなものかというと、
やや色むらがあり、
ざらざらとしたさわり心地で、
こすっていると垢のように擦れて取れてくる、
繊維のような感じがします。
そして、ベージュカラーのヌメ革で、外縫い製法で作られている製品に限って、
実際に、革の裏面を出したままの製品を見ることが出来ます。
厚くてしっかりとした、重めの製品を思い浮かべてください。
ヌメ革(当店でいうベア・スキンレザーも同じタイプです)は、芯のしっかりとした革であるうえ、
コバ磨き仕上げで仕上げなければならないため、一般には、
厚いまま、革の裏面をそのままにして作る作り方がスタンダードです。
※なお、当店では、ヌメ革(ベア・スキンレザー)の外縫い 製品にも、必ずウラ地をつけています。美しいコバ磨き仕上げのために、ウラ地にもオモテと同じベア・スキンレザーを使っています。
これが、当店製法の大きな特徴です。
2.ウラ地
「ウラ地」とは、革の裏側を見せないための、
飾りの要素も含んだ「ウラ張り素材」のことです。
薄くて柔らかい革の内縫い製品、およびへり返し仕上げ製品には、必ず布の裏地がついていますね。
これは、そのままでは柔らかすぎて製品にはならないので、
形をしっかりさせるための芯材などを入れなければいけないから、
という理由もあります。
洋服のウラ地と同じで、作っている内幕を隠すためにも、必要なウラ張りです。
ですから、こうした柔らかい製品には、
一般的に、ほとんど、布かナイロンを使ってウラ張りをしています。
市場に出回っている革製品では、ウラ地のないものは、
まず見られることはないでしょう。
オーソドキシーは、革のウラ地が向いている製品にはすべて、
ウラ地として、オモテ面と同じ革を使っています。
また、柔らかいウラ地が向いている製品には、
オモテ用の丈夫なナイロン地を使っています。
それは、そうすることで、美しく、軽く、丈夫になるからです。
ほんとうの大人にふさわしく、丈夫さを兼ね備えたエレガントさと、
軽さが追求できるからです。

コーヒーブレイク2
2003/10/05「素材と作り方について」
「革製品」とひと言でくくっても、アイテムはさまざまです。
オートクチュールをお考えの方に、
イメージ作りに役立つ、
2種類の作り方をご説明しましょ う。
1.外縫い
外から見ると、面を作るためのステッチ(縫い糸)が見える、
バッグや小物の作り方です。
当店の製品で例をあげますと、
紳士物では、トップバーブリーフケースやストライプポイント。
女性物ですと、デコルテバックシリーズやラティーゴ、
また、ステーショナリーは、ほとんどが外縫いです。
デザインの特徴は、カッ チリとしたシャープなラインが出ること。
バッグですと、あまりパンパンに中身を入れない方がかっこいいでしょう。
作り方としては、それぞれのパーツを切って、貼って、縫う。
いたってシンプルです。
また、革の切り口を「コバ」と呼ぶのですが、外縫いのときのコバの仕上げ方には2種類の方法があります。
A.へり返し、あるいは返し合わせの仕上げ
B.コバ磨きの仕上げ
A、Bの方法には、それぞれ素材や作り方に違いが出てきますので、下の 表をご参照ください。
A.へり返し、返し合わせ仕上げ |
|
使う革 ・・・
|
どんな革でも可能。 柔らかく、薄手の革が向いている。 |
製法の特徴 ・・・
|
ほとんどの量産品に使われる仕上げ方法。
ウラ地として布やビニール、ナイロンを使った場合には、 |
製品の特徴 ・・・
|
外縫いでも、柔らかな雰囲気が出る。 革の端を薄くしてから仕上げるので、耐久性に欠ける。 |
B.コバ磨き |
|
使う革 ・・・
|
磨き用に作られた革のみが可能。 |
製法の特徴 ・・・
|
工場の生産ラインでは作ることの出来ない仕上げ方 法のため、ひとつひとつ職人が手作業で仕上げる仕上げ方。ウラ地をつける場合、ウラ地も同等の革を使わなくては、美しい仕上げができない。 |
製品の特徴 ・・・
|
カッチリとしたシャープなイメージが出る。 革の端を薄くする必要がないことと、ウラ地にも革を使うため、耐久性が高い。 |
2.内縫い
外から見ると、面を作るためのステッチ(縫い糸)が見 えない、バッグや小物の作り方です。
当店の製品で例をあげますと、
トラベルでは、シエナやオーバーナイト#3、
ユニセックスですと、ディクスンやコラムになります。
デザイン的な特徴は、ふっくらしとした柔らかいラインが出ること。
たくさん中身を入れても、形がくずれません。
作り方としては、パーツのウラを表に出したまま貼り合わせ、縫った後 で、ひっくり返して仕上げる、という方法です。
それで、面を作るための縫い目が外に出なくなります。
内縫いの仕上げに関しては、外縫いのように特別な方法はありませんの で、製品として出回っている数は最も多く、量産品の代表的な作り方です。
柔らかい仕上げなので、ウラ地も布やナイロンなどを使い、革であって も、薄く柔らかい素材が適しています。
以上のふたつを知っていただければ、なぜ 当店の製品群に2種類のウラ地が使われているのか、ご理解いただけると思います。
「適材適所」という言葉どおり、まさに作 りと素材は、コインの表と裏のように、切っても切り離せない関係。
デザインに適した素材を、適した方法でお 作りすれば、すんなりと美しい仕上がりに収まります。
もちろん、お客さまは細々としたことをお 知りになる必要はありません。
当店のコンサルティングデザイナーが、あ なたのオーダー品を作るために必要な、高度な知識と技術を持っています。
当店でお客さまに必要なことは、
椅子にすわってゆっくりと
お話しいただくお時間をお取りいただ くことです。

コーヒーブレイク
2003/10/05「牛革という素材について」
ユーザー側から見ますと、
牛革には、
根本的にタイプの違う2種類があります。
1.「メイクアップ・レザー」(Make-up Leather)
・・・毛穴をつぶして無くし、表面を平らな状態にした革。
2.「ベア・スキン・レ ザー」(Bare skin Leather)
・・・毛穴が開いたままの状態で仕上げた革。
世の中に出まわっている牛革製品は、
ほとんどすべて、この2種類に分けることが出来ます。
今回のコラムでは、それぞれの特徴をご説明いたします。
*ここで使っているふたつの革の呼び名は、
革の説明として分かりやすく、みなさまがイメージしやすいものを、と考え、
オーソドキシーが独自で使っている名称です。
通常使われている用語ではないことを、ご了承ください。
1.メイクアップ・レザー(Make- upLeather)
名前の通り、女性のメイクアップの要領で作られています。
表面の色むらがなく、均一に見えるので、大量生産に向いている革です。
均一なので革質を気にせず、
一枚の革からたくさんのパーツを機械的にとることができますので、
市場にある牛革製品のほとんどは、この革で作られています。
まず、基礎化粧品で素肌を整える(鞣し工程)
→下地クリームで毛穴をふさいで肌の表面を平らにする(下地づくり)
→ファンデーションで、希望する色や肌感を作る(仕上げ加工)
ただし、女性のメイクアップとまったく違うのは、
一生涯、毛穴が開かないところです。
その特徴は、
革の表面 ・・・・・・・
|
平らで滑らか。手触りは、張りがあり、硬い感じ。 |
革全体の 感じ・・・・
|
表面以外は、柔らかい感じ。 |
使用後の変化・・・・
|
あまり変わらず、表面にややツヤが出る。 きれいな色は、場合によっては褪色す る。 雨などの水に対して・しみになりにく い。 |
キズに対 して・・・・・
|
いったん付いたキズは治らず、白くなる場合が多 い。 |
2.ベア・スキン・レザー(Bare skin Leather)
名前が表すとおり、「素肌」感覚の革。
女性の化粧用語で言うと、「すっぴん」、という言葉があてはまります。
「革の目」(使っていい方向)があるので、
10年以上従事した技術者でないと、パーツを取 ることもできません。
そうしたことから、大量生産の工場では製作ができないので、
市場にあまり出まわっていません。
オーソドキシーが特注している革はこのタイプの革です。
作り方を化粧にたとえてご説明しますと、
まず、基礎化粧品で素肌を整える(鞣し加工)
→肌の表面に、水性ファンデーションをたたき込む(仕上げ加工)
非常にシンプルな作りの革ですから、
素材の革の状態や、加工のていねいさによって、
仕上がりはかなり違ってきます。
この革の特徴は
革の表面 ・・・・・・・
|
ツヤがあまりなく、どちらかといえばマットな質 感。 触った感じは、 やや柔らかさがあり、手が入り込むような感じがする。 |
革全体の感じ・・・・
|
しっかりとした繊維感があり、 やや硬めに感じることもあるが、同時にしなやかさもある。 |
使用後の変化・・・・
|
革の内側からツヤが出てきて色が濃くなり、 表面はアメ色のツヤになる。 雨などの水に対して・最初は雨染みが出来やすいが、 ツヤが出てくると、雨染みは出来にくくなる。 |
キズに対 して・・・・・
|
いったんキズがついても、治ってくる。 さらにツヤが出てくると、きれいに使い込んだ感じが出る。 |
一着の洋服の素材に、
着るのに適した季節や、場所(TPO)があるように、
革にも、適したTPOがあります。
最も大切なことは、
ルールを守って使うこと。
そのためには、それぞれの素材の特徴と、扱い方に、
ぜひともご興味をお持ちになってくださればと思います。
