実際のオーダー例
40年3,000件を超えるオーダー実績
貴方のオーダーのヒントになさってください。
カテゴリー

ボストンバッグ「シエナ」サイズ変更 504N
2025/07/27
ネイビーのルバルxベージュの
組み合わせでご依頼いただいた
自重が軽いうえ、
短めのショルダー紐が
荷物の重さを
軽く感じさせてくれることから、
人気ある定番です。
*定番は45センチですが、
このバッグの大きさは40センチ。
型紙を新たに作らないと、
オリジナルデザインは踏襲できない。
今回のクライアントは当店定番を
たくさんお持ちくださっていますし、
独自のフルオーダー品も
いくつもお持ちになっています。
当店定番を重用してくださる方は
ほとんどがフルオーダーを経験済みで
そこから、定番のリーズナブルさと
熟慮された使い勝手を
ご理解くださっています。
ありがたいことです。
*スマホをさっと取り出せるポケット
当店定番品は
長い期間、定着していますが、
必要があると感じたらつねに
仕様をブラッシュアップしています。
それが上のお写真の
マチ部分に付けたサクッとポケット。
この定番が出来た20年ほど前は
これほどまでに
スマホが普及してなかった時代でした。
また、正面のポケットには
ある程度の必要物が入りますから、
このポケットは要りませんでした。
ところが今は
スマホを持って旅することが当たり前
ですから、このような
さっと出し入れできるこのポケットは
バッグに必需のものとなっています。
*本体の外ポケットには、
航空機チケット用、パスポート用の
ポケットがそれぞれあり、
本や空気枕なども入るスペースも。
たまたま最近、あるお客様から
メールでご質問いただいたことから、
定番について考える機会を得ました。
それは、有名ブランドのある定番品を
当店でオーダーメイドするといくら?
という質問をいただいたことが
発端でした。
ご質問者は、それが
高額なブランド品に対する
アンチテーゼになるとお考えでしたが
デザイナーは
「それはナンセンスかな。」と
以下の話をしてくれました。
まず第一に、
何十年も作り続けている「定番」を
持っている有名ブランドは
どれほどあるでしょうか?
ちょっと思い出すだけでも、
一時期、頻繁に街で見かけた
有名ブランドの製品が
今ではほぼ見られません。
そして既に、
そのブランドショップには
その製品が出されてもいません。
これは何を意味するでしょうか?
これは、「定番製品」を
コンスタントに作り続ける、
そしてそれを売り続けることが
いかに困難であるかを物語っています。
大きな有名ブランドだけが
製品を販売できる売り場を
世界中に持っていますが、それでも
「定番バッグ」を何十年も
売り続けることは、
不可能に近いことです。
だから常に新しいデザインを考え、
新しいものを産み出すことに向かう。
「トレンド」とはそこから生まれた
方便だと思います。
*178センチの男性が持った時。
そんな中で当店は、
定番品を何十年も持ち続けています。
これは、デザインが普遍的なもの、
目的に合った使い勝手が良いもの、
楽しく持てるもの、など
時代が変わっても変わらない製品を
ピックアップしているからです。
また、お店の規模と製作量を
合致させていることも大きな要因。
だからこそ
一点一点を大事にしながら、
時代によって
変えるとより良くなる内容を加味し、
ブラッシュアップしていけるのです。
いくら定番であっても、
こういった努力なしには
時代にそぐわないし、結果として
みなさまから受け入れられないことに
なってしまいます。
定番品を生産し続けることが
現実的でないことには
じつはもっと深い理由があります。
供給する側として、ハイクォリティの
定番品を長らく供給するには
大変な努力が必要です。
そして、一定顧客にいきわたった後も
定番品を売り続けることの困難さは、
想像以上のことです。
顧客の数は限られていますし、
飽きやすいですから。
有名ブランド品といっても
あくまでも量産品ですから、
売り手買い手の帳尻が合うようにして
定番としての灯を消さないように
それを維持していくことは、
普通のやり方では無理でしょう。
だから、極端な言い方になりますが
普通は新しいデザインに頼りますし
同じ形で素材を変えただけの定番品を
「新作」として発売します。
*157センチの女性が持った時。
いっぽう供給側には
作り手やお店の数に見合った点数の
高品質の製品を常に生産できることが
大きな課題になってきます。
普通の量産品でも
リピート生産されるものは
ほとんどありません。
その理由としては、
その製品の製法と工場のフローを
いったん手放してしまったら、
復活させることが大変だからです。
クォリティが高ければ高いほど
それは困難になってきます。
しかも、
生ものである革素材を使って
品質を落とさず供給するのですから、
どれほどハードルが高いことか…
オリジナルの金具製作も同様です。
量産品vsオーダーメイド
という図式は、
一見正しいアンチテーゼの図式に
思えると思います。
しかし、当該ブランドでない限り、
オーダーメイドにおいては、
現在はどんな革も入手できるように
こそなりましたが、その他の素材、
たとえば金具の入手は不可能です。
また、製作個数の少なさゆえに、
一貫した効率的な製法とフローを
使うことも、持つことも出来ません。
一般の量産品と比べれば
ずっと良いクォリティで
お作りできますが、
有名ブランドが社運をかけて作る
定番品と比べるのはナンセンスです。
お値段が高いか安いかは
売る側、買う側で決めることですが、
ひとつの定番製品ができるまでの
想像を絶する努力は、
買う側に見えることはありません。
そんなことをお考えいただけば、
リーズナブルかどうか、という質問は
その製品に付けられたお値段を
買い手が認めるかどうか、
という単純な問題であることを
ご理解いただけることと思います。
お話が脱線してしまいましたが、
クライアントからはお届け後に
ご感想を頂戴しました。
************
ボストンは単体で見ると小さく見えるのに、
持って鏡に映すと
結構たっぷり入りそうで驚きました。
色もとても素敵で、
ワックスの色も地色になじんでいます。
************
いつもご感想をありがとうございます。
華奢な体格にお似合いのサイズで
ご注文いただけたと思います。
たくさんお出かけして、
たくさんお楽しみくださいね。
このたびもありがとうございました。

オーストリッチレザーとは?
2025/07/26
今日はオーストリッチの革を
まるっと一枚お見せします。
1枚の革を丸ごとご覧になる機会は
なかなかないと思いますから、
ぜひ拡大してご覧ください。
「オーストリッチと言えば毛穴」
というくらい毛穴が有名ですが、
お写真のとおり、毛穴(クィル)の
ぷつぷつがあるのは、
1枚の革の半分くらいです。
しかも個体差がありますから、
ぷつぷつの高さや大きさ、
また配置の具合も
革によってまったく違います。
それで当店では、製作物に合わせて
革の仕入れをします。
バッグなど大きなものには
大きくしっかりした毛穴が合いますし
小物であれば、密度が高めで、
高さのある毛穴がキレイです。
それだけでなく、
中心線に沿った毛穴のない部分の
あり方や、それがどれほどあるか、
も見る必要があります。
*数年前のハイクラスのオーストリッチ
ですから
製作物に見合った革がその時々で
うまく見つかるかどうかは、
運しだい。
革はご縁のモノなのです。
*オーストリッチレザーの
オーダー例は、こちら
上のお写真は
オーダーパーツ取り後の革です。
四角く空いた穴はパーツの形。
小物でしたから密度の高い斑柄にして
中央線からシンメトリーで
パーツを取っています。
大きめで高さあるツブで一級品ですが
昔に比べると、ツブの高さや大きさは
ずっと小粒になっています。
時代とともに動物も変わっています。
エキゾチックレザーは
1枚単位の販売のうえ
高価なので、ご注文品の場合には
最高級の場所でパーツを取ります。
それがこの四角く空いた穴。
なぜこのようにパーツを取るか?
それはそういう製品が
もっともうつくしいからです。
見ていて気持ちよいからです。
市販製品にはまず
こんなお品はありません。
*パーツを取る時は
あらゆる角度から見て決めます。
でも、これまでのように
「毛穴のない部分に価値はない」
などと言うことは、
この動物にとってとても失礼な話。
当店では毛穴のない部位については
店頭でみなさまにお見せして、
積極的にお薦めしています。
なぜなら、オーストリッチは
「とても丈夫」だからです。
おまけに
毛穴のないオーストリッチ革は、
じっくり見ても何の革かわかる人は
そうそういません。
すごくおもしろいと思いませんか?
デザイナーは、
オーストリッチやクロコダイルを
始めとするエキゾチックレザーは、
「牛や豚とは違って
品種改良されてないから、
ずっと丈夫なんだと思う。」と
仮定しています。
それほどに
エキゾチックレザーは、どれも丈夫。
ところで、
オーストリッチ革の裏面が
綿毛が絡まったような
ふわふわな見た目をしていることは
ご存じですか?
じつはこれが曲者で、
昔、この革の特徴を知らない頃
どんどんこの綿毛を
むしっていったところ、
革に穴が開きそうになりました…
綿毛は柔らかいのですが、
「むしる」という表現をするほど
その毛は、厳しく硬く
表皮にくっついています。
ですから、製作前に革自体を
均等な厚みに揃えることも
なかなか手間だったりします。
女性製作者ですと
「手がいたくなっちゃった。」
ということもままあります。
ご注文品に合わせて革を選び、
その革を最高の状態にして製作し
デザイン的に齟齬のない
うつくしいものに仕上げる。
使い勝手はもちろんですよ!
これが当店が
ひとり一人のみなさまに提供している
オーダー品の素性です。
長くお使いいただくことを願って、
このオーストリッチレザーの
毛穴以外の部分にも
ご注目いただきますよう、
お願いいたします。
リーズナブルな価格なのに
すばらしい保ちの革です。
お写真の革は、もちろん毛穴も
ゴージャスに起っていますので、
お好きな方はご連絡ください。

世界でひとつ、リネアペッレレザーのシステム手帳 50605
2025/07/25
「この手帳、プレゼントとして
作ってもらってから、15年経ちます。
たまたまウェブを見ていたら
お店が移転したことを知ったので
覗いてみようと、お訪ねしました。」
オリジナルレザーのシステム手帳を
お見せくださったクライアントです。
きれいに使ってくださって
ありがとうございます。
せっかくおいでいただきましたから…
と、デザイナーは
リネアペッレの革をお見せしました。
すでに製作に入っている鞄や
革のままのものをお見せしたところ、
「これはすごいね!」と、
見る場所によって色が変わって見える
不思議な風合いの革に
注目してくださいました。
「まだ前の手帳は使えるけど、
この革で作ったら
とてもカッコよくなりそうですね。
どうするか考えて来ます。」
ということで二度目のご来店を。
今回も同じ方からのプレゼントと
なりました。
なんとすばらしいことでしょう。
「この手帳だけは毎日手放さずに
持ち歩いています。」と
2回のご来店時、手にお持ちです。
*内側素材はオリジナルレザーの黒!
これによってさらにカッコよく…
この革はダークブラウンが基本色で
角度によってもっと明るく見え、
その微妙な色具合がとてもシックで
どんな方法を使って作っているのか
想像もつかない型押しで、それが
カッコいいイメージにつながります。
カッコいいこの型押しは、反面
加工の仕方がとても難しいです。
リネアペッレの革にはどれも
最新技術の試みが
取り入れられていますから、
たいていの革には、
製品にするための加工方法に
工夫が必要になります。
まるで切れ込みのように
型押しが入った革ですから、
漉きも難しく、そのほかの
加工の仕方にも制限が出てきます。
今回苦労したのは
ベルトを留めるループの作り方。
ここが顔になりますから
注意深く形を決定します。
半面、端処理のコバ磨きが
とても美しく仕上げることができて、
イタリアの革づくりの底力を感じます。
紆余曲折の末に
やっと出来上がった形ですから、
お受け取りの時に
「やっぱりカッコいいですよ!
それに、このベルト留めも
この形の方がよかったと思います。」
と言っていただき、嬉しかったです。
次の15年も
すばらしいお仕事になりますよう、
心よりお祈り申し上げます。

育てる牛革ヌメのパープル系、バケッタレザーのブラウン系のご紹介
2025/07/24
店頭でみなさまにお見せできる
バッグを作れる大きさの革を
ご紹介します。
店頭ではお見せできても、
それだけですと
ご来店いただけない方には
情報がお届けできませんから、
こちらでご紹介します。
どれも鞄ひとつ
作れるくらいの量です。
とても個性的で上品なお色ですが、
お写真ではなかなか色が出なくて…
ご相談いただき、ご希望の方には
革見本をお送りしています。
どちらも牛革で、
ブラウン系はイタリアンレザーで
表面をバフッた少しワイルドな雰囲気、
パープル系は栃木レザー㈱の革で
繊細なイメージ。
どちらも合わせる糸の色によって
色目が違って見える革です。
もちろん小物もお作りできます。
どちらも
なかなかお目にかかれない革ですから
アップしてご覧ください。
使っていったら
もっと表情が変わっていきます。
順調な経年変化のある革は
育てる間もそうですが、
時間が経った時、ほんとに楽しいです!

コンパクト財布ジーヴズの絶妙なサイズ変更 50405
2025/07/23
前回ご紹介した高さのない財布と
同時にご注文くださった
クライアントのご注文内容です。
初めてジーヴズをお使いになる方で
大変な内容の注文でした。
ジーヴズは、ご紹介時デザイナーが
「ほかの財布を使っても、結局
この財布に戻ってしまうんですよ。
そういうわけで、製作者たちも全員
この財布を使っています!」と
お話しするくらい使いやすい財布。
当店45年の超ロングベストセラーです。
今回は
珍しいリクエストを頂戴しました。
「こういう風に札が入るんですね。
では、もう少し小さくできますか?
できる限り小さくしたいです。
でもきっとよく考えたサイズでしょ?
変えない方がいいんでしょうか…」
と悩みつつ、最終的には
タテ・ヨコを数ミリずつ小さくする
ご指定をいただきました。
そのご指定寸法があまりに微妙で、
実際お作りする時には
ご指定いただいた最大枚数の札を
入れて見ながら寸法を決めました。
全体をお写真でご覧いただいても
数ミリのことは見分けられませんから
お札を入れたらどれくらいになるか、
下のお写真を撮りました。
このサイズ、じつはご指定よりも
1ミリ弱大きくしました。
それは、ダミーを作ってみたところ、
入れ具合がぎりぎり過ぎる、と
判断したことによる変更です。
これについては、ピックアップ時
「そういう判断をしてもらえるから
ここのオーダーは良いですね。」
と言っていただきました。
オーダーでの小物製作が難しいのは
ひとつには、このような
微妙な大きさを指定される場合。
市販品が大きめにできているのは、
誰でもざっくりと中身を入れられる、
という目的あってのサイズです。
コンパクトサイズにしたい場合、
どこまでぎりぎりにするかは、
それぞれの人の好みもありますから
とてもリスキーです。でも、今回
ファスナーに引っかかりそうなのは
さすがにNGです。
いつでもお札を揃えて畳んだのちに
入れられるわけではないですから。
当店では、ご相談者と話した感じから
ひとりひとりに合わせて
サイズ設定をしています。
みなさまとお話ししていますと、
無駄なゆとりを良しとしない方は
予想以上に多いと感じます。
でももちろん、ある程度のゆとりは
欲しいと思ってらっしゃいます。
それが感覚的なことなので、
人によって変える製作内容です。
こんな微妙なことをやっていると、
量産品を作ることは考えられません。
だから当店では、
カスタムオーダーも
一点一点お作りしています。
予想よりも暑い日本の夏に
驚いていたクライアント。
海外での一層のご活躍と
楽しい滞在生活をお祈りします。