2019.12.01

1本の持ち手を付けた、タテ型ショルダーバッグ 93

「このバッグをよく使うんですが、

一瞬だけ手に下げたい場合が多くて…

 

この見本バッグと同じ仕様で

大きさを変えて、

持ち手を

一本だけ付けてもらえませんか?」

 

 

変わったご要望です。

中身はかなり入りますので、

一本だけの持ち手でいいのか

確認したところ、

 

「ほんとに一瞬

両手を使いたいことが多くて、

まあとにかくやってみましょう!

 

誰もやってないことでしょうから、

もしダメだったらダメとして

また考えましょう。」

との頼もしいお返事。

 

 

よくお頼みくださる

クライアントですが、

関西からおいでくださるので

この日はお時間がなく、

ざっとした採寸をした後

変更点をファックスでお送りしました。

その間たったの20分。

 

「いつも(相談時間が)

早くて助かります。」

いえいえ、ありがとうございます。

 

 

どこにもない

新しい試みをする時、

当店ではまず、

 

頭の中で 綿密な

シミュレーションをします。

 

それが問題なさそうだったら

お受けしますが、

その段階でアウトならば

その理由をお話して

諦めていただきます。

 

 

ただ、当店においでになる方の

リクエストはとても複雑で、

最近では

 

なかなかすぐに

できるかできないか、あるいは

問題ない使い勝手になるかどうかを

お返事できないことが増えてきました。

 

 

これは

当店の技術の幅がさらに広くなり、

相談技術も

さらに綿密になってきたために、

「なるべくご希望をかなえたい。」

という気持ちも手伝って、

 

驚くような内容も

表現できるようになった、ということが

大きくかかわっています。

 

 

絵を描く人が

技術を研鑽し、

自分だけの絵を追及しているうちに、

ある画風に到達した、

という表現をすれば

ご理解いただきやすいかと存じます。

 

 

そうした理由から、

作り上げたものは

絵と同じく作品のようなものですが、

当店では

革製品を作品とは呼びません。

 

それは

「鑑賞するだけのもの」

ではないからです。

 

好き嫌いや解釈するものではなく、

もっとずっと複雑な、

実際的な内容を孕んでいます。

 

中身が入り、重さがかかり、

長距離 持ち運ばれ、

 

TPOにも

合わせなくてはならないからです。

 

革製品のオーダーメイドを実践するには、

多少飛躍した想像力と構築力、

それから

実際的な論理的思考力も必要とされます。