2020.05.21

がま口小銭入れ付き二つ折り財布 99

久々にがま口財布をご紹介します。

この回は

なかなか金具が定まらず、大変でした。

 

がま口金具はたいてい

リアルの店舗で選ぶのですが、

 

今では、ウェブ上の店舗の方には

リアルとは違うお品を

掲載している所もありますから、

両方を探すことになります。

 

 

リアルの店舗でしたら問題ないですが、

ウェブ上のお品は、どうかすると

写真とかなり違うことがあります

(めったにそういうことはありませんが)。

 

今回はそれが大当たり(逆ですが)して

金具の探し直しの必要が出ました。

 

そこで正直にクライアントにお話しし、

ご指定とは少し違う金具への変更を

お願いした次第です。

ご理解、ありがとうございました。

 

 

理想的なものが見つからない時、

・サイズを重視するのか

・重視するのは金具のお色なのか

・はたまた留め具の形なのか

ご注文者によって分かれます。

 

当店では

こういった点までお尋ねし、

第三希望まで伺います。

 

できる限り

ご注文者のお気持ちに沿った

お品をお届けしたいですから…

 

 

当店くらい長い営業をしてますと、

探さなくてもある程度のことは

ほとんどわかっています。

 

でも、毎回

ひとりのクライアントのために

ベストを求めて、

同じ場所でも何度でも探し回ります。

 

そういったことは

デザイナー自身が仕入れに出かけ、

革も

金具も

クライアントのイメージに合ったものを

妥協なく探し回っています。

 

より良いものを、

よりうつくしいものを…

 

 

その時間をきちんと取れるのは、

優秀な技術者が専任でいて、

彼らが、間違いのないオーダー品を

製作することができるからです。

 

ここに

分業できるすばらしさがあります。

個人のお店でしたら、

ご相談から仕入れ、製作まですべて

一人でやらなくてはなりません。

 

そういった状況で

当店と同じことが

できることは、稀でしょう。

 

 

これは良いとか悪いとかの問題ではなく、

分業をしている所と

ひとりですべてを行っている所との

違い、です。

 

また余談になりますが、

じつは当店のようなお店は

非常に少ないです。

 

40年の長きに渡って営業する中、

なぜ当店のような店が少ないか

を考察しますと、

 

基本、この職種は「個人技」だから、

という答えになります。

 

システムとして存在できる

人の替えの効く仕事ではない、

ということ。

 

 

デザイナーには、

クライアントから

答えを引き出すインタビュー能力、

クライアントの感覚を

正しく理解する能力、

それらをデザインに体現する能力、

が要求されます。

 

技術者には、

それぞれのアイテムの

違った製作法を理解する能力、

針目の太さ・大きさや

漉きを変えることで

イメージの違いを表現できる能力、

が必要とされます。

 

どれを取っても、

努力や修練だけでは

どうにもすることができません。

 

すべてが「個人技」で、

その個人技を持った人が集まって

初めて、当店の形態が可能になります。

 

 

そして

「自分の作りたいものだけ作りたい」

という人が多い革業界の中で、

「人の役に立つものをお作りしたい」と

そういう気持ちを持っている人しか、

この仕事は楽しめません。

 

あまりに店からの要求が高いからです。

 

だからこそ、

レベルの違うものに出来上がります。

 

 

長年やってきて、

自分たちのやっていることだから

誰でもできるだろう、と

何となく思って来ましたが、

それは全く違います。

 

才能ある人々が揃って、

その人たちの気持ちが揃ってはじめて、

可能になる営業形態です。

 

はじめてお届けできる

クォリティの高さです。

 

みなさまが使ってくださるお店は、

そんなお店です。