革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

Order example

2020.09.28

取り付け金具のあるファスナー財布 810

コンパクト財布の「ジーヴズ」を

変形させたようなファスナー財布を

ご紹介します。

 

ほんの少しの違いですが、

見た目の印象と使い勝手は

かなり変わります。

 

 

今回も

クライアントのご希望を伺ってから、

「こんな風にした方が使いやすいですよ」を

形にしました。

その結果の形です。

ご提案をご理解してくださって

気持ちよくお受けいただいたことに感謝します。

 

リクエストでは

「上部一片がファスナーのお財布」

というご依頼でした。

でもファスナーの開きは、

ぐるっと回って二辺にかかっています。

 

では、もしファスナーの開きが

上部の一辺だけであったら、

どんな使い勝手になるでしょう?

 

 

通常のファスナーの開きどまりには、

止め金具を付けます。

 

そうしないと

スライダー(引き金具)が止まらないからですが、

これとスライダー本体が

案外スペースを取るため、

ファスナー全体の長さよりも

ファスナーの開く幅は、小さくなります。

 

そんな理由から、

ファスナータイプにする時には

どんな風にファスナーを付けるか、から

気を付けませんと、最悪の場合

使えないものになってしまいます。

 

 

この程度のことは当店では常識で、

もっと複雑で、

 

いままでに製作事例のないお品の

フルオーダーメイドにおいては、

「本当にこれは使えるのか?」という内容を

つねに精査することになります。

 

リクエストいただくお品の中には

製作自体が不可能だったり、

使いにくいことが明白だったり、

無理をすれば作れるけれど

今回のオーダー品では止めた方が良い、

などのものがあることは、経験的に知っています。

 

 

おもしろいことに、

当店くらい多数の件数を作っておりますと、

「こんなことが可能だろうか?」という時、

ピピっと直感が働きます。

 

デザイナーと技術責任者が揃って

「ダメそうな感じ」という時には、

その後、熟考して論理的に詰めて行きますと

まずほとんどが不可能で、

代替案が必要になります。

 

けれど、デザイナーが「何となくできそう」

という時に製作責任者と相談しますと、

「これはね、このようにすれば大丈夫」という

明快な答えが返ってきます。

 

 

フルオーダーメイドをお受けできる店が

数として少ないのは、そういう理由からです。

 

リクエスト通りに作ればいい、

というものではないだけでなく、

それ以前に、

 

リクエストされたものが

ほんとうに製作可能なのか?

可能であれば、そのリクエスト通りに作って

ほんとうにご注文者の言うとおりの

動きをするのか?という、

根本的なモノの作り方、あり方の問題から

詰める必要のある作業だからです。

 

決まり切ったものを作れば完成する

よくある量産品製作の色違いオーダーと違って、

一点一点に検証を要するフルオーダーメイドは、

一般的な製作パターンを踏襲できない

個人技の結集と言えます。

 

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