2003.10.05

オーダーストーリー3

ストーリー3:スケッチ画のお話

あらためて申し上げるまでもなく、当店でオーダーをしていただく場合、設計図やスケッチ画は特に必要ありません。
皆様の頭の中に、ある程度のイメージがあればそれで大丈夫ですから、ご安心を・・・

ある時、小さいお子様をふたりお持ちのご婦人が、スケッチ画をご持参くださいました。
スケッチ画というのは、なくても全然問題ないのですが、もしあれば、そのお客様の意識していない、細かい好みまでもが表れたりするので、場合によっては、 百の言葉よりも雄弁なのです。

そのスケッチ画には正面図と側面図、上から見た図が描かれてありました。
「ん?」拝見してすぐに気付いたのは、そのままでは形にならない、つまりお客様の求める3つの機能を兼ね備えたバッグは、物理的に不可能であるということでした!

でも、そのスケッチ画からは、お客様が、そのバッグにどんなことをお求めなのかが、ヒシヒシと伝わってきます。なんとかお客様のご希望を叶えてさしあげたい。
「さて、どこから始めましょうか・・・」

まずは、お客様の欲しい3つの機能が、構造的にどうして相容れないのかを、ひとつひとつ、ていねいにご説明して、納得していただきました。
ただ、その機能の各々が、独立して成り立っているので、それぞれのデザインを少しアレンジすれば可能になることは間違いなさそうです。
その上で、どういった構造の、どういうコンセプトのバッグをベースにするか・・・これはわたしの決めることではないので、ベースに据えることのできるバッグのヴァリエーションを、3種類ほどわかりやすく図示して、選択していただくことにしました。
「すごくよくわかります」とのお返事で、あっという間にベースも決まり、そうなると細部もスムーズに決まり・・・

お受取りの日、すばらしい笑顔でお礼を言われたことをはっきりと覚えています。
「これで子供のものも全部入るし、いっぱいポケットもあるので、どこへ何を入れたかもすぐにわかります!」
それは、リュックで手下げバッグで、ショルダーにもなる、今まで誰も見たことのない、世界でただひとつのものでした。

バッグに限らず、わたしたちがオーダーをする時に、最も大切なことは何なのか・・・
前回のお話を書き終えたあと、更に考えていったのですが、それは①構造や素材を含むあらゆること、「作る」ということを、技術として熟知している人、そし て②経験豊富で親身になってくれる人、と納得するまで話し合えることだと、わたしは思います。

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