革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2022.02.24

お持ち込みバックルを使ったベルト 201

 

最近では、市販品で

あまり良いベルトが入手できない、と

ご来店くださる方も多くなりました。

 

それはワールドブランドが

替えベルトを作るのを止めた、ということや

量産品の販売会社では

売り値を設定してから製作に入るため

製品が中途半端なものになってしまう、

ということがあると思います。

 

 

 

 

あるクライアントが

ベルト専門店でベルトを作った話を

してくださいました。

最後にお値段をお尋ねしましたら、

ビックリするような高価なお値段です。

 

かつてベルトは、

専門に量産できるアイテムとして

一番最初に挙がるアイテムでした。

 

ベルト用に作られた革を

厚みを整えた状態にして

ベルト裁断機という特別な機械を使い、

いっぺんに同じ幅で切り分け、

切り端も特別な機械で加工処理して…

良質な革質であっても

安価に提供できるラインがありました。

 

機械さえそろっていれば

製作にはあまり技術のいらないアイテム、

ということもあって

良いものが安価に提供できたわけです。

 

 

 

 

ところが最近では

革の値段が急速に上がったり、

専門に製作する会社が無くなったり、と

革製品の中でもっとも消耗するアイテムである

ベルトの品質が、

今までのようなやり方では保てない

ことになってきました。

 

たくさん作れてたくさん売れるから、

高価な革であっても

安価に提供できてきましたが、

いったんそれが崩れると

たとえ専門店であっても

きちんとした品質で作ると

ここまでの値段になるのか、

というくらいになっています。

でも、それには理由があります。

 

 

 

 

これはあくまで

当店の場合のご説明になります。

 

当店のヌメ牛革の形は

上のお写真のようになっています。

この革の表面積の中で

伸びない部分で、表面もきれいな、

製品として使える部分は3分の2もありません。

 

紳士物のベルトには

1メートル以上の長さが

必要なことが多いですから、

一番使える革の部分のど真ん中を

お写真の革の、左右で分断するように、

すっぱりとカットしなくてはなりません。

 

バッグのパーツが取れる部分を

分断することになりますから、

材料としてどれだけロスが多いことか。

 

そういう部位を使うからこそ、

私どもでは

最低でも10年以上は使えるベルトを

お作りするのです。

 

そして、身体にフィットして、

使っているみなさまに

気持ち良い、と思っていただきたいので、

表からは見えない芯材の部分にも

革を使っています。

 

 

 

 

上は、20年使ってくださったクライアントの

ベルトです。

同じバックルを使って作り直しましたが、

その方のお言葉が忘れられません。

 

「20年使えるなんて

想像もしなかったですよ。

まあ、サイズも変わらなかったですけどね。

 

フィット感が気持ち良かったから、

もう一度同じベルトを使いたくて。

毎日のことだから

ほんとに気に入ったものを

使いたいですよ。」

 

 

 

 

たしかに

最初の状態がもう思い浮かばないほど

しなやかになっていました。

 

当店では、ベルトに限らず

20年くらいでリピートしてくださる

クライアントが、少なくありません。

 

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