革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2022.04.3

がま口小銭入れ付きの二つ折り財布 202

 

久々にご注文いただいた

がま口小銭入れ付き二つ折り財布。

 

10年ほど使っていらした見本品を

お見せいただき、

できるかどうかを判断してから

ご注文をお受けしました。

お写真の左側が見本品です。

 

 

 

 

お使いの方にとって

当たり前に存在してきた

長くお使いの財布やバッグについて、

 

「なぜまた、各メーカーは

同じものをもう一度作らないのですか?」

ど訊かれることが何度もあります。

今日はそれについても、お書きしましょう。

 

 

 

 

ブランド品であろうがなかろうが

市販品はすべて、ある時期、ある会社が

限定xxx個で工場生産した量産品です

(販売数を考えて数が決められます)。

量産品以外、大量に市場に出回る品物は

まずありません。

 

その製品に使われた金具や型紙、

流れ作業の手順などの何もかもは、

その一回の製作回を終了すると

工場から廃棄され、

定番でない限り、

二度と作られることはありません。

 

そういう作り方だからこそ

大量かつ安価に、市場に提供できます。

 

量と価格以外にも、

量産の良いところとして

もうひとつ、大きな要素があります。

それは「金具」です。

 

今回クライアントから

がま口金具としてリクエストされたのは、

オリジナルと同じタイプの

四角くて薄い留め金を持った

金具でしたが、

 

隅々までお探ししても

この長方形の立方体の留め金を持つものは

材料としては

どこにもありませんでした。

 

この「それぞれの会社だけの金具」が、

量産できる=大量販売ができる

からこその産物で、求める

デザイン性を演出することができます。

 

 

 

 

さて、お作りする側としては

ご希望の金具がない場合には次に、

現品の金具を外し

それを再生できるかどうかを確認します。

 

この時点でもう

見本品の財布は使えなくなりますから、

そのことをお伝えしたうえでの作業です。

 

今回は幸い、

金具を再生できることがわかりました。

留め具合もまだまだしっかりしています。

 

たとえ再生できても

それからの保ちが悪いものであれば、

その旨お話しして

作る作らないのご判断を仰ぎます。

 

それにしても毎回驚くことですが、

がま口金具にどのように革を挟むか?

については、やっぱり、という感じでした。

 

結論を申しますと、

これには決まったセオリーがありません。

 

いくつかのメーカーの

がま口を再生してきましたが、

どれも製作方法が違うのです!

 

がま口の作り手が少ないのはなぜか、

という理由はそれで、そこから

がま口のご注文を

受けられる人がいないという事実も

身に染みて感じます。

 

 

 

 

ここで、革製品に

定番品がなかなか生まれない理由の方に

お話を戻しましょう。

 

まず、革製品は長保ちしますから、

定番をリピートして作り続けること

=コンスタントに同じ数を売り続けること、

は簡単でないとお判りいただけるでしょう。

 

ひとつの財布を10年使う人がいるとしたら、

一生のうちで、

その人が使う財布は合計何個ですか?

 

また、巷にあふれる

多くの種類の財布がありますが、

あるひとつの財布を

ずっと使い続ける人がどれくらいいて、

そのなかで、

もう一度同じものを使いたいと思う人は

どれくらいいるでしょう?

 

この仕事をやっていますと、

1回目のご来店から15年や20年経って、

2回目お会いする方も少なくありません。

 

 

 

 

本日のクライアントのご感想は、

「できたんですね!

思ったより軽くて薄くて、嬉しいです。」

ありがたいことです。

 

このご感想でしたら、

お持ちいただいた時に違和感がなかった、

ということです。

良かった、良かった。

 

よくお書きすることですが、

ご注文者にとって、何の違和感もなく

すんなりと入り込めてしまうお品、が

最上のオーダー品です。

どうぞこちらも長くお使いくださいね。

 

このたびはありがとうございました。

 

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