2022.10.11
ふたつの二つ折り財布の経年変化
おいでになるみなさまが
見せてくださった二つ折り財布の経年変化を
ご紹介します。
当店特製牛革は、
使っていただくことでどんどん柔らかくなって
革が馴染んで行きます。
また、キズが付いても治っていくことが
驚くべき特長です。
*上から2枚は、1年半経ったところの財布
それは「すっぴんのお肌」だからです。
きれいなお色の革は、
女性の化粧と同じで、素肌を整えてから
下地をツルツルに作って
目指す色を載せるのが基本ですが、
当店のようなベーシックな色展開であれば、
素肌そのものにお色を叩きこむことで
色付けすることができます。
残念なことに、この方法では
きれいなお色を入れることは出来ませんが。
素肌そのものだから、
私たちの皮膚と同じように
引っかいたりするとキズつきますが、
ファンデーションタイプの色の載せ方と違って、
色だけが削れるのではなく
皮膚そのものが削れてキズになります。
しかしこの作り方だと、
キズを再生する力を持っています。
その再生の仕方は、私たちの肌に
何らかのキズがついても治るのと、同じです。
*右は、20年ほどお使いいただいた財布
左は同じ仕様の新品
なんと、元は同じ大きさのものです。
これ以下の2枚の写真も同じ財布です。
お持ちの方がしてくださっていたことは、
ただただ、手で撫でること、です。
私たちの自然の手あぶらが
この自然の革にはうまく作用してくれます。
人の手あぶらは、同じ皮膚のメカニズムを持つ
この当店特製牛革にもよく馴染んでくれます。
内側の小銭入れ部分が乾いた感じであるのは、
このパーツは、あまり触れない部分だから、
と思います。
触れた部分はピカピカです。
最近ずっとアルコール消毒が続いていますから、
手が乾く感じになるのは仕方のないことです。
そんな時には
小さなヴァセリンケースを携帯していただき、
ハンドクリームとして手に付けた後
その手で撫でてあげてください。
たったそれだけで、
革が生き生きとしてきます。
「日々触ること」が、本来のお手入れです。
大きくキズつけてしまった場合も、
驚いたり悲しんだりしないでください。
この革なら、治りますから!
でも治すには、愛が必要です。
「大丈夫だよ~」と言いながら
どんどん手で撫でて上げますと、
白かったひっかき傷もいつの間にか黒っぽくなって、
ツヤツヤし出した革の表面に
うまく馴染んでくれます。
これが、本当の「使い込んだ革」の良さです。
ご紹介した二つのお財布は、
新品と比べるとわかりますが、
使った年数分ツヤが良くなっています。
大事になでていただき、ありがとうございます。