革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2023.09.26

腕時計と一体型の時計ベルト 30804

こちらもパートナーの方への

プレゼント製品です。

 

数十年前のGICCIの腕時計ですが、

「もう時計ベルトが売られてないんです。」

 

時計を拝見しますと、

時計とベルトが一体型になっている

珍しいタイプ。

 

 

 

 

 

 

当店は何十年も前、

ミンクスさんという美容室に

シザースケースをお作りしていましたが、

その製品をご注文くださっていた方で、

ネットで探して「ここはまだやってるんだ」と

おいでくださったとのことです。

 

 

 

 

 

 

「今では、シザースケースを

定番で出しているところが

たくさんありますが、

当時はどこも作ってくれなかったですね。

新人のデビューには

必ずプレゼントしてました。」

懐かしいお話をしてくださいます。

 

「この時計はパートナーのものですが、

使えなくなってから

しばらくがっかりした顔をしているので

喜ばせてあげたい、と思います。」

 

新人さんへのプレゼントもですが、

こういうすばらしいお気持ちをお持ちです。

 

 

 

 

 

 

 

この時計ベルトの製作に関しては

「必ずできる、とは申しかねますので、

お預かりして、もしできたら、

ということでよろしいですか?」と

お話ししました。

 

ピタッとはまった一体型は

あまりに精密で特殊です。

 

このベルトを作ったメーカーならば

時計に合わせた抜き型や芯材を

最初にそろえていますから、

流れ作業で

簡単に作ることができるのですが

(もちろんひとつ目の型作りは大変です)、

 

当店が行う作業は

その最初のひとつ目の型作りにあたりますが、

ひとつ目にも関わらず、型見本ではなく、

製品として完成させる必要があります。

 

ひとつ目を元に用意した本番用の抜き型や

特別な形の芯材はありませんから、

細かい部分はすべて、

通常の道具を使った手作業となります。

 

 

 

 

 

 

 

通常の道具だけを使って

特別な製品を作る時は、

まず製作の方向性を決めるために

細部までリアルに考えなくてはなりませんし、

まずは道具を思ったように使える技術が

必要です。

 

こうした作業になりますと、技術者の中でも

できる人とできない人とに分かれます。

誰もができる作業ではありません。

 

どんな製品を依頼されても大丈夫、

となるまでに、

技術者たちには長い時間の研鑽を

余儀なくされます。

 

 

 

*革を時計をはめ込む厚みと
切り取り穴の形でいくつか試作し、
本番製作に入ります

 

 

 

当店の42年の歴史は、

そうした追及の長さと

正しい方向に研鑽してきた

技術習得の歴史でもあります。

 

久しぶりのご来店とご注文を

ありがとうございました。

この方のお人柄に触れ、

優しい気持ちを味わわせていただきました。

パートナーの方に喜んでいただけるよう

願っております。

 

 

 

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