2023.12.12
オーダーで作った濃いネイビーのゾウ革が、超一級品で上がってきました。
ゾウ革オーダー品はしばしばお作りしますが、
前回入荷したネイビーの色は人気が高く
(革の柄が良かったことも大きいですか)
未だに引き合いをいただきます。
その流れで、大きめバッグのオーダーも含め
何点かご注文をいただきました。
そこで、これはかなり特殊なことなのですが、
私どもの指定に従って
色染めしていただくことになりました。
牛革でもエキゾチックレザーでも同じですが、
通常、ディーラーさんの行う革の色染めは、
当店だけでは消化しきれない量ですから、
「量産前提で全部買い取るから」
という理由以外で色指定することは、
まずできません
(それをしてくださっている
栃木レザー㈱さんには感謝感謝です)。
まず良い鞣し革が、一回の染めロットの数だけ
揃わないといけませんし、
多くの製作者の欲しがるような
色の指定であればまだ可能性はありますが、
かりにそういう色だったとしても
思った通りの色になるかどうかは
ギャンブル、という要素もあります。
ですから通常、
少量しか発注しない顧客に合わせて染めることは
ほぼありえないのですが、今回は
特別に染めていただくことができました。
ありがたいことです。
*今回の濃いネイビーのお色
お写真ではうまく出ませんが、こんな感じ
ゾウ革の場合、私どものディーラーには
南アフリカにも手足となる人がいて、
ジンバブエから原皮を直接入れています。
ゾウ革としてよく知られている
グレーやブラックの色革は
現地で染められていることが多く、
そのまま輸入されるのが当たり前ですが、
昨今では、その他の色は
染められる直前の状態まで鞣された革を入れ、
日本で対応することができる
ディーラーも出てきました。
私どもで染めていただいているゾウ革は、
だいたい思った通りの色を出せる
日本の熟練の染屋さんで染められ、
色落ち防止の色留めもされていますから、
他のものへの色移りもありません。
今回染めていただいたのは深い紺色ですが、
すばらしい色に上がり、この色のゾウ革は
他所ではまず見たことがありません。
ぬめっとした深い紺色は
吸い込まれるようなうつくしさです。
*光によってこのようにも見えます
おまけに今回は、染める前の革の状態を
デザイナーが確認してから、
染めに入ってもらっています。
こんな贅沢は、デザイナーも初めてです。
前回見に行った時は
革の柄が良くなかったため、染めを延期した
という経緯がありました。
革の柄までえり好みしてしまうと
なかなか良いものがないのが、現実です。
ですからこれがどれほど異例なことか、
みなさまにも革の作り方のプロセスを
知っていただきたいと、
これをお書きしています。
そして、どれほど貴重な革という素材を
みなさまがお持ちになっていることか、
それを誇っていただき、また大切に
長く使っていただきたいと思います。
とくに私どもの店の革は
牛革もエキゾチックレザーも
最高の品質を保つ努力をし続けています。
今回の濃いめのネイビーは
少し多めに入手しましたので、
ご興味ある方は店頭でご覧ください。
どなたがご覧になっても
とりこになるほどの柄とお色です。
こんなことがもう一度できるかどうかは
わかりません。
こういうことが、革との一期一会です。