2021.04.10
ツートンカラーの長財布&小銭入れセット
この長財布セットをご注文いただいた時、
嬉しいお話しを伺いました。
「20歳の時、自分の欲しい財布が
なかなか無かったので、
そうだ、オーダーすればいいんだ、と
ネットでこのお店を見つけました。
でも手の出せるお値段ではなかったので
いつかはきっと、と思ってました。」
今もまだ30歳に満たない
若いクライアントの言葉です。
このような若さで
当店においでくださるクライアントは
少ないですが、
最近ではご自分の価値観を持って、
長く使いたいからと
ご注文くださる人も増えています。
嬉しいことです。
でも今回はとくに、
そうして長いこと思っていただき、
実際においでいただけたことに、
感謝感謝です、ありがたいことです。
さて、そのクライアントが
欲しいと思っていらっしゃる長財布は、
どんな内容でしょう?
一番の要素は、札が折れないこと、です。
現在使ってらっしゃる長財布の
レイアウトなら良い、ということでしたが、
マチ部分が札にかかって
折れてしまうことが悩み、だそうです。
よくある定番仕様の長財布ですが、
市販品にはたしかに
札に引っ掛かってしまうような
マチを付けたお品が多い、と思います。
どうしてその手の長財布が多いのか…
不思議な話ですが、
市販品には確定した製作セオリーがあるので、
きっと誰も
札が引っ掛かるマチだということに
気づかず、
はい、長財布ね、と仕様確認だけして
製作し、市場に出回っているのだと思います。
今回のこだわりはもう一点で、
外側は黒でも
内側を黄色にすることでした。
タイミングよくお訪ねくださったので、
色落ちのない、H社と同じ革で
お作りすることが出来ました。
色革は、型押しで良ければ
H社のものなら色落ちなく、質も良いですが、
表面がスムーズの革となると、
なかなか探すのが難しくなります。
きれいな色の革は、
たとえH社の革であっても
もし表面がスムーズ加工であれば、
かなり見た目の雰囲気は変わります。
たいていのきれいなお色は、
型押しに比べますと、
スムーズの方がチープに見えることは
間違いない気がいたします。
さて、そんなわけで今回のご注文品を
お作りしましたが、お話しを伺っていたので
より愉しんで製作できました。
いつかはきっと、と思ってくださった
このクライアントに対して、
そしてすべてのクライアントに対して、
毎回 命かけてお作りしています。
でもやはり私どもも人間ですから、
こういうお気持ちを
お話くださることに対して、
より意気に感じます。
すばらしいご注文を
ありがとうございました。