2023.04.25
オーダー品のネーム入れの現場
みなさんは、出来上がった製品に
ネームを入れる現場を見る機会に
遭遇したことはありますか?
平らな製品に
器械を使ってネーム入れをしているところは
少ないですが、あります。
*器械を30分温める間に手順を進める
ここでは、文字を並べている
製品に押印できる場合はたいてい
シンプルな仕様の製品で、
入れる場所の厚みに
大きな変化がないことが条件です。
*高さを合わせる
当店のオーダーメイド品には
複雑なお品物が多いため、
ひとつの製品の中に
いろいろな厚みがありますから、
*型に文字を入れる
出来上がった製品に押すことが
出来ません。
それで、パーツにする前に
お入れする必要があります。
*試し押し用の革を用意する
ネームを入れた
「完成したパーツ」を作るためには、
あらかじめ
必要なパーツより大きめの革を用意します。
それは、この器械は
ネームを真っ直ぐに入れることは出来ますが、
パーツに対して並行に入れることが
出来ないからです。
*試し革を器械にセットする
それで、ネームを入れてから
正しいパーツの形に切り出して、
裏地をつけたり、等の
完成したパーツにするための加工をして行きます。
*金箔を開いて
器械を使っているからといって
誰でもできる作業ではありません。
革質によって
どのくらいの温度で
どれくらいの圧をかけて
(手でコントロールしてます)
どのくらいの時間をかけるかは、
まったく違います。
*試し押しをする
ベテランのネーム入れ技術者でも
ほんの少しのことで失敗しますから、
周到に練習をして
「いち、に、さん・・・」と
必要な秒数を口に出して数えます。
*押した直後の金箔を剥がす
ほんものの金箔や銀箔を使いますから
しっかり押印することは必要ですが、
皮の表面まで薄い箔を突き通してしまうと
やり過ぎて文字は滲んでしまいます。
*本番用の革を用意する
要は、このネーム入れひとつとっても
技術者の経験とカンが必要な作業だと
ご説明したいと思いました。
普段、誰にもできる
簡単な作業と思ってやっていることが、
細心の注意を払って行われていることに
ハタと気づいたからです。
*革の種類や入れるネームの長さによって
押しの重さや時間を変えて入れる
先ほど、お電話で問い合わせがありました。
「オーダーでキーホルダーを作ったら、
ざっくりでいいですから
おいくらくらいになりますか?
選ぶ革の値段などによって違うと思いますが。」
デザイナーは、以下のよう答えていました。
「キーホルダーのような小物は
革の量は大したことありませんから、
材料費、という意味では
在庫がある革なら関係ないです。
そのオーダー品の複雑さがどれくらいで、
どこまでの厳しいご要望があるかで、
お見積もりは変わります。
要は技術料が一番です。
まずみなさまの言っていることが
ちゃんと伝わっているかどうか、
それから、それがどこまで現実にできるか…
それがもっとも大事なことだと思います。」
*ネームが入ったところ
そうしたところ相手の方は、
「そういうことだったんですね。
いや、却って安心しました。
そこまで技術に自信があるところなら、
お電話して良かったです。
あとからスケジュール見て予約します。
よろしくお願いします。」
技術を習得するのは文字通り大変です。
毎日作業していても
漫然と行っているだけなら、
自分のものにすることは出来ません。
真剣に、命かけて作っているから、
みなさまにご満足いただけるお品が
できるのだと思います。
お正月休みから4か月、
そろそろ技術者たちにも休憩が必要です。
GWお休みをいただきますが、
お休み後にはまた
しっかりと作業したいと思います。