当店では、

革そのものがお好きな方や、

見ているうちに

ご興味がわいてきたクライアントに、

デザイナーが時間のある時

革のミニレクチャーをします。

 

「最近お話ししてると、

こういうのがウケるのよ!」

などと無邪気な感想を述べている

デザイナーですが、

さすが満36年に渡る探求、

半端なものではありません。

 

そういうプロならではの話の内容は

本人には当たり前のことですから、

「こういう内容がおもしろいのね!」

と新鮮に感じるようです。

 

 

今日はそういうウケる話のひとつを

ここにお出ししましょう。

 

一枚目のお写真は、オーストリッチです。

ダチョウの革、ですね。

 

残念なことに、一枚まるっと撮った

お写真はないので

説明だけになってしまいますが、

このプチプチのある面積は、

一枚の革の中に、どれくらいあるか

ご存知でしょうか?

 

答え:半分もありません。

 

ところが、オーストリッチと言えば

世間的には

このプチプチが価値のすべて、と

言って過言ではありません。

 

よく「革が高いですからねえ…」

という言葉を

お聞きになると思いますが、

革のお値段には

1.見えるお値段(一枚の価格)

2.見えないお値段

があります。

 

1.の説明は必要ないでしょうから

2.についてご説明しますね。

 

革は、一枚単位で売られています。

 

特にオーストリッチのように

価値ある部分が一枚の半分もない革は、

一枚で売らないことには

とんでもないことになってしまいます。

(前回お話した

馬革とコードバンの関係に

なってしまいますね)

 

でも、実際にお仕立てする時には

より稀少な部分だけが

必要とされますから、

結局使える部分は

一枚の半分もないのが実情です。

 

ですから

残念なことにその他の部分は、

高価な革にもかかわらず

高価さに見合った利益を

生める革にはなれません。

 

そうしますとほぼ、

半分以下の面積=一枚の革のお値段

という図式になってきます。

 

まずこれが、

2.見えない革のお値段、にくくられる

ひとつの要素です。

 

 

次の要素は、革の加工にかかる時間。

 

みなさまは、革って

買ってくる⇒仕立てが出来る、

とお思いではありませんか?

 

いえいえ、それは違います。

 

例えばこのオーストリッチ、

革の裏は2枚目のお写真のように

ぶわぶわとして柔らかく、

綿のように千切ることのできる

皮膚下の素材になっています。

 

この綿のような素材が

なんともやっかいで、

このまま裏地を付けてしまうと

でこぼこの

不細工な裏表面になってしまいます。

手触りも悪いですし…

 

そこで、3枚目のお写真をご覧ください。

 

人が手を使って、

革の裏面を整えています。これは

革の裏 全面が平らになるように

ぶわぶわを取り除いているのですね。

 

このぶわぶわ、雑に取ると

革に穴が開いてしまうくらい、

革の表皮に肉薄し、一体化しています。

ですからこんな

「仕立て前の作業」であっても

気を向けて集中しなくては

革に穴を空けてしまったりと、

失敗してしまいます。

 

革はいったん穴を空けてしまうと

縫い直しは効きませんし、

仕立て直しもできませんし、

なんとも怖ろしい素材です。

 

やっとパーツを取る段階に入っても、

試練は続きます。

オーストリッチのプチプチ毛穴には

方向があるからです。

ああ~~、なんて

デリケートな問題でしょう。

 

 

このように、革によっては

仕立てをするまでの

下加工を行わないと、

仕立てにすら

入れない革もあります。

 

クロコやリザードなどの爬虫類は

お腹や背中の真ん中で割きますから、

ぐるっと革を剥いで、

肩や足の付け根、首などまでが

一枚の革となっています。

 

キズもありますし、

工業製品でもありませんから、

どの場所でどのように

パーツを取るかも

毎回悩むところです。

 

クライアントのお顔や

性格や好みを思いながら、

「ここが良さそう…」と、

いったん裁断してしまったら

元には戻せない革を

慎重にカットします。

 

一匹一匹の斑柄も違いますが、

クライアントによっても

取り方を変えたりします。

これが当店のフルオーダーメイド。

 

 

さて、そんな風にして出来上がったのが

このオーストリッチの長財布。

 

後ほど改めてどんな仕様かを

お見せしますが、

この軽くてコンパクトな長財布、

出来上がるまでに

たくさんの工程を経ています。

 

このクライアントのためだけに、

ひとりの職人がずっと、

ぶわぶわを取り除いたり

型紙を作ったり

切ったり貼ったり縫ったりしています。

 

その職人が

たとえどれだけ時間を使おうとも、

出来上がった~~!と喜ぶ時に

出来上がるお品は、たったの一個。

これこそがオーダーメイド。

 

だからこそ

そのクライアントだけに

しっくりとくるお品が出来上がるのです。

 

当店でご注文くださる方は

ひとりひとりが、当店の職人を

一定期間雇ってくださっています。

 

それでこそ続く技術力の高さ。

ありがたいことです。


定番「メガネシェル」

サイズ変更カスタマイズ品を

ご紹介します。

 

通常、メガネ屋さんで

最初に付けてくれるケースは

ハードタイプなので、

大きく、嵩張るケースがほとんど。

 

こげ茶色の革で作ったメガネケース

 

当店でお出ししている

定番メガネケース群は、

それとは真逆の考え方をしています。

 

つまり

立体成型という作り方の出来る

プラスチックとは違い、

革は平たい素材で

それを縫い合わせて立体にするため、

メガネケースに対する考え方

それ自体を変えて

製作に取り組んだのです。

 

そこで革の特徴は何か、

という基本に戻って

デザイナーが自分のために作ったものが

現在の定番となっています。

 

形が三つあるのは、

それぞれ使う目的が違うから。

それはまたお話するとして…

 

口を閉じるために金色のマグネット金具が付いている

 

「メガネシェル」の定番は、

見た目は小さいのですけれど

けっこう大き目のメガネまで

入れることが出来ます。

 

それなのに、35gという超軽量。

 

おまけに

これでもかというくらいに小さい。

 

よく「こんなに柔らかいと

メガネが壊れることはありませんか?」

と尋ねられますが、

長く持ち運んで、デザイナー自身は

メガネを壊したことはありません。

 

マグネット金具を閉じると口元は瓢箪型になる

 

このメガネシェル、

定番としては

ちょっと変わった位置づけのお品です。

 

ご来店いただいて

実際に眼鏡をお入れいただきましたら、

必要に応じて

多少のサイズ調整をして

お作りしています。

 

キーホルダー等を付けられるループ付き

 

今回のクライアントのメガネは

(一番上のお写真とは違うタイプ)、

ツルの根元に飾りがあって

折りたたむと

かなりの高さが出るものでした。

 

そういう場合には

新しく型紙を作り直しますが、

ちょこちょこっとした修正ならば

定番のお値段で承っています。

 

メガネシェルに入れると、

思ったより小さく感じるのも

不思議な効果。

バッグの中でもコンパクトに

しまうことが出来ます。

 

コンパクトで軽いメガネケースを

お探しでしたら、

ぜひご注目ください。


「コードバンのお財布が欲しいんです。

こんな感じのものを作ったら

おいくらでできるでしょう?」

アポイントなしで

急にお出でになったクライアント。

 

現在お持ちのお財布も、

外面は黒いコードバン製。

 

お札がたくさん入らないので

たくさん入れられるものが欲しい、

というリクエストです。

 

黒い艶ありのコードバンで作った長財布

 

コードバンも最近は入手困難で、

一体何が起こったのかというくらい

革のお値段も高騰しています。

4~5年前の

2・5倍くらいにはなりました。

 

それは、コードバン以外の

馬革の部位の売れが著しく悪く、

コードバンに

すべての革を加工するための費用を

載せざるを得ないという

状況になったからだそうです。

いろいろな事情がありますね。

 

それでも

黒色であれば、まだ

見つけられる状況ではあります。

 

内側はベージュの牛革と一部にコードバンを使っている

 

さて、今回のお財布には

クライアントのご希望による

珍しい特徴があって、

外側のパーツから

内側の札入れまでを、ぐるりと

一周巻いて

一枚のパーツでお取りしています。

しかも、なおかつその札入れ部に

少しだけマチをつけて、という。

 

なんと贅沢なことでしょう。

しかしこれは

ただの贅沢ではありません。

 

小さなサイズなのに

札をたくさん入れられる、秘策なのです。

かなりの難題でしたが、

クライアントはそれをご理解の上で、

ご注文くださいました。

 

見開き左側はカード入れ兼あおりポケットとマチなしポケットが重なっている

 

ぐるっと底が回っているところは

まことに美しいですし、

手触りにも

すばらしいものがあります。

 

縫い目や革の合わせ目で感じる、

触った時の手の引っ掛かりが

一切ありませんから、

最高に気持ちのいい使い心地です。

 

見開き右側はお札が沢山入るポケットとマチなしのポケットが重なっている

 

実は今回、製作中に

大変なことがありました。

今まで入れていた革やさんから

お入れした革が、

革を強く曲げることで、わずかですが

表面が割れてしまったのです。

(註:栃木レザーではありませんよ)

 

最初、何となく表面の感じが

いつもと違うな、とは思ったのですが、

まさかここまで違うとは…

 

信頼のおける革やさんのものなので、

ちょっと見る目が甘かったようです。

 

このように、うっかり見ていると、

エコ観点からのルール変更や

作る側の事情によって、

革という素材は、怖ろしいほど

製作方法を変えられてしまいます。

 

クライアントのために

良い素材をお選びできる

目を持つことも、

大切な技術のひとつ。

 

最終的には困難を乗り越え、

良いお品をお渡しできて良かったです。

ありがとうございました。


「うわあ、軽いわねえ、このバッグ。」

同級生の女性が訪ねてくれました。

 

「一度お店と作品を拝見したいと

ずっと思ってたの。

じつは欲しいものがあって…」

嬉しいですね。

 

エブリディバッグ

 

「軽いバッグが欲しくて。

それで、ものが探しやすいように

その中にそれぞれの小物用ポケットも

付けて欲しいと思ってました。」

 

当店のオーダーゾーンに

ばっちり入るオーダー内容です。

さてさて、彼女は

どんなバッグがお好きなのでしょう?

まずはひと通り定番をご覧いただき…

 

ひと目で気に入ってくださったのが

「エブリディバッグ」でした。

「この柔らかいラインが、素敵ですね。」

 

正面

 

いろいろお話していると、

色にもこだわりがあって

「ルバルという革よりも

もう少し濃い目のワインがいいわ。」

ということで、

姫路の革をお入れしました。

 

これは最近多用している革ですが、

イタリアで革作りを修行してきた人が

作っている革、ということです。

どうりで日本の革っぽくないと思いました。

 

一概にイタリアの革が良い、

ということではありません。

でもこの革は、

イタリア製の革の良いところを

生かして作られています。

色も豊富なのは、かなりの魅力。

彼女の望む

最初からシックなワインカラーもあります。

 

そしてこの革は、雨が当たっても

雨ジミができないタイプの革。

典型的な「変わらない革」です。

 

外ポケット

 

このように、もし、革の色や

素材に望むことがあるのでしたら、

何でもお話しください。

 

当店のイチオシは

当店だけの素材牛革ですが、

すべての人がその革を望んでいるとは

限りませんから、当店では、

ある程度の選択肢を持っています。

 

よく「一番良い革はどこの革ですか?」

とお尋ねされますが、デザイナーは

「それは、人によって、目的によって

変わってきます。」

とお答えしています。

 

それほど、人によって

ご自分が持つ革製品に対して

望む内容が、違うからです。

 

角

 

その「ある程度の選択肢の革」は、

今まで使ってきて

問題の起きなかった革、

経年変化が良い、あるいは

その両極で 変わらない革、

それから、ずっと定番で

品質が変わらず入手できる革、という

基準でお選びしています。

 

そういった基準でお選びしている革でも

それぞれ革の特徴が違いますから、

オーダー品を作る時の

製作方法はどれに対しても変えています。

リクエストされる革が変わるたび、

ぜんぜん違う作り方を

しなければなりません。

 

アイテムによっても

製作方法は全く変わりますから、

革の種類xアイテム数 の分だけ

製作方法があるんですよ。

気が遠くなるようなお話です。

 

内装

 

そしてまた、人によって

軽く作って欲しい、

多少重くても、自立するようにして欲しい、

柔らかい革でも硬く作って欲しい、etc.

さまざまなご要望をいただきます。

 

それに合わせて

質感を変え、作り方を変えることが

どれだけ大変な作業か

ご想像いただけますでしょうか?

 

同じものをふたつお作りすることは

まずありません。

毎日毎日が新規のお品との格闘です。

 

内装2

 

私どもがお売りしているものは、

具体的には

バッグや革製品ですが、

いつもお書きするように、

ほんとうは

「快適」なのです。

 

お品を通してお渡ししているものは、

「心と身体の健康」なのです。

 

軽くて使いやすい

革製品をお使いいただくことで、

気持ちよくお過ごしいただくことができ

身体への負担も少なくなります。

 

ファスナーポケット

 

少数ではありますが、

身体のどこかが不自由な方に対しても

その方にとって

使いやすいバッグをお作りしたり、

小物を作ったり、としています。

 

健康は宝です。

身体の健康も大切ですし、

毎日笑って過ごせる、という

心の健康も大切です。

 

使い勝手の悪いものを持って

使うたび舌打ちしたくなるようなものを

お持ちのみなさま、

ぜひ当店にご相談ください。

 

そういう

小さな不満がたくさん重なることで、

笑って過ごせるはずの毎日の時間は

減ってしまいます。

 

私どもは、

それを変えるお手伝いができます。

それをとても嬉しく思います。


以前ご紹介した記事

定番バッグの大きさについて、の

その後のお話です。

 

ウェブショップからご注文いただいた

お品をお届けした時、

丁寧なご感想をいただきました。

ご紹介させていただきます。

 

ご自分の体格と

荷物量に見合うバッグを

ずっと探してきたクライアントが、

これを手にした時のお気持ちです。

ありがとうございます。

 

ダークブラウン色の細かな型押しがされた牛革で作ったころりとしたハンドバッグ

 

************

こんばんは。無事マロンバッグ

受け取ることができました。

 

まずとても軽くて、

革も思っていたより柔らかくて

まだ届いたばかりですが、

使い慣れたもののように

馴染む感じがします。

 

ダークブラウン色の細かな型押しがされた牛革で作ったころりとしたハンドバッグ

 

ファスナーはカーブしているのに

とてもスムーズで、

予定していたものが全てすっきりと収まり

とても気持ちが良いです。

 

小さくても安定感があるので

どこでもちょこんと置けて、

外に実用的なポケットがあるのも

ミニバッグには珍しいと思いました。

 

色も型押しのブラウンが

ちょうど希望通りの色味で、

まさに栗のようにコロンとして可愛いです。

 

いただいたお手紙に

「撫でてください」とありましたが、

膝に乗せていたら

無意識のうちに撫でていました。

 

外側にはポケットが一つ付いている

 

海外ブランドも国産品も

色んなバッグがある中で、

このマロンバッグに出会えて良かったです。

 

余計なものがなくシンプルで使いやすく、

上質で主張しすぎない個性のあるものって

多分多くの人が求めているけれど

なかなかないものですよね。

素敵なバッグをありがとうございました。

************

 

じつはこの後、

お使いいただいてのご感想も

いただきました。

この記事をお読みくださっているみなさまの

ご参考になれば、というお気持ちが

とてもありがたいです。

ありがとうございます。

 

ナイロン製のファスナーで開け閉めする

 

************

前回メールで送った感想は

ご自由にお使いいただいて構いません、

遠方の方は特に

少しでも実際の感想を

聞きたいかもしれません。

 

使い始めてみると、

立ったままでもスムーズに

中身を出し入れできるようになって

やっぱり便利です。

 

車の助手席に載せていても

倒れないのも良いです。

 

こんな素敵なバッグに出会ってしまうと、

今まで使っていたブランドバッグは

なんだったのかなという感じです。

 

内側はナイロン製の裏地が付いていてポケットが一つ付いている

 

使い勝手だけなら布製のバッグのほうが

ずっと良いので、

ついそちらのほうが出番が多くなりがちで

 

革でこんなに快適に使えるバッグがある

とは知りませんでした。

 

少しずつオーソドキシーさんの革製品を

購入して

身の回りのものをもっと快適に、

合理化していけたら良いなと思います。

************

ありがとうございます。

 

布のバッグの方が使い勝手がいい

というご意見は、

正直なところと思います。

 

ではなぜ布では満足できないのか…

 

この理由こそが

革が愛される理由だと思います。

 

当店が目指すのは、

まさにこのクライアントが

感じてくださったこと。

 

すばらしいクライアントと出会ったことに

感謝いたします。


見本のあるお財布のご注文は、

近頃とみに増えてきました。

 

毎日使うものに対して

ストレスを感じたくない方は、

どうやら私が思った以上に

たくさんいらっしゃるようです。

 

お財布のオーダーのご依頼をなさる

どの方も、10年以上お使いになって、

ほとんどそれがご自分の

身体の一部になっているような

そんな基本の道具だからです。

 

留めベルトが付いた長財布

 

それらを拝見していると、

10年以上前の市販品というのは

現在ものに比べますと、

ずっと丈夫にできていることが

わかります。

 

また、形もさまざま。

一回こっきりで作られて終わった

大量生産品であっても、当時は

たくさんのポリシーに基づく

バリエーションがありました。

 

カードポケット

 

目先を変えて、新しい形を

どんどん市場に送り込んでいた時代

だったなあと、あらためて感じます。

 

それに比べると、店頭では今

同じようなものばかりしか

見ることができません。

 

これが製作現場の工場における

バリエーションの減衰に

繋がらなければ良いのですが…

 

作り続けていなければ

なくなってしまうだろうものは

多分、日本中にたくさんあります。

 

ファスナー式小銭入れが付いた仕切り

 

それはさておき、

今回ご紹介のお財布のように、

変わった留めベルトを配した市販品が

当時はあったわけです。

 

温故知新。

昔のものを拝見すると、しばしば

その発想の自由さに驚きます。

 

そんな楽しい発見を、奇しくも

運び込んでくださるクライアントに

感謝を申し上げます。

ありがとうございます。


美意識の高いクライアントに

お作りしたトートバッグをご紹介します。

 

「自分のイメージを持っているので、

それに見合ったものを

作って欲しいと思います。」

凝った装いの男性クライアントです。

お話を伺うこちらも楽しくなるような

おしゃれのお好きな方。

 

ふた付きのトートバッグ正面

 

今年に入ってすでに

もうすぐ両手にもなろうという数の

ブランドバッグをお求めになった

というこのクライアントは、

「かっこいいので見てると

ついつい買ってしまうんだけど、

ブランド物はやっぱり重いので

あまり持たなくなってしまって…」

 

ここはひとつ毎日持てるものを、と

ブランド物の中では探せなかった

ご自分の中のイメージを実現すべく、

バッグのご相談をいただきました。

 

スケッチ画をお持ちくださったので、

まずはそれに対して

たくさんの質問をしていきました。

 

背面にはファスナーポケットが付き

 

「そうかあ、

こんな風に話を訊いてくれるなら

絵はいらなかったかな?」

 

いえいえ、

どんなに簡単な絵であっても、

カドの丸さや、金具の位置など

すべてがご注文者のイメージを

代弁してくれますから、

とても大切なものです。

ありがとうございます。

 

ポケットインポケット

 

この方からは、過去に他のお客様から

3度ほどいただいたことのある

かなり解決の難しいリクエストを

いただきました。

 

後ろ面についているポケットには

厚みのあるものが入るのですが、

「その厚みが、ボコッと外面に

出てほしくないんですよ。」

 

つまりは、外から見たら

フラットにきれいに見える、ということ。

かなりのギミックを必要とする難問ですが

過去の経験から無事クリアしました。

 

マチの厚み調節ベルト

 

持ち手も普通の紳士用に比べますと

少しだけほっそりさせました。

この辺がこのクライアントの美意識です。

 

フタの中央にある金具も

特別に探してきたものです。

どこかでご覧になったタイプで

気になっていたとのこと。

 

飾り底鋲

 

クライアントのもうひとつのこだわり、

随所に変わった金具を使っています。

底面にお付けしたオーバルの底鋲も

あまり見かけないものです。

 

今回のご注文に際しては、

クライアントに3回ご来店いただきました。

 

通常は1回でお話が済むのですが、

感性(イメージ)を大切する方には、

その都度、

金具などを幾種類かお見せして

お選びいただいたり、

当初の計画にはなかった

その方の感性に合いそうな案が出ると、

新たにそれをご相談します。

 

それほど

イメージを擦り合わせることに対して、

デザイナーは注意深くお客さまに接します。

 

内部ポケット

 

イメージやデザインを一番に置いた

フルオーダーの場合、

恐らくそれが一番、必要なことであり、

また、もっとも難易度の高いことでしょう。

 

バッグ内装

 

「いやあ、出来上がりを待ってる間

ほんとに楽しかったです。

今までこんなに楽しい買い物は

したことがない!

 

上品にできましたねえ。

糸の色もこれを提案してくれて

良かったです。

イメージが新鮮になった。

 

行きつけのお店に行って、

今オーダーしてるんだよと

自慢してたとこだったので、

さっそくこれを持って見せに行きます。」

 

ありがとうございます。

お作りする私どもも

緊張しつつ、楽しませていただきました。


当店の特製牛革は

㈱栃木レザーに作ってもらっています。

 

㈱栃木レザーの革といったら

革のお好きな方やマニアの方には

優良革として高品質で有名です。

 

その中でも、特に特別品質なのが

当店の革です、と思わず自慢(笑)

もう20年以上、同じ品質になるよう

作ってもらっています。

 

現在の品質になるまでは、

いったいどんな革がベストなのか、

試行錯誤の連続でした。

実際に、自ら半年以上使って見ないと

経年変化がわからないから、

それだけの長い年月がかかったのです。

 

それからもずっと、

今だに試行錯誤は続いています。

鞣しに使う渋の混合物や

染色の素材が変わるごとに

見直ししてもらっているのです。

 

普通は、こんなに小さなお店だと

ここまでの優遇をしていただけないので

自社だけの独自の革を持つということは

まずムリなのですが、

昔からの縁というか、長いお付き合いで

いろいろなご好意をいただいています。

ほんとうにありがとうございます。

 

マウスパッド全体

 

それはおそらく、当店の革が

もっとも㈱栃木レザーさんの

高い技術力を体現するものだから、

ということもあるはずです。

 

そして、

僥倖とも言うべきその事実を

デザイナーはしっかり理解して、

彼らが苦闘して創り上げた革を

もっともよく美しく見せるような

デザインや製作を心がけています。

 

デパートなどではよく

㈱栃木レザー製品フェアなるものが

定期的に行われるらしいですが

(何名かのクライアントからの情報です)、

そこへお出かけになったみなさまは、

「なんか手触りが違うんですよね…

オーソドキシーの革とは違うんですか?」

とお尋ねになります。

(当店製品をお持ちの方ばかりなので

こんなご質問をいただくのです)

 

「もちろん違いますよ。

ついでに申し上げますと、

革の仕上げは、製作会社によって

全部違っているんです。

 

なぜなら、目指す革の歩留まり率や

量産の製作方法によって

革の仕上げを変えなくてはいけないから。」

 

ロゴの刻印付き

 

大量生産をする会社には

それぞれの製作方法があって、

一枚の革から

どれだけたくさんの材料が採れるかは、

どれだけ安価に製品を提供できるか

に関わる大切な問題です。

 

当店では、その真逆をやっています。

某ワールドブランドのように

一枚の革からバッグひとつのパーツを採る

ということはさすがにしていませんが、

できるだけ良いところを

うまく使えるように、目視と手触りで

必ず皮膚の下の組織まで確認し、

手断ちでパーツをカットしています。

 

じつはこの

「目視で革の悪い部分がわかる」

ことのできる人を育てることが、

もっとも難しい課題のひとつなのです。

 

だから、どこもこれをやらない。

できないのです。

一番機械的で簡単にできることは、

一枚の革の中央から

表面の傷だけに気を付けて

ひとつだけパーツを採ることです。

でもそんなことをしたら

恐ろしく高額なものになってしまう。

 

そして、それができない場合には

革の表面を化粧して、

表面からは皮膚下の皮膚の崩れが

見えないようにするわけです。

そうすれば、安価に提供できます。

 

それは、どんな製品を

みなさまにお分けしたいかという

経営者の気持ちによって、

いろいろなアプローチになります。

 

ウラ面

(パッドの裏面は、滑りにくくするため

起毛革を使っています)

 

さて、今日ご紹介するマウスパッド

当店定番の小品ですが、

革を試していただくには

最適のお品かもしれません。

 

このマウスパッドをご注文なさった

クライアントは、まず実際に

これで革をお試しになったあと

バッグをご注文くださいました。

 

厚み

 

このような、五感で感じられる革は、

今ではなかなか作られていません。

まさか狂牛病がここまで

革の供給に影響することになるとは

思いもよりませんでした。

 

当店の革を知っていただくには、

まずお使いいただくこと、です。

 

こうした小品をぜひお試しください。

手触り、香りはともに、きっと

毎日を気持ちよく感じていただけます。


久々に製作した、お店用の

リュックのお話をお聞きください。

 

そうすれば、どんなふうに

私たちがモノづくりをしているか、

おもしろく感じていただけると思います。

 

1点物のリュックサック

 

一点物としてお出しした「アルバ」は、

偶然の出会いがあって、早々に

親しいクライアントに

お持ちいただくことが出来ました。

 

定番のラインナップを拝見していると、

ほんとにいろいろ考えられているなと

いつも感じます。」

そうおっしゃってくださるクライアントは

このリュックが

当店でお持ちくださる初めてのバッグ。

 

 

一点物

新しいデザインバッグを作る前には

たいていデザイナーが

プロトタイプを持って使ってから

作り始めるのですが、

さまざまな工夫をするため、

出来上がってから、使い勝手として

想像したように作動しないことが

たまにあります。

 

リュック正面

 

一番上のお写真と三枚目のお写真を

比較してみてください。

どこが違うでしょうか?

 

たまたま今回のコンセプトは

金具を使わずにフタを開け閉めすること

としましたので

こういったデザインになりましたが、

これがどうもうまくない。

 

それがわかったのは、

持ち主となるクライアントが

「これってステキです。」と

目を付けてくださり、

店頭で扱ってくださったからです。

 

彼女が扱っている場面を拝見した

デザイナーは、

「なるほど!」と不具合に気づき

現物の改変に勤めました。

 

リュックサック背面

 

それで最終的に出来上がったのが

三枚目のお写真のリュック。

じつは

外ポケットの高さが違っています。

 

こうしないと

フタの開け閉め時に

ストレスがありそうと感じましたから、

何が間違っていたのかを

根本から正した結果

このような答えを得ることが出来ました。

 

これが成功したので

クライアントには

完璧に完成しました、という

ご連絡が出来た次第です。

 

お持ちいただいてから

ご感想をいただきました。

どうぞみなさま、お読みください。

 

リュックに物が収まっているところ

 

************

今日はリュックのお話を…!

リュック、まずは

やっぱりとても可愛いです(*^_^*)

白の縁取りがとてもお気に入りです。

そしてリュック自体もかなり軽くて、

今回御社のカバンを持つのが

はじめてなこともあってでしょうね、

本当に全部革でできているの?!

と疑うほど、です(笑)

 

柔らかい手触りなのに

しっかり立ってくれて、

マチもあるし裏地もスカイブルーで

明るいので中まで見やすい!と、

いままで持っていた

ナイロンのリュックと違いすぎて感動です。

出し入れもしやすいですし、

サクッとポケットも、入れやすいです。

普通のとなにが違うのでしょう?

ポケットがしっかりしてるんでしょうか?

 

これだけの品が収まります

 

ふた止めは、

安定しているところでやるには

とてもらくちんです!

 

横着して歩きながらだと、

底が安定しなくてたまに

手間取るときが(^_^;)

慣れもありますよね。

使い込まねばと思っているところです(笑)

************

 

ご丁寧なご感想をありがとうございました。

今回、最初の「これが好き」オーラを

出していただかなかったら、

ここまで完成度の高いリュックを

お作りすることはできませんでした。

 

オーダーメイドのお店では、

一点物も定番も

クライアントのみなさまと一緒に、

さらに良いものに作り上げていくことが

可能です。

 

これからも

いろいろなご提案を楽しみにしております。

ありがとうございました。


前回ご紹介した

台本カバーの記事についての

後日談をご紹介します。

 

前回のリクエストの中に、じつは

完璧には解決できなかった

リクエストがありました。

 

それについて、クライアントから

後日ご相談をいただいています。

 

カバー内部

 

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ただひとつ残念だったのが、

台本がA4の束の場合がある現場なので、

本の形の時は良いのですが

A4の紙束の時は

やっぱりちょっと使うのを

躊躇うみたいです…

 

台本カバーを作成していただく際

1番懸念していたところで、

入れること自体、可能は可能だけど

折り目がつくのが…と悩んでました

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カバー見開き

 

そう、同じカバーの中に

厚みのあるA4の紙束も入れたい、

というご要望を、当初

同時にいただいたのです。

しかし…

 

これはどう解決しようとしても

「こちらを取ればあちらが立たず、

あちらを取ればこちらが立たず」

というタイプの条件ですから、

まずは一義的な

台本カバーとしての使い方を

最優先させたことで起きた問題です。

 

ファスナー式カバー

 

かりに複数のリクエストがある場合、

どちらかひとつに絞らなければ

成立しない形も少なくありません。

 

ふたつを一緒にしたため

使いにくくなってしまい、

結局使わなくなってしまうことも

考えられます。

 

そんな時には、こうして

それぞれの用途に合わせたアイテムを

複数お持ちいただくことを

お薦めしています。

もちろん、初手から可能なことであれば

わざわざ分けるのは無駄ですから、

お薦めしませんが。

 

サイドポケット

 

ふたつの用途に対して、

ひとつのアイテムが

それぞれの要素・要件を問題なく

満たせるかどうかが、

見極めのポイントです。

 

次回、このクライアントとは

こんなお話を

進めることになるでしょう。

 

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そこで相談なのですが

台本カバーと同じ色(表:黒、裏:赤)で

A4の紙束20枚くらいが入る

ファイルを作れないでしょうか?

もし出来たら「A4用紙を

20枚くらい入れたクリアファイル」を

入れられるファイルです。

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多機能カバー

 

私どもでは、

クライアントのご希望があれば、

一緒にすることが可能な機能は

もちろん一緒にするご提案をします。

それをきちんとご理解くださって

このような適切なアプローチを

頂けることは、

製作者冥利に尽きます。

 

ありがとうございます。