2018.03.26

ロウ引きのウエストバッグ 81

「今使っているバッグは

おおむね良いのですが、

そろそろ寿命です。それで

もっと変えて作りたいと思って。」

 

拝見しますと、

以前にどこか個人のお店に

オーダーで作ってもらったというもので、

かなりの力作です。

 

ろう引き加工のウエストバッグ

 

一部手縫いにしていて、

おお、このように縫っているのか、と

驚くような作り方をしています。

 

ずいぶん前に作ったということなので

製作者がまだ若く、技術が拙いころ

文字通り一生懸命、工夫して製作した、

そんな感じがひしひしと伝わってきます。

 

私どもも、今でこそ

どんなものが来てもびくともしませんが、

そんな時代は、オーダー品を

相当に苦闘しつつ、それこそ

泣きながら作った覚えがあります。

 

2段ファスナー式

 

革製品のフルオーダーをお受けする

という看板を出した時点で、

数え切れないほど種類のある

アイテムを作り続ける、という

大きな海へ出てしまったことになります。

 

時には、注文を受けた品より

高額なものを買ってバラしてみたり、

というような行為も必要でした。

 

バッグ背面

 

そんなたくさんの積み重ねが

技術を発展させてくれます。

「教えてください。」などと言って

幸運な機会を待っているだけでは、

オールラウンドの技術を

身に着けることはできません。

 

革製品の作り方を教えてくれる所なんて

昔はありませんから、

自分で仕事として始めた人たちはみな

技術の習得はすべて独学でした。

 

前段内部

 

そういった時代にお作りしたものは

その苦闘のぶん、ほんとうに力があり、

製作方法は自己流になっているにせよ

独創力にあふれています。

 

そんな力を感じるお品で

他人の作ったものを拝見する機会は

めったにありません。

久々に情熱を感じるお品を拝見しました。

 

後段内部

 

すべてのジャンルのアイテムを

きちんと製作できる技術を得るには、

エクスプローラーの心を以てしても

20年以上の月日がかかります。

 

そしてそれ以降も研究は続きます。

それは、一生続けなければなりません。

 

もちろんこれは

実際の製作面だけにかかる時間です。

すべての製作知識を持って、

新しい技術に上書きしていった上で

はじめてきちんとしたコンサルができます。

 

みなさまひとりひとりのために、

気の遠くなるような長い時間かけて得た

すべての技術を駆使することで、

当店のオーダーメイドは成り立っています。