革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2021.12.3

40年の間で一、二を争う手順の多いファスナー長財布 109N

 

先日ご紹介したアイボリーのバッグには、

お揃いでお作りした

ファスナー長財布があります。

 

それが驚くほど手順の多い仕様で、

40年を通しても

一、二を争うほど手間のかかるもの。

 

 

 

 

外側から見ますとごく普通に見える

このファスナー長財布は、

開けてみると

中にL字のファスナー小銭入れがあります。

 

ここまでみっちり中身のあるタイプは、

ほとんど見たことがありません。

クライアントがお持ちのお財布と

同じものをお作りしたのですが、

量産品で

こんなに手間のかかるものを作るのか、

と驚くほどの仕様です。

 

 

 

 

中には、これでもか!というくらい

沢山のカード入れが付いています。

 

もちろん見本品の内側はすべて布なので

薄く出来上がっていますが、

腕まで重さを感じるくらいずっしりとして、

なかなか持つのが難儀ではないかと

思ったくらいの重量です。

 

 

 

 

ただ残念なことに、

中身がたくさん入るにもかかわらず

一番外側のファスナーの幅が薄く、

全部入れますとおそらく

パンパンに太った財布となってしまいます。

 

気に入って使っているから

同じように作って欲しい、という

ご依頼でしたが、

やっぱり外側のファスナー幅だけは

もっと広くした方が

きれいな姿で持てる、と判断し、

あまり気にならない程度に幅広くしました。

中身を考え、

3ミリの厚みをプラスした次第です。

 

 

 

 

財布の中身にこれだけの厚みがありますと、

全体的な厚みが多少増しても

かえってスマートに見えますし、

以前のものと同じくらい入るのであれば、

ほとんどの方は

サイズが変わったことに気づきません。

 

クライアントに

よほど特別なこだわりがない限り、

作っていて、やはり…となったら

このような微妙な変化をさせることもあります。

 

 

 

 

当店でお作りしますと

内側の素材はすべて革となります。

 

当初は布で、とも思ったのですが、

それは薄くする目的と

軽くする目的とがあったからですが、

 

ダミーを作って重量を測ってみますと

両者はほとんど重さが変わらず、

端処理の方法を考えますと

却って革の方が薄くできる、とわかりました。

 

その結果、

見本よりも横幅を2ミリ大きくしましたが、

見本とほぼ同じくらいの重さに

収めることができました。

 

 

 

 

ひたすら一生懸命作り続けるこの長財布は、

見本品よりずっと美しく、

ずっと使いやすく、

お作りすることができました。

 

お電話の向こうで、

「こんなにきれいにできるなんて…」

と明るい声をお聞きすることができて、

とても嬉しかったです。

 

 

 

 

このファスナー財布をなぜ

横幅を2ミリだけ広くしたかというと、

「カードが重なって入ることで

抜き差しが大変になってしまいますから、

それぞれのカード入れを

1ミリだけおおきくしてくれませんか?」

というご希望からです。

 

この財布にとって、

「1ミリ」という単位が

どれほど大きく

使い勝手を左右する寸法なのかを、

よくご存じのクライアント。

このたびはありがとうございました。

 

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