革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

Order example

2022.04.25

3つ目のボディバッグ 112

 

先日ご紹介したボディバッグが

無事できあがり、

クライアントから

OKのご連絡を頂戴しましたので、

いよいよ3つ目の完成品を披露します。

 

このたびも

ご注文もありがとうございました。

 

もっと容量を増やそう、

が今回のお題で

最初は、本体の周り一周に

マチを付けましょうか?

という選択肢も出ました。

 

ところが、似た大きさで一周マチのある

店頭のポーチを

実際にウエストに置いていただいたところ、

「いきなりすごく大きい感じがします。

これはちょっとないですね。」

とのご感想をいただき、

高さ1センチ、ヨコ幅1センチ、

そして

ファスナーの幅をもっと広くするという

よりシンプルな方針になりました。

 

 

 

 

今回ポケットに使った革は、

お手持ちのポーチで、お気に入りの

アリゲーターの革部分を加工したもの。

今までは黒の牛革一色でしたから、

かなり雰囲気が変わり、イメージも一新されました。

 

 

全体サイズですが、

前述くらいの少ないサイズの増やし方であっても、

裏地を革にすることで、

中に入れるモノにあわせて

伸びてくれることもあり、

想像以上に容量が増えてくれます。

 

全体を大きくしたくはない、けれど

容量を増やしたい、という時に有効なので

(全体の形にもよりますが)

お心にお留めいただくと良いかと思います。

 

 

 

 

大きさ感は

女性が持ってこんな感じですが、

モノを入れていくと、

かなりの収納力が出てきます。

 

余談ですが

革製品を伸ばしていく場合、

時間を掛けて

少しずつ荷物を増やして入れていってください。

そうすることで

無理なく大きめになってくれます。

 

さて、ここからは技術のお話。

同じようなお品で

今回が3つ目だからといって、

この製作は簡単か?と問われましたら、

そんなことは全くありません、と

お答えするしかないのが、

フルオーダーメイド製作において

筆舌に尽くしがたいところです。

 

 

 

 

先ほど、この仕事が

なぜここまで難しいのかをご説明するのに

ちょうどよい対比のある話をしましたので、

さっそくそれでご説明したいと思います。

 

たまたま当店技術者の中には、

自分で帽子や靴を作ることを学び、

その業界で量産体制を立ち上げた人がおります。

 

その人から(断片的にですが)

業界の話を聞いていますと、どうやら

どちらもワンアイテムゆえ、

作り方には、ある限られた数の技法と

製作時の決まりごとがあるとのことで、

それを幾つかの工業的で均一な素材と

掛け合わせて作るため、

どのようにまとめ上げるか、が

最重要なことになっているようです。

 

その「限られた数の技法」をまず覚えることが

製作(正確に言うと製品前企画)に

不可欠な基礎であり、

それを使った組み合わせが

バリエーション(デザイン)を生むことになります。

 

そうなってくると(私たちからしますと)

変数の数、製作上の先の読めない内容は

ほとんどないのではないかとさえ思えます。

 

 

 

 

ところが

当店のやっている「革製品」というものは

「数多あるアイテムの括りの名前」です。

 

膨大なアイテム別にそれぞれ

数え切れないほど独特の技法が存在し、

細心の注意をもって製作していても、

落とし穴となる「罠」が、

変数として多々出現します。

 

また、もうひとつの大きな変数の要素として、

素材の革の特徴が

一枚一枚(種類ではありません!)で違うため、

求める質感を出すのにさえ、

さまざまな工夫をしなくてはなりません。

 

まあここまでしているからこそ

ハイクオリティのフルオーダーメイド品が出来、

みなさまにご満足いただけるわけですが。

 

 

 

 

技術責任者からおもしろい言葉を聞けました。

「自分がよく使うこの言葉が一番、

うちのフルオーダーメイドの製作時の特徴を

的確に表している、と思う。

 

それは、他の技術者から

”ここはどうしましょう?”と相談された時に、

私はこう答えることがほとんどなんだ。

 

”そこは~~すればいいのではと思います”

なんだか頼りないようだけど、

そのオーダー品のその部分に対する

決定的な技術がないから、

最後の部分は ”~と思います”

としか答えられないんだよね。

 

しかもその時は

ほんとにそれが正しいかどうかわからない。

でも、筋道立てて考えてくと

どうやらその方法しかない。

で、やっていくと、正しかったことがわかる。

でもそんな技術の使い方は、

公では誰もやっていない(と思う)。

 

また大事なのはその後で、質問した技術者から

”そしたら、

ここは今後、このようにすればいいんですね?”

と確認されることがあるんだけども、

その時には

 

”これはこの場限りで

いま思いついた技術の使い方で、

他で使えるかどうかはわからないよ”

と答えている。そういう答えしか出来ないんだ。

 

 

 

 

「要するに、

毎回毎回、作るものに合わせて

新しい方法を考えていかなくちゃならないのが、

革製品のフルオーダーメイドなんだよね。

 

どこにも作り方は書いてない。

 

こんな方法はこのオーダー品にしか使えない…

第一、そのオーダー品がなければ

考えもしない製作方法だ、

ということばかり。

 

少なくとも

うちのフルオーダーメイドの製作においては、

誰でも覚えられるような

単純な技術を使っているのではないということ。

 

既存の技術から

ほんの少しだけ新しい技術を生み出したり、

変則的な

既存技術の使い方に思い至ったりしながら、

毎回それをオーダー品に加えていく

現実的な技術力・応用力がなければ、

何ひとつ、

このクォリティでは完成しないわけだ。」

 

さて、もうおわかりと思いますが、

たとえ3つ目であっても、同じような形であっても

ほんの一点違うだけで

全く別物になるのが、フルオーダーメイド品で、

 

クォリティを追求するなら、

どんなにシンプルなものでも

思考と技術の紆余曲折を経ることになります。

 

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