革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2022.12.15

最近どこにも売っていないクラッチバッグ/ミニブリーフケース 21013

使い慣れたお気に入りバッグをお持ちになって

「同じものを作ってください。」

というご依頼は多いですが、

今回いただいたリクエストでは

それを上回るご希望をいただきました。

 

下のお写真の向かって右がオリジナルですが、

この方は当時これを気に入って

10個くらいお買い求めになったのだそうです。

すごく賢いお買い物の仕方です。

 

といいますのは、

市販品は量産品ですから、

そのワンロットを売ってしまうと

次に同じものを作る予定は永遠にないからです。

工場では流れ作業用の材料と手順を組みますが、

ひとつの注文量産が完了したら、それが

完成を見た途端に次の注文量産に入るため、

完成したものに関しては

すべてリセットされてしまいます。

 

 

 

 

 

 

話がずれましたが、この方は

そうして壊れたら新しい鞄を下して、

20年近くの年月が経ったそうです。

 

その長い年月お使いの時、

気に入らない部分をご自分で変えて

お持ちになっていたため、

もうほとんどこの方の身体の一部のように

なっていらっしゃるご様子です。

 

 

 

 

 

 

上のお写真で持ち手をご覧いただきますと、

持ち手を留める金具が

上に向かって少し間隔が狭くなっているのが

わかると思います。

 

これはオリジナルをこのように変化させて

お使いだったため、

同じ角度で留まるよう、ギミックを施しています。

そして、変えた持ち手と同じように

金具の間の長さよりも長い持ち手を

お付けしました。

端っこは使っていくうちに

内側に入り込んでくれるようにしました。

 

「この少し出っ張った部分を触った感じと、

持ち手の見た目が気に入っていて、

見ると落ち着きます。」

 

ずっと変わらず存在する持ち物が、

どれだけ持ち主に安心を与えることか…

あらためて心に刻む瞬間でした。

 

 

 

 

 

 

またこちらは、持ち手そのものに

変わった形の芯材が入っておりましたので、

ご相談のうえ、その芯材を

使わせていただくことにしました。

 

こういった特殊な材料を

この製品のためだけに

特別に作ることができることが、

量産品の特長です。

 

出きる限り現在の鞄と同じように作って欲しい、

という切実な願いに対して、

クッションの入り方や

革の継ぎ方などまで、細かく踏襲しています。

 

 

 

 

 

ただし内側は少し使いやすいよう

ペン本体が鞄の内側に出てこないようにしたり、

少しポケットを大きくしたり、

と改変を加えています。

 

外側の属性、見た目と触り心地と違って、

内側はまさに利便性を追求する場所ですから、

これは良い修正の仕方だと、お薦めしました。

 

 

 

 

 

 

ただ、今回お選びいただいた革は

見本鞄とはまったく違う素材ですから、

まったく同じ質感でお作りすることは出来ません。

 

ですから、パッと見た時、

そして手で触れた時 違和感がないよう

細心の注意を払っています。

 

 

 

 

 

 

見本鞄は、フタの厚み部分を

なぜかとても少なく取っていたため、

マチが内側にたくさん折れ込んでいました。

そこもお嫌いだということで、

新しい鞄には適度な厚みを取り

クライアントの「嫌い」を解消しています。

 

こちらも最初は

ご希望の意味をきちんと理解することが

とても難しい内容でした。

 

このようにさまざまな工夫をしましたから、

ご自分の気に入った形で使っていた鞄と

同じものを、今度は

長くお使いいただくことができます。

 

良い素材で

きちんとした製作方法を経た鞄であれば、

短い期間で取り換える必要もなくなりますし、

すぐに身体の一部となってくれるでしょう。

このたびはありがとうございました。

 

 

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